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Q鈴村さんが考える「アドリブ力」(アドリブが上手な方)とはどういったものでしょうか?
お芝居の基本が『AD-LIVE』には詰まっていると思います。お芝居というのは、そこで起こった事象にどう反応するかの積み重ねだと考えています。例えば「石につまずく」とシナリオにあれば、「石につまずく」芝居をしなければいけないと思い込みがちになりますが、そうではないですよね。毎日生きていれば「石につまずく」ということは起きますし。だからあたかも今、石につまずいたように見せるのが「お芝居」であり、それを作為的に見せなくするのが「稽古」だと思います。でも、「アドリブ」はその「石」を用意するということなんです。だから誰でも出来る、ということではあるんですが、これを上手くコントロールしながらやっていくとなると、非常に高度なことをやらなければならないんですよね。声優としてお仕事をしているプロの方だったら、お芝居の原点というものに、確実に触れているので、アドリブでのお芝居が必ず出来るはずです。お芝居が好きである、ということが一番のポイントかもしれませんね。お芝居を勉強している人は必ずエチュードをやったことがあると思いますが、それをエンターテインメントにして、その空間で起きたことを役柄としてどう受け止めていくか、それをお客さんに見せるというのが『AD-LIVE』なんです。
Qこれまで出会った方のなかで一番「アドリブ」がすごいと感じた役者さんはどなたでしたか?
みんなやり方が違うのでそれぞれ楽しいですが、そんな中でも「すごいな~」と思った方が、この企画を立ち上げたときに参加してくれた岩田光央さんと櫻井孝宏くんですね。今でこそ、即興でのお芝居はこういうもの、というデータが取れてきて、出演していただける方に提示出来るようになりましたが、最初は海のものとも山のものともしれないところから始まっているのに、岩田さんと櫻井くんが一緒に立ち上げてくれたことを『すごいな』と思ってしまいました。普通は怖くてやらないですよね。実際、岩田さんは、はじめは反対していました。『こんな企画、無理だから止めなさい』と言って何度も説得されたり。でも逆に岩田さんを説得して出てもらいました。今では「あの時やれて良かった」と言ってくださっていますし、「その情熱に負けたんだよ、頑張ったね」と言ってくださっています。
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