高橋ミナミ「みんながいてくれたからこんな素敵な機会をもらえたよ」10年の出会いが詰まったミニアルバムを語る | 超!アニメディア

高橋ミナミ「みんながいてくれたからこんな素敵な機会をもらえたよ」10年の出会いが詰まったミニアルバムを語る

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2022年11月号には、声優活動10周年を記念したミニアルバム『Tenk you!』をリリースした高橋ミナミが登場。

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アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。
2022年11月号には、声優活動10周年を記念したミニアルバム「Tenk you!」をリリースした高橋ミナミが登場。

本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。

「Tenk you!」初回限定版ジャケット

ありがとうの思いがたっぷり詰まった全5曲

――ミニアルバムリリースの経緯は?
じつはまだ新人のころ、本ミニアルバムのプロデューサーから「ソロで歌いませんか?」と声をかけてもらっていたんです。当時の自分は日々芝居と向き合うことへ精一杯で、そのときは引き受けることができなくて。それが、今回改めて「声優活動10周年でリリースしませんか」というお話があったんです。まず、ずっと覚えていてもらえたことがうれしかったですし、人とのつながりを強く感じて、ぜひやりたいですとお答えしました。

――これまでソロのアーティスト活動は考えたことがなかったのですか?
心のどこかにはあったのかもしれません。ただ、私は目の前のことにしか取り組めない性格で、お芝居をすることに一生懸命だったんです。それから、パーソナリティを務めているラジオ番組のゲストに来てくれたり、身近でアーティスト活動をしている方の話を聞くと、すごく大変そうだったんですよ。個人名義ということは自分の責任も大きいし、生半可な気持ちではやれないと学んだこともあって一歩が踏み出せずにいました。

――さまざまなキャラクターソングを歌うなか、ファンの方からはソロ活動を期待する声も多かったですよね。
そうですね。私がキャラクターとして真摯にレコーディングなどに取り組んできたからかなと思うと、そういう声があることはすごくうれしかったです。もちろん、スタッフの方の力があってこそですが、もしソロとして歌うことがあれば自分なりに精一杯やりたいと思っていました。

――シングルでもアルバムでもなく、ミニアルバムになった理由は?
これは、プロデューサーが決めてくれました。きっとこの10年の私を見て、ミニアルバムがちょうどいいと思ってくれたんだと思います。

――ミニアルバムのコンセプトは?
タイトルの『Tenk you!』が示すとおり、ずっと応援してくれていたファンの方へみんながいてくれたからこんな素敵な機会をもらえたよ、そして10年覚えていてくれたプロデューサーさんへたくさんの「ありがとう」の気持ちがこもったCDになればいいなと考えていました。

――タイトルの「Tenk you!」は「サンキュー」由来なんですね。
はい。考えついたのは、アーティスト写真の撮影をしていたときでした。私が「10周年だからサンキューと10を組み合わせて『Tenk you』はどうですか」と言ってみたら、そのまま決まりました(笑)。この10年でポップな姿もたくさん見せてきたので、そのポップさをタイトルでも感じてもらえたらと思います。

――収録曲について、曲のジャンルや作家陣の希望などは出しましたか?
曲調などについての希望はほとんど出していませんが、作家の方は声優活動の10年で出会った方々と一緒に作りたいと思って、何人か私から希望を出しました。「24/7」の作詞をしてくれた南條愛乃さんは、一番にお願いをしました。スタッフの方から南條さんを選んだことを「いいね」と言ってもらえたので、これはわがままが効くかもしれない! と思い、fhanaの佐藤純一さんやKOHさんにも声をかけてもらいました。南條さんが普段ご自分の歌う曲に詞を書くときはバラードが多いと思うのですが、今回はポップな楽曲のなかで南條さんの詞の世界観を見たいと思ってあえてのチョイスでお願いしたんです。この曲はポップなメロディにラップのようなパートもあるので南條さんとしてはいつもと違うスタイルの楽曲だったと思うのですが、引き受けてくださって。実際、できあがった歌詞は、私のことを考えてくれて、さらに私の大好きな南條さんの世界観も散りばめられた素敵なものになっていてすごく感動しました! 今回のミニアルバム発売を記念して冬にバースデーイベントをやるので、KOHさんが作ってくれた楽曲から冬の音を感じられる曲を選ばせて頂きました。作詞は今回KOHさんからの推薦もあって、宮崎まゆさんにお願いしました!「歌詞に数字の1から10を入れてもらえたらうれしいです」とだけお伝えしたのですが、楽曲との親和性、そして私の10年の歩みを表現してくれるような歌に仕上がっていて、初めて聞いたときは「これこれ!」と自分の歌いたい楽曲が送られてきて本当にうれしかったです。

