【連載】高田憂希の『ひトリップ』(10)読みたくても読むことが出来ない本との出会い | 超!アニメディア

【連載】高田憂希の『ひトリップ』(10)読みたくても読むことが出来ない本との出会い

声優の高田憂希による連載企画『ひトリップ』。毎回「ひとり」で「お出かけ」した日々を記していきます。第10回のひトリップは「本のタイトルが分からない本屋さん。」です。

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高田憂希の『ひトリップ』
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まだ少し、早いのかもしれません。けれど、暦の上ではすでにあの季節がやってきているのです。そう、秋です。

秋といえば「あなたにとって◯◯の秋は?」なんてフレーズをよく耳にしますが、不思議ですね。◯◯の夏は?◯◯の冬は?と聞かれることはないけれど、秋だけはドヤっとした顔でこう尋ねてくるのです。

秋「今年は、何する?」

過ごしやすい気温。気持ちのいいお天気。秋はとても魅力的な季節です。さあ、決めていこうではありませんか。

皆さんは今年の秋、どんな風に過ごしますか。



エントリーナンバー1、食欲の秋。


いきなり最有力候補が顔を出してきたと思った方も多いんじゃないでしょうか。実りの秋。収穫の秋。旬な食べ物も多いこの季節は、とにかく食欲がとどまる所を知りません。

さんま。さつまいも。なす。梨。ぶどう。並べたもの全部が好きで、そのどれもが旬を迎える秋ってやっぱり最強では?

特にさつまいもなんて、この時期限定のお菓子等の味がたくさん登場するんです。私は早速ミニストップに登場したお芋のアイスや、たべっ子どうぶつのさつまいもバター味を食べました。





写真を見ているだけでお腹が空く。やっぱり今年も食欲の秋で決まりでしょう。

いやいや、まだまだあります、秋の過ごし方。

エントリーナンバー2、芸術の秋。


なかなか入り口が掴めないものほど、ふとしたところにキッカケは転がっている。

例えばそうだ、こんな言葉があったじゃないか。芸術の秋。この言葉をキッカケにしてみてもいいかもしれない、なんて単純過ぎるでしょうか、いや、そんなことはない。

私は一昨年、ゴッホの絵画が日本へやってきていることを知ってふらりと足を運んでみたことがあります。



彼自身の人生を辿りながら、その年その年に描かれた作品を見つめ、当時何を思って筆を取ったのだろうと想像する時間はとても楽しかったです。

芸術と聞くととてもハードルが高いような気もしますが、実際に行ってみた私の感想は、そう難しく捉えなくてもいいのかもしれない。でした。ぼんやり物思いに耽る時間もいいものです。

優しい気候と共に背中を押してくれる秋という季節に甘えて、自分だけの芸術を見つけてみようじゃありませんか。

うんうん。これは、芸術の秋で決まりかな。

ちょっと待って。まだあるじゃないか、魅力的な秋。

エントリーナンバー3、読書の秋。


読書の秋かぁ。でも、普段活字に触れないから、何の本を読んでいいか分からないなぁ。作品が多過ぎて選べないなぁ。

うんうん、分かりますその気持ち。結局全ての秋に言えるのは、きっかけなんですよね。作品が多過ぎて悩んじゃう。何が自分の好きなお話か分からない。

それじゃあいっそ、中身が分からない本に手を伸ばしてみませんか。

これが、今回の私のひトリップ「本のタイトルが分からない本屋さん。」



私がお邪魔したのは「梟書茶房(ふくろうしょさぼう)」というお店。書房だけでもなく、茶房だけでもない。書茶房。コーヒーが大好きな方と、本が大好きな方が出逢い生まれた場所。

何より惹かれたのは「タイトルが分からない本」というフレーズ。一体どんな場所なんだろうと気になり、足を踏み入れました。

そもそもタイトルが分からないんじゃ、どうやって本を選ぶの?そう疑問に思う方も多いと思います。論より証拠。私が実際に購入した本をご覧ください。



このように、本は完全に袋とじ状態で、表紙もタイトルも著書も分かりません。その代わりに、本には0001~1231までのナンバーが与えられています。

この本の手がかりとなるものがいくつかあって、まずは、一口メモ。私は、ここの言葉に惹かれて、この本を手に取りました。


『 表紙を見てまず、にやけてほしい。

ページをめくりながら、微笑んでほしい。

そのうちに、吹き出してほしい。

この本を手にしたあなたに、笑ってほしい。』



思わず口角が上がってしまったのは、私だけではないはず。一体、どんな本なんだろう。そう考えている内に自然と手を伸ばしていました。

さらに「読みやすさ」「誰かにあげたくなる」「役に立つ」この3つの項目が本一つ一つに書かれています。近々誕生日を迎える友達に「誰かにあげたくなる」⭐︎5の本をプレゼントするのもいいかもしれません。何を基準に選ぶかは自分次第です。

さらには、この本を読み終えた人に向けて、次の本の旅も提案してくれます。「これが気に入ったあなたはこちら。」「違う景色を見たい方はこちら。」

タイトルが見えない本から感じたのは、この書茶房を作られた方々の本への愛でした。愛情で出来た衣装を身にまとい、本棚というショーケースに並べられた姿は、その顔が見えずともどれも魅力的。むしろ顔が見えない、限られた情報の中だからこそあれだけ悩んでいた選択がすんなり出来るようになったのかもしれません。





いかがでしたか。正直、どの秋も魅力的ですよね。今年の秋、皆さんはどんな秋を過ごしますか。

最後に、タイトルの見えない本にはナンバーが与えられていると書きましたが、あの本屋さんに行って一度は調べたくなるナンバーがありました。誕生日です。私、高田憂希(たかだゆうき)は3月16日生まれなので、No.0316の本。

残念ながら、本自体は品切れ中で手にすることが出来なかったのですが、No.0001~1231までの本たちが着ている、愛情たっぷりの衣装(と、このコラム内では呼ばせていただきます。)がまとめられている、目録があるんです。この本屋さんならではですね。早速、No.0316がどんな衣装を着ているのか、調べてみました。それは、こんな一文から始まるんです。

『 これは、勇気(ゆうき)の物語。』

読みたくても読むことが出来ない本に出会ったのは初めてです。入荷は未定らしいので、いつか手にすることができたら、必ず読みたい。楽しみがまたひとつ出来た、そんな秋の始まり。

《高田憂希》
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