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劇場版『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』が飛ぶ鳥を落とす勢いで大きな興行収入を記録しています。私も公開されてすぐ観に行きましたが、期待を裏切らないどころか上回る、ワクワクとドキドキが詰まった作品でした。劇場版『名探偵コナン』の第1作目が公開されたのは1997年、今(2019年現在)から22年も前のことです。長寿が過ぎて「平成のホームズ」にはなりそこねたようですが、どうやら「令和のホームズ」を目指して幸先の良いスタートを切っているようです。
さて、今回の劇場版の主要キャラクターは、なんと言っても怪盗キッドと京極真。怪盗キッドこと黒羽快斗は『まじっく快斗』の主人公でもあり、世界的マジシャンの父・盗一の死の謎や、盗一の死に関わっていて伝説の宝石・ビッグジュエルを狙う謎の組織の正体を探るため怪盗をやっている……という設定ですが、今回の劇場版ではシンガポールにて‟とある罠”にハメられてしまいます。着せられた濡れ衣を晴らしつつ「ブルーサファイア」という宝石を盗もうと、コナンと協力して事件解決に一役買うところが見どころです。
怪盗キッドお得意のマジックは、じつはオバケと通じるところがあります。江戸時代には、オバケを目に見えるように出してみせる手品や芸が数多くあったようで、そうした手品を紹介する本なども出版されました(参考・横山泰子『妖怪手品の時代』)。たとえば、紙などをふくらませて「大入道」を出してみせるものや、壁に「鬼」を映し出す手品なども人気だったといわれています。
手品(マジック)とオバケは人を惑わし、楽しませるという点では共通するのでしょう。怪盗キッドがオバケを出してみせる……ことは残念ながら今のところないように思いますが、まだ『紺青の拳』を観ていないという方は、ぜひ彼の手から生み出されるマジックに注目しながら楽しんでいただければと思います。
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