あっという間に1年が終わってしまいました。早いものですね。2019年は、アニメをきっかけに『鬼滅の刃』の人気が爆発した年でした。雑誌「週刊少年ジャンプ」で連載されている原作では毎週、厳しい展開が続いていて、ハラハラが止まりません。2020年はどうか、登場人物たちに幸せが待っていてほしいと切に願っています。
さて本作の物語の初期段階において、主人公・竃門炭治郎(かまどたんじろう)が師匠・鱗滝左近次(うろこだきさこんじ)に命じられて岩を斬る修行をしていたことを覚えているでしょうか。突如として現れた錆兎に叱咤激励されながら、最終的には岩を真っぷたつに斬ることに成功します。とても硬く大きな岩を斬ることができた炭治郎は、自信をもって最終選抜へと臨むことができました。
実はこの岩のモチーフであるかもしれない石が、奈良県の柳生(やぎゅう)というところに実在するのです。「一刀石(いっとうせき)」と呼ばれ、天石立神社(あまのいわたてじんじゃ)内にドンと鎮座しています。私も実際に目にしたことがありますが、とにかくデカい。縦幅は160㎝ある私の背丈以上あり、横は7mほどはあろうかと思われます。この巨石には、次のような話が伝わっているのです。
戦国時代から江戸時代にかけて活躍した柳生宗厳(むねよし)という武将が、柳生で修行を重ねていました。天狗と試合をして、あるとき刀で天狗を斬り捨てた……かと思いきや、そこに横たわっていたのは大きな石だったのです。
なるほど、炭治郎に岩を斬る修行を命じた鱗滝は、いつも天狗面をつけています。そして山中で巨石を斬るといストーリーで、「一刀石」のものと類似していることがわかります。
真相については、作者の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんのみぞ知るところでしょう。いつかおうかがいする機会に恵まれたらうれしいな……と思いますが、なんとも想像がふくらむ話ではないでしょうか。奈良県の「一刀石」は少し辺鄙(へんぴ)な場所にありますが、どなたでも拝観可能なので、機会があれば足を運んでみてください。
2020年も引き続き「鬼滅フィーバー」が炸裂することでしょう。私もみなさんと一緒に楽しんでいけたらばと思います!