【高橋 ミナミ】 声優活動10周年記念ミニアルバム「Tenk you!」全曲試聴

――各曲についてもくわしく聞ければと思います。
「Someday is Today」はポップさがありつつ、心に染み入る部分もあって、それでいて中村彼方さんの歌詞は全面的に明るい。新しい冒険が始まるような、昨日までの自分を肯定してくれる曲だなと思いましたし、明日へ向かうときに背中を押してくれる曲になっているなと感じました。タイトルは「いつかと思っていたことがいまここにある」という意味ですが、自分も声優を始めたときには10周年まで活動していると思っていなくて。でもここまで来られたのは、毎日を積み重ねた結果なんですよね。そう考えながら歌詞を読み解くと泣けてきますし、10周年はひと区切りではあるけれど、ここで終わりじゃない、また新たな何かが始まっていくと感じさせてくれる曲だなとも思いました。私自身はもちろん、聞く人の背中も押してくれる曲になっています。毎日を積み重ねて、未来に歩いて行けるような曲になるといいなと思いながら歌いました。

――2曲目の「10 feet」は、先ほど話にあった歌詞に1から10の数字が入った曲ですね。
じつは、最初はKOHさんにお願いしないほうがいいのかなと思ったんです。キャラクターソングの印象が強いので、ミニアルバムの印象がそちらに引っ張られてしまうのではないかと思って。でも、収録曲の最後の1曲を決めるときに、これまでの声優人生で、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の馬場このみさんをとおして私のことを知ってくれた方も多いんだから、このミニアルバムにKOHさんは欠かせないと思ってお願いしました。楽曲は、やっぱりキャラクターソングとは少し違った雰囲気のあるミディアムテンポの曲になりました。キャラクターソングのときはずっと作詞もKOHさんが手掛けていたのですが、今回KOHさんから宮崎さんにお願いしてくださり、お2人で私の歩みを表現してくださいました。この曲を歌うにあたって、自分の10年を振り返ったんですが、本当に仕事のことしか考えていなかったんですよ。悔しかったこともうれしかったこともありましたが、ファンの方の顔もたくさん浮かんできで、このお仕事をしていてよかったと思えたので、10年のハイライトを素直な気持ちで表現できたらいいなと思いながらのレコーディングでした。

――3曲目の「esquisse」は、聞いていると元気になれそうな曲です。
この曲は、毎日がんばっている人の背中を押せる曲になったらと思って選びました。じつは、この曲は制作面で一番悩んだ曲でもあります。個人名義での活動をしてこなかったので、詞に対する自分の希望をどう伝えたらいいのかわからなくなってしまって。いろいろあって作詞をhisakuniさんにお願いすることになったのですが、ご本人も曲を聞いたときに私と同じ思いを感じてくれたそうで、その点もうれしかったです。レコーディングは感情も乗せやすく、歌い方について作曲の木下龍平さんが柔軟に対応してくれました。キャラクターソングであれば、譜割のとおりに歌うのが基本ですが、ここで音の長さを切ってみたいとか、譜割を少し変えてみたいという私の希望をすぐに反映してくれて。最後その日録音したものを聞いてからハモを足したいとも言いましたね。一度歌い終わったあとに聞いたら、最後に音が少なく終わって切ない感じに聞こえたんです。そこで、もう少し音を厚くしたいですとお願いして急遽ハモを作ってもらいました。個人名義だからこそ、やりたいことをやらせてもらえた曲になりました。

――4曲目の「Endless」は未来が感じられる楽曲ですね。
これが最初にレコーディングをした曲です。この曲は、自分の本心を捉えているような曲だなと感じました。私、本当に仕事のことしか考えられないんです。日常生活でも、どうしたらみんなにもっと届けられるのかなとかしか考えていなくて。声優とか役者という職業って、ひとつの作品に携わったとしてもすぐに次に行かなければいけない。お芝居も終わりがなくて、ずっと走り続けなければいけない。走り続けると欲が出てきて、声優としてもっとこうしたい、こうなりたいと思いながら日々がんばっていると、皆さんからよかったよと言ってもらえて、それがまた燃料になる。そのがんばりたい欲がすごく出ている歌なんです。そんな気持ちを込めて、がむしゃらに歌いました。

