久保ユリカ“大人っぽくて甘い”―『勇者が死んだ!』EDテーマ「可愛くって意地悪しちゃう」 | 超!アニメディア

久保ユリカ“大人っぽくて甘い”―『勇者が死んだ!』EDテーマ「可愛くって意地悪しちゃう」

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2023年7月号にはアニメ『勇者が死んだ!』のEDテーマ「可愛くって意地悪しちゃう」をリリースした久保ユリカが登場。

特集
注目記事
久保ユリカ
  • 久保ユリカ
  • 久保ユリカ
  • 久保ユリカ
アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2023年7月号にはアニメ『勇者が死んだ!』のEDテーマ「可愛くって意地悪しちゃう」をリリースした久保ユリカが登場。



本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。

大人の余裕とかわいさを絶妙なボーカルで歌う


――CDのリリースは、2019年のミニアルバム以来、約4年ぶりですね。

自分名義のCD発売は久しぶりですが、キャラクターソングなどを歌う機会もありましたし、アーティスト活動の担当プロデューサーさんとはよく会っていたので、制作作業そのものはそこまで久しぶりな感じはなかったです。ただ、今回私にとっては初めてのタイアップだったこともあり、いろいろと新鮮でした!

とくにレコーディングの時期がリリースの1年近く前だったりして、その早さに驚きつつ、これがタイアップなんだなと感じていました。

――表題曲「可愛くって意地悪しちゃう」がテレビアニメ『勇者が死んだ!』のEDテーマになることは、どの段階で聞きましたか?

「リリースします」と「タイアップ曲です」は同時に教えてもらいました。ふだんからあまり驚きが表に出るタイプではないので、スタッフの方にどのくらい伝わったかわからないのです……(笑)心のなかでは、「おお!」とかなりビックリしていましたね。

もともと私は自信がないタイプなので、以前だったら作品を背負うタイアップ曲を自分なんかが歌えるのか心配になって、すごく悩んでしまったと思うんです。でも、去年くらいからちょっと心持ちが変わって、いろいろ冒険してみようと思えるようになったし、まずは少しでも心が動いたことがあるのなら、素直に感謝して思いっきり楽しみたいな! って考えられるマインドになってきていたので、タイアップのお話もポジティブに受け入れられました。

――その段階で、『勇者が死んだ!』にマルグリット役で出演することも決まっていましたか?

先に出演が決まっていました! EDテーマを歌うこともその後に決まったので、純粋にうれしかったです。

――レコーディングの段階では、アニメの雰囲気はつかめていましたか?

アフレコはまだ始まっていなかったので、正直まだどんなふうになるかはわかりませんでした。そう考えると、アニメの空気感は「楽曲そのものが持つ力」を信じて、私自身はアーティストとして、表現の方向性をたくさん考えて歌いましたね。

実際にできあがってみると、曲の雰囲気もいいし、EDのアニメーションのシュールでかわいいところがいい感じにマッチしていて本当に素敵で……! 改めて、EDテーマをアーティストとして担当できた喜びを感じました。

――曲のタイトルを見ると、『勇者が死んだ!』という作品のタイトルとは少し違う印象がありますね。

言葉だけ見るとそうですかね?(笑)でも、ちょっとスケベな主人公のトウカくんを、手のひらでコロコロ転がしているような歌だと思うと、「可愛くって意地悪しちゃう」って意外としっくりくるんですよ! 自分でも歌いながらそれを感じて、アニメの主題歌にピッタリな曲を作るスタッフの皆さんのすごさを感じました。

――レコーディングではどんなことを大切にしましたか?

元々は曲に合わせて歌い方を変えるタイプだったのですが、「可愛くって意地悪しちゃう」は曲の音がすごくかわいいので、曲調に合わせて歌ったら、キャラクターソングみたいになってしまうのでは? と心配がありました。

しかも、私が演じるマルグリットとも違う雰囲気になって、作品に登場しない謎の人物が歌っているように聞こえてしまいそうだったため、まずキャラソンにならないようにと考えました。そこからレコーディングまでに何度も曲を聞いたり歌詞を見直したりして。最終的にはかわいさに引っ張られすぎず、トウカくんをコロコロ転がすような大人の余裕さを入れたくなりましたね。

