佐々木恵梨、映画『ゆるキャン△』ED「ミモザ」のMV制作秘話も明かす「撮影は全編私の地元」 | 超!アニメディア

佐々木恵梨、映画『ゆるキャン△』ED「ミモザ」のMV制作秘話も明かす「撮影は全編私の地元」

雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2022年8月号には、TVアニメ『ゆるキャン△』第1期からEDテーマを担当し、現在公開中の映画でもED曲「ミモザ」を歌唱するシンガーソングライター・佐々木恵梨が登場。

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佐々木恵梨さん
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  • 「ミモザ」発売中<通常盤1760円(税込)>
  • 「ミモザ」発売中<アニメ盤2420円(税込)>(C)あfろ・芳文社/野外活動委員会

アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。
2022年8月号には、TVアニメ『ゆるキャン△』第1期からEDテーマを担当し、現在公開中の映画でもED曲「ミモザ」を歌唱するシンガーソングライター・佐々木恵梨が登場。

本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。

「ミモザ」発売中<通常盤1760円(税込)>

少し成長した女の子たちを自然体の音楽と歌で表現


――『ゆるキャン△』もついに映画になりました。
 映画になると聞いて、改めて人気のコンテンツなんだなと思いました。そのなかで、続けてEDを担当させてもらえるということで、光栄に思います。

――映画『ゆるキャン△』のEDテーマである「ミモザ」は、佐々木さん自身が作詞・作曲していますが、どのように制作していきましたか?
 まず、監督を含めた映画の制作チームの皆さんとのミーティングがありました。まず基本的にお任せしますと言っていただけたのですが、そこで映画のテーマやどんな物語になるかを教えてもらったんですね。お話のなかで監督自身が、「就職して社会人になったけれど、まだ自身を子供のままのように感じている自分が、地元に帰ってきて少し成長したと感じる体験をした」というエピソードを語ってくださいました。私もそのお話にすごく共感ができたので、楽曲のテーマに盛り込みました。制作の過程では、これまで『ゆるキャン△』シリーズは、テレビアニメだけでなくゲームのEDでも関わらせてもらっていたので、今回はちょっと趣向を変えた楽曲にしてはどうかなと考えたんです。ただ、アニメの制作陣的にはこれまでのEDである「ふゆびより」や「はるのとなり」に続くような曲をという思いがあったようで、何度か作り直しをしました。

――『ゆるキャン△』のEDは、アコースティックのイメージが強いです。
 そうなんですよね。私も『ゆるキャン△』といえば、ナチュラルで編曲や音数に頼らないメロディというイメージがありました。ただ、すでに3曲も作っていると、若干ネタ切れ感もあったんですよ。それで、三拍子がいいかなとか、アニメの制作陣からの「サビにもう少しキラーフレーズを入れてほしい」というオーダーを加えて試行錯誤をしていった結果、今回の「ミモザ」が完成しました。

――レコーディングでは、どんなことにこだわりましたか?
 声を張らず、ナチュラルな感じでレコーディングをしました。歌うというよりは、語るという感覚に近いですね。今回は、デモの段階から自分でバイオリンを弾いていて、実際のレコーディングでも自分でバイオリン演奏をしたので、その収録でいつもより少し時間がかかりましたが、それほど大変ということはありませんでした。

――CD発売直後に、劇場でもEDが流れますが、劇場で聞いてほしいポイントはありますか?
 じつは、劇場で流れるEDは絵に合わせてイントロを変えているんです。ムービーエディットとして映画専用のイントロになっているので、ぜひその違いを聞き比べてみてほしいです。

――タイトルの「ミモザ」はどのように決めたのでしょうか?
 今回MVを私の好きな生花店で撮影させてもらったんです。そのときに店主の方から「応援しています」とプレゼントされたのがミモザの花束だったんですね。撮影の段階ではまだ曲のタイトルを決めていなかったんですが、ミモザについて調べたら「感謝」や「友情」という花言葉があったので、「これだ!」と思って。店主の方のおかげで、このタイトルに決まりました。

――「ミモザ」のMVは、ほぼ手作りだと聞きました。
 そうなんです。私と、いつも一緒に曲を作っている中村ヒロさんと、レコード会社の制作の方と3人で、私が日常でいいなと思っている風景をスマートフォンで撮影していきました。映画のテーマに里帰りがあるからということもあり、撮影は全編私の地元でして。ノスタルジーをテーマに、自分が子供のころ遊んだ海や懐かしい風景を切り取ったので、個人的には染み渡るようなものになったと思っています。


