ロザリーナが歌う「Over me」、寂しさ・苦しさ・決意をメロディーと歌詞と歌声で表現、そのすべてが『からくりサーカス』である【楽曲レビュー】 | 超!アニメディア

ロザリーナが歌う「Over me」、寂しさ・苦しさ・決意をメロディーと歌詞と歌声で表現、そのすべてが『からくりサーカス』である【楽曲レビュー】

累計発行部数1,500万部を誇り、その壮大かつ熱いストーリーと迫力あるアクションシーンの描写で根強い人気を誇る『からくりサーカス』。原作者・藤田和日郎完全監修のもと2018年10月よりアニメ化し、3クール9か月に及ぶ壮 …

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 累計発行部数1,500万部を誇り、その壮大かつ熱いストーリーと迫力あるアクションシーンの描写で根強い人気を誇る『からくりサーカス』。原作者・藤田和日郎完全監修のもと2018年10月よりアニメ化し、3クール9か月に及ぶ壮大なアニメシリーズを展開する本作が2019年4月より最終クールに突入した。

 本作は莫大な遺産を相続した少年・才賀勝が命を狙われている中で、不器用ながらも誰かが危険な身にさらされていると体が勝手に動いてしまう青年・加藤鳴海や、懸糸傀儡(マリオネット)「あるるかん」を操り、勝を守る少女・エレオノール(しろがね)と出会い、数奇な運命の歯車に巻き込まれていくという物語だ。

 勝の相続を狙う人間たちから勝をエレオノール、そして鳴海が守るところから回り始めた運命の歯車。瀕死の状態になったところをギイに助けられ、「生命の水」(アクア・ウイタエ)を飲んで不死の体となった鳴海。彼は、自らも患っていた人を笑わせないと生きていけない奇病・ゾナハ病をまき散らす自動人形(オートマータ)たちをその身を賭して破壊していくこととなる。また、すべての元凶である才賀貞義=フェイスレスの「永遠の命」の計画の器(肉体)であったことを知ることとなる勝。そして、フェイスレスのオリジナルと呼べる白金の想い人であるフランシーヌの記憶の一部を受け継ぎ、容姿も似ていることからフェイスレスに狙われるエレオノール。鳴海は仲間と出会い、そして散っていく彼らの意志を受け継ぎ強くなり、勝は自らの運命と向き合うことで成長し、エレオノールは自らの境遇に屈することなくフェイスレスに抗う。


『からくりサーカス』の原作を幼い頃に原体験として読んでいた筆者は、アニメ終盤の怒涛の展開に熱い気持ちと涙が止まらなくなっている。最初は気の弱かった勝が逞しくなっていく姿……それぞれの想いを胸に戦い、そして散っていく仲間たち……白金によって、フランシーヌ人形を笑わせるために作られた4体の自動人形「最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)」であるパンタローネ・アルレッキーノ・コロンビーヌが存在意義を見いだすこと……。特にコロンビーヌの戦いと勝の最後の涙は、声優の悠木碧さんと植田千尋さんの演技も相まって、心が揺さぶられた。

 そんな『からくりサーカス』の物語と登場人物たちへの賛歌として製作されたのが、「Over me」。本曲は第一クールでエンディングテーマ「マリオネット」を歌唱したロザリーナの楽曲である。疾走感がありながらもどこか寂しさも感じるメロディーと、運命に抗っている歌詞はまさに物語のクライマックスにふさわしい一曲となっている。

「Over me」では約3分の曲のなかで、『からくりサーカス』の登場人物たちの人生を感じることができる。例えばAメロ。「迷わずにはいれないのか」「ただ好きな人達といたいのに」という歌詞からは仲間たちを失っていく鳴海や勝、運命のいたずらにより心を通わせていた鳴海から冷酷な態度を取られ、強くなったとはいえ守るべき存在である勝が戦いに身を興じることへの不安を募らせるエレオノール、そして、愛した者たちと一緒にいたかっただけのフェイスレス……と、様々なキャラクターのこれまでと今の境遇が伝わってくる。

 また、2番のサビ前「でもだって全部大切で 選べやしないから」というところでは「しろがね」として長く戦ってきたギイと勝の最後のやり取りを思い出す。フェイスレスの野望を止めるべく歩みを止めない勝、鳴海やエレオノールたちにすべてを託し、大量のオートマータたちと心中を図ったギイ。そんなギイの想いを分かっていても、勝はギイを助けようとした。涙した。勝にとって出会った仲間たちすべてが大切。だから「選べない」。この部分はそんな彼の心優しい部分と強さの源がわかるようなパートだとも感じられた。

 そして、「Over me」のサビ。1番と2番はほぼ同じ歌詞だが、最後の1節だけ微妙に異なっている。1番は「戦ってるんだ」2番は「戦うしかないんだ」。決意と諦め両方の意味が込められているようなこの歌詞は、絶望的な状況で救われるのかどうかも分からない、それでも戦う“彼ら”を表現しているようである。ロザリーナの寂しそうな、苦しそうな、でも「やるしかない」という決意が込められた歌声からは、登場人物たちの訴えや叫びすら感じられた。

 このほかにも、さまざまなパートで色々な登場人物を思い浮かべることができる本曲。なかには同じパートでも私とは違う感じ方をした方もいるだろう。物語が収束していく本作と併せて、改めて『からくりサーカス』に寄り添ったオープニングテーマ「Over me」にも注目してみてはいかがだろうか。そうすることで新たな発見もあるかもしれない。

「Over me」情報
CD情報 ※発売中
〈値段〉
通常盤(初回限定仕様有):CD only ¥1,204+税


期間生産限定盤(アニメ盤):CD+DVD ¥1,667+税 ※アニメ書き下ろし絵柄デジパック仕様


※両形態共通
1.Over me (TVアニメ『からくりサーカス』オープニングテーマ)
2.アネモネ
3.マリオネット Piano Ballad ver.

※期間生産限定盤のみ
1.マリオネット Music Video
2.TVアニメ『からくりサーカス』オープニングムービー ノン・クレジットver.

配信情報
Over me アニメ ver.、Over me フルver.共に各サイトにて配信中。


CDご購入・楽曲DLはこちら
https://smr.lnk.to/opp3pWN

ロザリーナオフィシャルWebサイト
http://lozareena.com/

《超!アニメディア編集部》
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