ただ大人っぽくしすぎると、今度は曲のかわいさから離れて、ギャップが生まれすぎてしまいそうだったので、レコーディングの一番初めスタッフの皆さんとしっかりディスカッションして、バランスを決めていきました。

――実際に聞くと、絶妙な甘さと大人っぽさ、そしてかわいさがありますね。

ありがとうございます。作曲のヒゲドライバーさんもリモートでレコーディングに参加してくれて、ワンコーラスずつバランスを考えて歌ったので、すごくいいものになりました。

――ちょっと自信を感じさせる、芯のある声も素敵ですね。

じつは自分でボイストレーナーの先生を見つけて教わるようになったんです。私の声はちょっと高くて、よく言うと「儚い」のですが、それだとどうしても歌の幅が決まってしまう。もっと芯のある歌い方もしたいと思っていたので、いろいろ相談して声の特性を残して芯も混ぜ込むという成果が少しでも伝わっていたらうれしいです。

――冒頭の囁きにはドキッとさせられました。

いろんなパターンで録ったのですが、最終的に最初に録ったものが使われたみたいです。囁き部分もマルグリットっぽくなると、なんだか不思議な感じになっちゃうので、その点はスタッフの方とも話し合って選んでいきました。

――「可愛くって意地悪しちゃう」の久保さん的推しポイントは?

落ちサビ前のDメロです。曲のタイトルが歌詞として出てくるのですが、一番挑発的な余裕のあるお姉さん感が出ているので、そこを聞いてもらいたいです。その部分を聞くと、なぜこの言葉が曲のタイトルになったのかもわかってもらえるのではないかと思います。

あと、さりげない歌詞にも注目してほしいです。作品にちなんだ「フトモモ」や「ニーハイ」「ネクロマンス」という言葉が隠されているので、それを知ったときは「主題歌っぽい!」と私も感激しました。

――MVは、マネキンの脚とフトモモが盛りだくさんで、異色の映像になっていますね。

作品のEDだと知らない方は、映像だけ見ると怖いと思うみたいですが、そこから『勇者が死んだ!』という作品があって、そのうえでフトモモをフィーチャーしたMVになったことを知ってもらえたらうれしいです。

フトモモが映える振り付けもしてもらっていますし、私の楽曲MVのなかだと女性の監督さんが初ということもあり、これまでの私のMVとはまた違ったアプローチになっているかなと思います。

フトモモ要素を盛り込みつつ、マルグリットの王女感も取り入れた衣装も着ているので、ぜひチェックしてほしいです。

久保ユリカ「可愛くって意地悪しちゃう」Music Video


――カップリング曲の「Come on!! Come on!!」は、テンション高めの明るい曲ですね。

こちらは、チームシカコ(※ソロプロジェクトのチーム名)のスタッフさんから曲の希望を聞かれたので「おめでとう」とか「すごいね」とみんなをお祝いしたり、褒めたりする曲をお願いしました。毎日誰かがどこかで誕生日を迎えていて、人生って長くて、大変なことでも意外となんとかなる! あなたってすごいんだよ! って。そんな曲を歌い語ったんです。

それから、いつかライブをするときにみんなの声を聞きたいと思って、コール&レスポンスができそうな部分も盛り込んでもらいました。

――歌詞もものすごくポジティブですが、歌うときにこだわったことは?

あまりにも元気に歌いすぎると、やっぱりキャラソンみたいになっちゃうんですね。このCD自体に作り込みすぎないというテーマを設けていたので、素の私のテンション感で歌うことを大切にしました。私は自分のことにはあまり自信がないけれど、人のことになるとすごく応援したくなるし、大丈夫だよ素敵だよって褒めたくなるんです。だからそのテンションのままに歌うことを心がけていきました。

あとは、どこか遠くで褒めているというよりは、カラオケで隣に座って褒めているような距離感を考えましたね。この曲のノー天気な励ましを聞いて、ちょっと肩の力を抜いてもいいかなって思ってもらいたいです。

――歌詞に出てくる「小さな幸せ」は本当にささやかですが、なんだか元気をもらえますね。

このくらいのゆるいポジティブだと、軽く背中を叩かれたみたいな感じになれるんじゃないかと思うんです。こういう考え方もあるのかという、元気を出す入門編みたいな気持ちで聞いてもらえたらうれしいですね。

