昨年末にアルバム『A Tiny Winter Story』をリリースした南條愛乃が、10周年という節目に満を持しての全国ツアー「南條愛乃 Live Tour 2022 ~A Tiny Winter Story~」を開催。10月16日にはさいたま市文化センター 大ホールにてファイナルを迎えた。本記事では『声優アニメディア』2023年1月号(12月10日発売)に掲載予定のファイナル公演のレポートから、一部を抜粋、再構成してお届けする。
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まさにアルバムタイトルの「A Tiny Winter Story」(小さな冬の世界)を再現したようなツアーだった。
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開演前にはクリスマスソングが流れ、幕が上がるとステージにはカーテンがクリスマスツリーのように吊り下げられている。極めつきはライブ全編にわたって朗読される物語だろう。『A Tiny Winter Story』のジャケット写真にもなっているトナカイと少女の物語が、イラストと朗読によってちりばめられていく。こちらのシナリオはあさのますみ(浅野真澄)によるものだ。
緞帳が上がり『Merry』のイントロが始まると、真っ白な衣装に包まれた南條愛乃の姿が現れる。明るく弾むような歌声が心地よく、会場を埋め尽くす白いペンライトの動きからは観客の高揚感が窺えた。幕間にはトナカイが少女のために“特別”を見つける旅に出かける物語が挿入され、“語り”から“歌”へ……という流れでライブが進行していく。
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『ゼロイチキセキ』や『光のはじまり』では旅を始めたトナカイの心情が明るい歌声で表現され、打って変わって『全ては不確かな世界』や『青星』では、トナカイの孤独感や寂寥感が苛烈な歌唱で提示される。アルバム収録曲以外の楽曲が物語を彩り、そして物語に彩られることで、新たな輝きを見せていくのも素晴らしかった。
『物語よ始まれと願う空に』『シュガーポット』では、トナカイの心情に寄り添ったボーカルが徐々に熱を帯びていき、渾然一体となった歌と物語は佳境へ向かっていく。特別とは何かに気づいたトナカイは、少女を目指して走り出す。『ありったけの愛しさで』『余韻』で聴かせる、胸の高鳴りと優しい気持ち。そして、少女と再会したトナカイの喜びをなぞるかのように、南條はアルバム表題曲の『A Tiny Winter Story』を温かく歌い上げる。多幸感と温かさに包まれながら本編は終幕。壮大な音楽劇を観たかのような充実感だった。
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アンコールは本編の余韻を残す『白い季節の約束』からスタート。このライブで最初となるMCでは、リラックスした様子でライブを振り返っていった。希望に満ちた“これから”を語ったのち、ラストとなる『・R・i・n・g・』で前向きな歌声を聞かせ、ライブを締めくくるのだった。
詳細なライブレポートは『声優アニメディア』2023年1月号(12月10日発売)をチェック!
あわせて1月号には、12月21日発売のニューアルバム『ジャーニーズ・トランク』の発売を記念して、インタビュー&グラビア記事を掲載する。
さらに2月号(1月9日発売)では、アルバムと同日発売のMV集『ジャーニーズ・トランク~Memorial Music Clips~』についての特集も予定。乞うご期待!