
「箏」に情熱を傾ける高校生の姿を描くアニメ『この音とまれ!』がアツいです。原作は、2019年現在「ジャンプSQ.」で連載中で、アニメは1クールを終えて2クール目の放送も決定(2019年10月より)。主人公・久遠愛(くどおちか)をはじめ、その仲間たちの必死の姿に毎度、心がギュッと締めつけられ、苦しいような甘酸っぱいような、なんとも言えない気持ちにさせられます。
さて、この「箏」とオバケの関係といえば、鳥山石燕が『百器徒然袋(ひゃっきつれづれぶくろ)』という画集の中で描いた「琴古主(ふることぬし)」あたりが有名でしょうか。絵を見ると箏に目が付いていて、弦が髪の毛か煙のようにうねっています。
絵の脇には解説があり「八橋とかいへる瞽(こ)しやのしらべをあらためしより、つくし琴は名のみにして、その音いろをきき知れる人さへまれなれば、そのうらみをしらせんとてか、かかる姿をあらはしけんと、夢心におもいぬ」と書かれています。意味をかいつまんでお伝えすると、つくし琴(筑紫箏)という箏が廃れ、知る人がいなくなったことを受けて、そのことを知らせようと姿を現したものが「琴古主」である――といったところでしょうか。音を奏でて人を楽しませていたはずの箏ですが、その存在を忘れられてしまい、オバケになってしまったのでしょう。
『この音とまれ!』では次々にトラブルが起こりながらも、愛をはじめとした箏曲部のメンバーが箏と向き合い、それぞれが求める音に近づこうと奮闘しています。作中の箏も、愛たちのように大切に、そして真剣に向き合ってもらえれば、オバケになることはまずなさそうですね……。