――ジャケットは、まさにフトモモが目を引きますね。

ジャケットを決めたときは、私を含めてスタッフ一同「フトモモ」のことばかりを考えていて、すごくいいものができたと思っていたんです。でも解禁してみたら、皆さんから「エロい」という反応があってビックリしてしまいました(笑)。これはエッチなのか……とスタッフ一同冷静になりました。でも、「フトモモ」推しのすごくいいジャケットですから、見慣れていただけたらいいですね。

――久保さんから見た『勇者が死んだ!』という作品の魅力は?

「ちょっとエッチな冒険ファンタジー」というキャッチフレーズが付いているのですが、まさにその通りなところが魅力だと思います。でも、女子から見ても触れづらくなるタイプのエッチな感じはあまりしなくて、イメージとしては沖縄で撮影したマンガ雑誌のグラビアみたいな感じなんです。

主人公のトウカくんはスケベですが、なんだか憎めない。ちょっと抜けたところがあって優しさもある。そこがいいんですよね。とにかく男女問わず楽しめると思います。

TVアニメ「勇者が死んだ!」PV第2弾


――演じるマルグリットの魅力は?

王女なので、ほかのキャラクターと比べるとおしとやかです。そして、ほかのみんながボケキャラなので、ツッコミに回るタイプなんです。王女なのにツッコが的確で、そのパターンも多彩。王女らしさとのギャップがかわいいです。

それから、マルグリットはもともとシオンが好きなんですが、旅をするなかでトウカが気になるようになるんですね。それをオープンに伝えるし、恋愛面になると暴走しがちなところもあるので、そういうギャップも魅力的です。

――マルグリットのお芝居ではどんなことを大切にしていますか?

ほかの女の子キャラクターが元気ではつらつとしていたり、頭身が低くてかわいかったりするので、王女ならではの品のよさを大切にしました。ただ、私が関西出身なので、どうしてもツッコミのシーンで関西人の血が騒いじゃうんです。つい激しく突っ込みすぎて、音響監督から「王女様だから冷静に突っ込んでください(笑)」と言われることもありました。なるべくみんなの激しいテンションに釣られないようにと意識しましたね。

――自分としては、挑戦の多い1枚になったなと感じますか?

そうですね。配信で聞いた方のなかに、1stシングルの「Lovely Lovely Strawberry」に似ているっていう声があったんです。でも、私自身はまた違うアプローチで歌えたと思うので、その方向性の違いを聞き比べたりしてほしいですね。チームシカコにとってもいままでにない方向性なので、ちょっと不安もありますが、何事もやってみたいと思ったときがやりどきだと思うんですね。ですから、新たな挑戦ができて本当によかったです。

――最後に読者にメッセージをお願いします。

久々のリリースなので、できるだけ多くの方に楽しんでもらえるような曲を出せたらと思って作りました。タイアップ曲ということで、これまで以上に多くの方が関わって手助けをしてくださったことが伝わればうれしいです。EDを担当できたことが本当に幸せなので、ぜひ何回も聞いてもらい、MVで披露しているフトモモを指すポーズもマネして踊ってみてください。今後もマイペースになっちゃうかもしれませんが、久保ユリカの音楽活動を応援してもらえたらと思います。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

■Profile
くぼ・ゆりか/5月19日生まれ。奈良県出身。ステイラック所属。これまでに、シングル4枚(うち限定シングル1枚)、アルバム、ミニアルバム各1枚をリリース。声優としての主な出演作は『勇者が死んだ!』マルグリット・ファロム役など。

■「可愛くって意地悪しちゃう」
発売中
ポニーキャニオン

初回限定盤2200円(税込)
通常盤1500円(税込)
きゃにめ限定盤2860円(税込)

久保ユリカの4thシングルは、自身初のタイアップ。表題曲はテレビアニメ『勇者が死んだ!』のEDテーマで、ちょっと大人なお姉さんのキュートな魅力が表現された1曲だ。初回限定盤には、同曲のミュージックビデオ(MV)とMVのメイキング映像を収録したBlu-ray、ブックレットが同梱される。



《超!アニメディア編集部》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集