――メイキング映像も当然手作りですよね?
 そうですね。特殊な衣装や特殊な効果が必要であればスタジオで撮ったほうがいいと思うんですが、全部自分と近しい方にお願いできると、自分好みなものにできるんです。何より『ゆるキャン△』という作品的にも、自然感や手作り感があったほうがいいかなと思って、手作りに行き着きました。

――ジャケットも手作りだとか。
 どの写真を使うか、どの明るさにするか、文字はどうするか……など、自分の思ったように作ることができました。今回、盤面のデザインも自分で担当したので、思ったように作れたのが楽しかったです。

――これまで『ゆるキャン△』シリーズのEDを手がけてきた佐々木さんが感じる、『ゆるキャン△』という作品の魅力は?
 言葉にするのはなかなか難しいですが、癒しの映像作品であるところでしょうか。私はもともとミステリなどの筋があって伏線を回収していくような物語が好きなんですね。『ゆるキャン△』はそういうタイプではありませんが、そのぶん何も考えずにゆったりと見ていられる。ちょっと瞑想に近いというか、見終わるとすっきりするようなところが素敵なのかなと思います。あと、大人から子供まで、年齢を選ばず楽しめるところもいいんでしょうね。

――ちなみに、佐々木さんが『ゆるキャン△』のなかでとくに好きなキャラクターは?
 ちくわです!

――カップリングは2曲収録されますが、どんなテーマで作りましたか?
 普段から、シングルのカップリングは好き放題やらせてもらっているんです。もともとプログレのバンドをやっていましたし、洋楽を含めいろんなジャンルの音楽が好きなので、それを入れている感じですね。シングルに入れるからと制作したというよりは、たまたまシングルリリースのタイミングでできあがったのがカップリングの2曲だったという感じでした。

――カップリング曲の「透明散歩」は、すごくノリのいい曲ですよね。
 この曲は、大学時代から付き合いのある鵜飼大幹くんが「こんな曲できたよ」と送ってくれたことがきっかけです。私が歌を付けて編集して鵜飼くんに投げ返して、そこに鵜飼くんがさらにプラスしてくるみたいなキャッチボールのような作り方でした。制作時にたまたま私が潜水する人の動画をよく見ていたこともあってか、曲から海っぽさを感じたんですね。それで、歌詞は海のなかを冒険するようなものにしました。リズムを優先して作詞をしていったので、この曲って楽しいなと思いながら聞いてもらえたらいいですね。


――もう1曲のカップリング曲「Twin Ray」についても教えてください。
 じつは曲自体は、何年も前に中村ヒロさんが作ってくれていたんです。私がこの曲を好きすぎていつかリリースしたいと思っていたところ、ちょうどタイミングが合っての収録になりました。私はスピリチュアルな概念にくわしくて、アルバム曲にこっそりそういうテーマも入れているんですが、今回の曲は「ひとつの魂が2つの身体に入って生まれている」という「Twin Ray」を題材に作詞をしてみました。レコーディングは、「透明散歩」も「Twin Ray」も基本的には考えすぎず、曲を聞いて自分のなかに出てきた感情のままに歌う感覚です。念のようなものがあると聞く人も重いし、曲が広がっていかないんじゃないかと思っちゃうんですよね。

――今回のCDは、佐々木さんにとってどんな1枚になりましたか?
 一番自分の息を詰め込んだ1枚かな。佐々木恵梨の好きなものや、いまの思いが詰まっていると思います。

――最後に、読者にメッセージをお願いします。
 まず、映画『ゆるキャン△』は、ぜひ映画館に見に行ってください。映画館でしか聞けない迫力や、声に包まれている感覚で作品も「ミモザ」も味わってもらえたらと思います。そして、CDも買っていただき、聞き比べなどもしてもらえたらうれしいです。


取材・文/野下奈生(アイプランニング)

(C)あfろ・芳文社/野外活動委員会

■Profile
佐々木恵梨:2015年に『プラスティック・メモリーズ』のOPテーマ「Ring of Fortune」で歌手としてCDデビュー。『ゆるキャン△』はテレビアニメ第1作からEDテーマを担当。これまでに、シングル5枚、アルバム2枚をリリースしている。

■「ミモザ」発売中
MAGES.
アニメ盤2420円(税込)
通常盤1760円(税込)

表題曲は公開中の映画『ゆるキャン△』のEDテーマ。テレビシリーズのEDテーマと同様のアコースティックナンバーで、佐々木の柔らかな歌声が心地よく響く1曲。アニメ盤は、アニメ描きおろしデカ帯仕様で、同梱のDVDには「ミモザ」のミュージックビデオ(MV)のほか、メイキング映像も収録。


ミモザ
¥1,050
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

メガミマガジン2022年8月号 [雑誌]
¥1,137
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《アニメディア編集部》
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