See-Sawがコンプリートベストアルバムをリリース、とくに印象に残っている曲は「あんなに一緒だったのに」と「indio」【インタビュー】 | 超!アニメディア

See-Sawがコンプリートベストアルバムをリリース、とくに印象に残っている曲は「あんなに一緒だったのに」と「indio」【インタビュー】

1993年にデビューした石川智晶・梶浦由記によるユニット・See-Sawが、コンプリートベスト「See-Saw-Scene」を6月10日にリリース。ビクター・フライングドッグに移籍前の楽曲も収録したCD3枚組全37曲と …

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 1993年にデビューした石川智晶・梶浦由記によるユニット・See-Sawが、コンプリートベスト「See-Saw-Scene」を6月10日にリリース。ビクター・フライングドッグに移籍前の楽曲も収録したCD3枚組全37曲となる本アルバムへの想いについて、両名にお話を聞いた。

See-Saw

――See-Sawとしてのリリースは、2005年のシングル『君は僕に似ている』以来となります。コンプリートベストのリリースが決まっての気持ちをお聞かせください。

石川 今回のリリースで改めて「See-Saw」って時間を持たないというか、すべてが巡り合わせでできているように感じます。不思議なご縁で結ばれているというか。自分の意思とは違う次元でまた突然、風が来たような、そんな思いです。今のこの状況下のなかだからこそ、意味のあるリリースだと感じております。

梶浦 素直にうれしいです。もともと音楽は時代とともに流れて消えて行くのも自然であると思っていましたし、正直、新たに作る音ばかりに気持ちも行っていて、昨年からSee-Sawを振り返る機会が偶然増えたのはまさにタイミングとも呼ぶべきものだったのかもしれません。こうして久しぶりに皆さまに「聴いてください」と差し出すことができる、という状況はふたりが音楽を続けて来たからこそのご褒美をいただいたようなものかな、とも思っています。

――全37曲中でとくに印象に残っている曲は?

石川 『機動戦士ガンダムSEED』(2002~2003年放送)のED「あんなに一緒だったのに」はSee-Sawとしては大きな転機でした。まだ評価をいただけてない時期に毎週1曲は必ず作るという縛りで、ひたすら試行錯誤でストック曲を増やしていた苦しいときがありましたが、そのなかの1曲が目に止まり、さらにふたりでガンダム作品へと生まれ変わらせて、曲に輝きを得た瞬間に立ち会えました。

梶浦 「制作で」ということになると、「indio」でしょうか。アマチュアのころライブで何度も演奏していた曲で、でもデビューにあたっては「暗い」と見向きもされなかった曲でした。See-Sawの活動休止を経てTVアニメ『NOIR(ノワール)』(2001年放送)の挿入歌としてレコーディングさせてもらったときに「もう一度、ここから音楽を始めてもいいんだ」とでもいうような、そんな清々しいような気持ちになったのをよく覚えています。

――「新しい予感~Only at JUSCO~」は、初のCD化です。

石川 JUSCO(現AEON)のお近くにお住まいの方は、館内で結構よく聴いていたらしいですね。このCMの制作は、普段の音楽環境とは違うCM制作スタッフのなかで行われていて、まだSee-Sawが下積み時代で、我慢と忍耐を大いに学びましたね。それにしてもこの曲、See-Sawにしてはポジティブまっしぐらです!

梶浦 このメロディーは歌のほかにもいろいろな楽器アレンジのCMを作らせていただいて、何度も形を変えて付き合ったので印象が強いですね。イメージを明るいほうに振り切って作るのも逆にとても楽しかったです。CMとして流れなくなってからも長いこと「お掃除の時間にいつもショップで流れています!」なんてメッセージもいただけて、うれしかったですね!