――最後を飾る南條さん作詞曲の「24/7」は?
歌詞を見たときに、私の「なりたい」が詰まっているなと感じました。デビューをしたときに「みんなに笑顔を届けたい、笑顔の魔法使い・高橋ミナミです」みたいなことを言っていたんです(笑)。その気持ちはいまも変わっていなくて、悲しいことは日常にもたくさんあるけれど、私と関わるときは笑っていてほしい。そんな思いが詰まった歌になりました。理想と現実がていねいに描かれた、等身大のリアルな歌詞が好きなんです。この曲も、「Someday is Today」も私の名前である「みなみ」を歌詞に盛り込んでくださって、それもうれしかったです。歌っていると口角が上がる曲なので、皆さんにも口角を上げて口ずさんでほしいです。

高橋 ミナミ「Someday is Today」Music Video

――初回限定盤のBlu-rayには「Someday is Today」のミュージックビデオ(MV)とメイキング映像が収録されます。撮影の思い出は?
すごく楽しかったです。スタッフさんがみんな心を許せるメンバーで、温かい人たちばかりだったんです。個人名義でのMV撮影は経験がなかったので緊張もありましたが、現場はいつもどおりで。その雰囲気を感じてもらいたくてメイキング映像もたっぷり収録してもらいました。監督には、デビューしたての新人さんのようなMVじゃないものがいいですとお伝えして(笑)、少し大人の雰囲気に仕上げてもらいました。

――キャラクターソングだと、キャラクターの気持ちで歌うことが大事だと思いますが、個人名義だと正解を自分で決められますよね。その意味での難しさはありましたか?
ありました。自分のしつこさを改めて自覚しました(笑)。私、一度レコーディングをして一回聞いたあとに、整理をしてもう一回歌いたくなるタイプなんです。たぶん、自分がどう歌うかの方向性が定まっていないから、歌ってみて「こういう方向に行きたいのか!」って気づくんだと思うんです。自分への期待値も高いのか、もっとできる気がするとなってしまうので……。でも、ミニアルバムに関してはこれが一生に一度になるかもしれないから、こだわりたいと思って何度もリテイクをお願いしました。

――高橋さんにとってこのミニアルバムは、どんな1枚になりましたか?
10年間、自分が何をしてきたのかを考える、振り返りミニアルバムになったと思います。振り返ってみても、仕事ばっかりでしたけど(笑)。私は友達と旅行に行っても、翌日の夕方に急な仕事が入ったら、朝の8時に友達を置いて都心に戻ったりもしていたんです。それでも仲良くしてくれる友達がいることにも気づけましたし、仕事を続けてきて出会いがあったからこそ、今回楽曲をお願いできた方もいて、人とのつながりを思い返せるCDになりました。本当に、このタイミングでリリースできてよかったです。

――では、最後に読者に向けてひと言お願いします。
私にとって声優活動をしてきてよかったと思えるミニアルバムが作れました。素敵な曲ばかりなので、10周年ということを除いても、この曲たちを好きになってほしいですし、あなたが明日への一歩踏み出すとき、その背中を押せるような1枚になれたらうれしいです。ぜひ聞いてみてください。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

■Profile
たかはし・みなみ/12月20日生まれ。神奈川県出身。東京俳優生活協同組合所属。声優としての最近の出演作は、『であいもん』松風佳乃子役、『まちカドまぞく』シリーズ リリス役、『アイドルマスター ミリオンライブ!』馬場このみ役など。

■「Tenk you!」
発売中
ユニバーサルミュージック

初回限定盤4400円(税込)
通常盤3300円(税込)

高橋ミナミの声優活動10周年を記念したミニアルバム。fhanaの佐藤純一が作・編曲を担当したリード曲「Someday is Today」や、声優・アーティストの南條愛乃が作詞を手がけた「24/7」など全5曲収録。初回限定盤には、リード曲のミュージックビデオやメイキング映像を収録したBlu-rayを同梱する。


Tenk you ! (限定盤)(Blu-Ray付)
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