凛音昔からそうでした。おもちゃ箱がひとつだけ決められていて、その中に入らないものは処分するというルールがあって……。ですから今、買いなおしているものもありますよ。
乙女手に入らないものもあるんじゃない？
凛音そうですね。でもやはり子供の頃のおもちゃは特別な感じがして……。
桐乃それちょっとわかるな。『デジモン』にオメガモンってキャラクターがいたんだけどさ、そいつのオモチャを乱暴に扱ってたら腕が壊れちゃったことがあったのよ。ふつうは悲しいじゃん、壊れたんだからさ。でもアニメの中でもオメガモンの両腕がもげる場面があって、「あの場面と同じだ！」ってちょっと嬉しかったんだよね。
その後に足も壊れちゃったから親に言われるまま捨てたんだけど、今思えば残しておけばよかったよ。
乙女昔は残すか捨てるかの2択だったけど、今は「売る」って選択肢もあるよね。
凛音おかげで泣く泣く捨てたものを、一部ですけどまたオークションサイトで買うことができました。
乙女でも市場に出回るのって数が売れたものがほとんどで、あまり売れなかったものや、値段がつかないような雑貨系のグッズってなかなか見つからないよね。
ちょっと前に、とあるアニメ作品の個人コレクターに取材したことがあったんだけど、その人も「この系統のグッズだけはなかなか中古市場に出てこない」って嘆いてたっけ。
桐乃あー、自宅をグッズの博物館みたいにした人ね。
乙女そうその人。1970年代のファミリーアニメのコレクターなんだけど、おもちゃ、文具、ムック本、シャンプー、ノベルティー……色々と集めてギネスブックにも載ってさ。でもやっぱり文具や雑貨は探しても見当たらないって。そういう人の手元に渡るなら、文化の継承として売るのもアリかなって思ってる。
あかりそういうのを保存する業者さんっていないんですかね？
桐乃コレクターじゃなくて？
あかりコレクターさんがいる作品もありますけど、そうじゃない作品もあるわけじゃないですか。もしもの時を考えて、捨てられる予定のグッズを引き取ってくれるような……。
桐乃何かのイベントで当時品を飾りたくてもなかなか見つからないって話はよく聞くね。で、コレクターを頼るパターン。そのサービスにある程度集まってれば便利かも。
乙女メーカーのほうでも、昔のおもちゃやグッズって意外と残ってないからねー。
凛音箱から出して遊ぶと、なくなっちゃう付属品とかありますよね。
あかりもしかしたら「まんだらけ」あたりがそれに近いのかもしれませんけど、管理するにしてもそれなりの知識がないと「この部品はこのオモチャのやつだ」ってわかりませんし、調べるにしても調べ方のコツが分からないとどうにもならないですし……。
乙女うん、その視点はおもしろいかもね。さすが私が見込んだ新人だ！
桐乃おっ。顔真っ赤にしちゃって、照れるなよー（笑）。
あかりあっ、ありがとうございます……。
凛音そういう「継承する」みたいな考え方は芸術の世界が強いですね。それにグッズだけではなく、アニメ制作でもセル画を使わなくなったりして、失われたものってあると思うんです。
桐乃中間成果物はそうかもね。ファンから見るとお宝だけど、事業者としては倉庫を圧迫するだけのゴミでしかなかったわけだし。あとは転売ヤーとの闘いかな。
凛音中古市場も、「ここ1年で発売されたものは違反になります」とかやってくれればいいんですけどね。
乙女そういうのいいね。さすがウチのエース。
凛音ほめても今日のお菓子はさっきあげたので終わりですからね。
乙女（チッ。）
桐乃でもまあ転売問題もあるけど、うまいことアニメカルチャーの文化の継承ができるといいよな。
乙女それじゃー、今度こそこれで今日の編集会議は終わりってことで。みんなの意見が聞けて良かったよ。ありがとね。
完ッ璧だ……。
美少女は、読むのがめんどくさい編集会議議事録を救った……のかもしれない。
