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<アニメ・マンガ妖怪よもやま話>『理系が恋に落ちたので証明してみた。』の研究者たちも顔負け!?妖怪を科学的合理的に説明しようとした学者の話

2020/1/24


 

 アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」としてWEBで復活。今回は、アニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』の登場人物たちとも対等に渡り合えそうな、科学的かつ合理的に妖怪を説明しようとした学者の話を、奈良県在住の妖怪文化研究家・木下昌美が語る。
 

 恋愛感情について論理的に解き明かそうと奮闘する学生たちの日々を描く『理系が恋に落ちたので証明してみた。』。そのTVアニメが2020年1月10日よりスタートしました。原作はWEBコミックサイト「COMICメテオ」で連載中です。
 
 恋愛感情だなんて不確実なもので、とうてい一字一句正確に言葉で表せる、ましてや数値に置き換えられるものではないと、普通は思うはずです。しかし本作の登場人物たちは、理系の最高学府である国立大学理工学研究科の大学院生。「普通」だなんて、ぼんやりした概念は持ち合わせていません。雪村心夜(ゆきむらしんや)、氷室菖蒲(ひむろあやめ)を中心に研究室のメンバーが、さまざまな実験に取り組み、感情を数式化しようと取り組みます。「そんなことしなくても、明らかに君たちは両想いでしょう」と私をはじめ視聴者(読者)のみなさんも思っているはずですが、そんな気持ちはさておき、物語はグイグイと進んでいきます。
 
 このように、感情でさえ数式で示し、解明せんとする理系は、妖怪とはまったく相容れないものだと感じるのではないでしょうか。しかし、実はそうとも言えません。たとえば、映画『ゴーストバスターズ』では登場人物たちが科学的にゴーストに向き合い、科学をもって退治しようとする姿が描かれています。
 
 日本でも理系というわけではありませんが、明治時代に妖怪を徹底的に究明しようとした人がいました。現在の東洋大学を設立したことでも有名な井上円了です。彼は哲学者でしたが、妖怪の研究にも力を注ぎました。時代の流れもあり、日本人が近代人であることを認めさせるため、妖怪は障害になるという立場で研究に打ち込んだのです。
 
 大まかに言うと、妖怪現象と見なされた事柄を科学的合理主義に従い、分類するなどしました。説明できないものを「真怪(しんかい)」、自然現象によって発生するといった解明できるものを「仮怪(かかい)」として、「コックリさん」をはじめとした謎を次々に照明しようとしたのです。ちなみに「妖怪」という言葉が定着して流布したのも、彼によるところが大きいのですが、今回は割愛します。
 
 井上の功績は大きく、現代の研究にも受け継がれている部分があるように思います。『理系が恋に落ちたので証明してみた。』ではありませんが、一見すると捉えどころのないように感じるものでも、実は系統立てて具体的に説明することができる……かもしれませんね。

 

 
 
解説:木下昌美
<プロフィール>
【きのした・まさみ】妖怪文化研究家。福岡県出身、奈良県在住。子どものころ『まんが日本昔ばなし』に熱中して、水木しげるのマンガ『のんのんばあとオレ』を愛読するなど、怪しく不思議な話に興味を持つ。現在、奈良県内のお化け譚を蒐集、記録を進めている。大和政経通信社より『奈良妖怪新聞』発行中。
 
●挿絵/幸餅きなこ 撮影/高旗弘之


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