――2019年12月には17年ぶりのワンマンライブも開催されました。

石川 17年ぶりのSee-Sawのライブは、ステージからの景色をひとつひとつ感じながら歌わせていただきましたが、1曲目から泣いているお客様が驚くほど多くて、とてもありがたく感じたことを覚えています。久しぶりにSee-Saw楽曲をお披露目できて、また新たに作品に羽をもらったように感じました。

梶浦 スタッフにもバンドにもSee-Sawを初期から支えてくれた方が多く、お互い音楽を続けてきた、成長して来た自分としてステージで再会を果たせた喜び、そんなものを感じながらの1日でした。何よりライブは「見たい」と思ってくださった方がいてこそで、そんな客席のおひとりおひとりとの再会はただうれしかったとしか言いようがありません。MCとしては、自分がメインでしゃべらないライブは久しぶりで、そこは本当に楽でした(笑)。

――石川さんは、クリエイターとしての梶浦さんのどんなところをとくに魅力的だと感じていますか?

石川 「自分の世界」というのは言うより容易なことではないと感じます。世界を守るというのは振り切るほど頑なでなくてはならないし、寛容すぎても、意見を聞きすぎてもいけない。そんな絶対的な責任や不安を頭のなかでロジックで置き換えることができる。梶浦由記というアーティストは、その世界観と賢さ、べらぼうに耐久性に長けていると感じてます。

――では、梶浦さんは、ヴォーカリストとしての石川さんのどんなところを魅力的に思っていますか?

梶浦 芯のあるアジアンヴォイス、音符のどまんなかを貫くノンヴィブ、声質も魅力的ですがともかくうまい! です。当然ですがSee-Sawの多くの曲は彼女の声なくしては生まれませんでした。作詞家としては、「そこから掘るの?」という驚きやキャッチーな言葉選びのセンス、むしろ言葉を削るセンスなのかもしれません。時には強引とも思える単語の羅列が無駄なく意味を持ってキラキラする、その瞬間にハッとします。個性とはああいったものなのだろうなと思います。

――ご自身にとってSee-Sawとはどんな存在でしょうか?

石川 「種」ですね。すべての始まりです。「1(イチ)」を足していったり、掛け算することも大変な努力がいりますが、それでも「0(ゼロ)」から「1」にすることのほうが相当な熱量のエネルギーが必要だと思っていて。説明するのは難しいですが、最初が「See-Saw」でないと音楽を仕事にするというフィールドには行けなかったと思います。

梶浦 デビューから約10年弱になるのでしょうか。私にとってSee-Sawの活動は音楽を始めたころの喜びからつたなさから、その後のささやかな成長から、「はじめの10年」の多くが克明に刻まれた自分史のようなものでもあるかなと思います。「よーいスタート!」とあのころ目指したゴールからはちょっと外れた場所に今たどり着いてはいますが、私の音楽人生のスタートライン、文字通りの原点です。

――最後に読者へメッセージをお願いします。

石川 皆さまそれぞれの歴史のなかで、一時でもSee-Sewの曲が隣に寄り添っていた時期があったとしたら、私が歌に対して想ってきたことも肯定されるでしょう。これからもこのアルバムを時々は手に取っていただき、時代だとか年齢だとか、縛られた考えから時には抜け出して、See-Sewがあなた様をいい景色へとあと押しできるものになってくれたらうれしいです。

梶浦 このアルバムをお届けできることが心からうれしいです。See-Sawの曲はどれも、おそらく今現在私たちが作っている音楽よりほんのちょっとだけ、いろいろな意味でいっぱいいっぱいで、表面張力の限界まで何かを詰め込もうとしていたような……。そんな曲の何れかが、あなたの思い出のどこかのシーンに届いていたでしょうか。あるいはこれから届くことがあるでしょうか。そうあればうれしいです。これがSee-Sawのすべてです。どうぞよろしくお願いします。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)

PROFILE
See-Saw 【シーソー】石川智晶(Vocal&Chorus)、梶浦由記(Keybord)によるユニット。1993年7月に3人のユニットとしてデビュー。1994年4月よりふたりとなり、1995年2月のシングル『また会えるから』の発売後それぞれがソロ活動を開始。2001年に活動を再開後、数多くのアニメ、ゲーム等の主題歌を担当。2006年に再び活動を休止してソロ活動を展開している。

See-Saw Complete Best「See-Saw-Scene」リリース情報
発売日:発売中
レーベル:フライングドッグ
価格:4,500円


《超!アニメディア編集部》
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