読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2023年4月号には、冬アニメ『冰剣の魔術師は世界を統べる』より、エリサ＝グリフィス役を演じる春村奈々が登場。
本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。
人見知りな感じはありつつ 媚びすぎないお芝居を
――『冰剣の魔術師は世界を統べる』という作品の第一印象は？
原作の小説は、イラストがとにかくかわいい！ それから物語がていねいに描かれていて、とても読みやすい印象でした。コミカライズ版は戦闘が多めでかっこいい雰囲気が強かったです。
――アニメになって、作品への印象に変化はありましたか？
なぜかアニメは冒頭から筋肉押しがすごくて（笑）。レイくんは孤独に生きてきて、ほかの人との仲よくなり方がわからないからかもしれませんが、筋肉を通じて同級生のエヴィくんたちと交流を深めていくんです。全体としてはレイくんを中心にしたシリアスな展開もあるので、まずそのギャップに驚きました。それから、コミカルさとシリアスさのメリハリがあっておもしろいなとも感じました。
――エリサにはどんな印象がありましたか？
とても人見知りで、引っ込み思案な子という印象でした。それもあって、声の出し方も控えめなんだろうなと思っていました。
――でも、敬愛しているレイの師匠・リディア＝エインズワースの話になると、人が変わりますよね。
そうなんです。「エインザー」（リディアを好きな人の呼称）としての面が出ると、すごく興奮して早口になる。私もオタク気質なところがあるので、アフレコでエインザーとして話をするときは、何も考えずに言葉が口から出てしまっているような感覚で演じています。
――エリサを演じるときに大切にしていることは？
エリサちゃんは周りの人から「守ってあげたい」と思われるタイプですが、ちゃんと自立した感じは出していきたいなと思っていました。前半はとくにおどおどしているところが多いのですが、後半になるとレイくんや同級生のアメリアちゃんと仲よくなって、普通におしゃべりができるようになっていきます。後半からはおどおどした感じは控えめにして、媚びすぎないように、あざとくならないように心がけました。
――エリサはレイと知り合ってから交友関係が広がって成長しますが、その成長を演じる難しさもありそうです。
そうですね。でも、あまり自信を持った発言をしすぎると、普段のエリサちゃんとかけ離れてしまうので、ちょっと自信がない感じ、普通の女の子であることは意識していました。
――スタッフからは、どんな指示がありましたか？
エリサちゃんを演じるときは地声より少し声を高くしているので、うわずってしまうことがあったんです。そのときにリテイクは何度かいただきました。それから「もっとかわいくしていいですよ」と言われたことがありました。レイくんの周りって、魅力的な女の子がたくさんいるので、そのときは私も視聴者の方にエリサちゃんもかわいいんだと思ってもらいたいという気持ちでした。ほかの女の子が、勝ち気だったりツンデレだったりして魅力的なので、清楚というか純真無垢というか、そんな魅力が出せたらと思っていました。
――エリサに共感できるところはありますか？
オタクなところです（笑）。エリサちゃんって、レイくんと出会うまではエインザーとしてひとりで活動していたと思うんです。私も、ひとりで好きなアイドルを追いかけていっちゃうタイプなので、オタクな気持ちはすごくわかります。
――物語は第8話まで進んでいますが、春村さんが感じるエリサの魅力は？
「守りたい」と感じさせるところでしょうか。人と関わることが増えて、「守りたい」と思われることが増えていくように感じました。そういう庇護欲をかきたててしまうところも、エリサのかわいいところだと思っています。
――主人公のレイに対する印象は？
周りの人たちひとりひとりと大切に接していて、すごく素敵だなと感じます。とくに女の子への対応がスマートですよね。それからシンプルにかっこいい。自分の気持ちをストレートに言葉にするところも好きです。私がズバズバとものを言うタイプで、同じように返してくれる相手だとうれしくなっちゃうので、レイくんのように本音を伝えてくれる人は尊敬します。
――第8話までで、レイ以外に気になるキャラクターはいますか？
やっぱりリディア師匠ですね。リディア師匠とレイくんのやりとりがすごくおもしろいんです。リディア師匠はユーモアにあふれている方なので、レイくんの時々出る天然な発言がリディア師匠譲りなんだとわかって、ほっこりします。
――第7話で、リディアにエリサがサインを書いてもらうシーンがありましたね。
ありました！ じつは、私はリディア師匠を演じる種崎敦美さんを尊敬しているので、「ファンですっ！」というエリサの発言もサインをもらうところも、種崎さんへの思いを少しだけ乗せさせてもらいました。
――第8話までで印象的だったシーンを教えてください。
第8話で、レイくんがアメリアちゃんと「ひと晩一緒だった」と話すシーンがあるのですが、そこでエリサちゃんが「えっ」と驚いた顔をするんです。私個人としては、エリサちゃんはレイくんにまだ恋という感情は抱いておらず、友達として好きなんだと感じているんですね。でも、それがだんだん「もしかしたら……」と思える始まりのようなシーンなので、すごく好きです。
――物語はクライマックス目前です。今後の見どころを教えてください。
魔術師を狙う存在との戦いが始まり、レイくんや登場人物たちが切磋琢磨して困難を乗り越えていくので、ぜひ楽しみにしていてください。シリアスなシーンだけでなく、コミカルなシーンもあるので、そこにも期待して欲しいです。それからレイくんはもちろん、アメリアちゃんや友人のクラリスちゃん、エリサちゃんたちひとりひとりにもスポットが当たっていきますので、何度も見て楽しんでもらえたらうれしいです。
MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.ハイパーポジティブ
自分を鼓舞することが一番モチベーションアップにつながると気づいて、自己肯定感を高くしていこうとがんばった結果、あらゆる物事をポジティブに考えられるようになりました。
Q.自分のニックネーム
A.ななぽよ、ちゃんなな
SNSで自分の名前を変更するときに、「ぽよ」って付けたらかわいいかも、と思ったことがきっかけです。それ以降事務所の先輩方にも「ななぽよ」と呼んでもらえるようになりました。「ちゃんなな」はプライベートの友達からよく呼ばれます。
Q.自分の声の特徴
A.ハスキーだけど高い
低くもありつつ高くもある、でもハスキーとも言われる不思議な声です。ただ、自分ではあまり特徴をまだ理解できていません（笑）。
Q.自分の性格
A.ガサツ
部屋が本当に整理整頓されてないんです。ちゃんとゴミはゴミ箱に入れていますし、床も見えていますが、カバンなどがあちこちに分散してしまっていて。その日、持って行きたいものは、その都度探したりしています……。
Q.何オタク？
A.アイドル。とくにモーニング娘。が好きです。
もう10年くらいモーニング娘。さんが好きで、いまは13期の横山玲奈ちゃんと、15期の岡村ほまれちゃんを推しています。活躍しているアイドルって、たくさんの努力をしていると思うのですが、私はそのがんばる姿がとても好きです。
Q.使ってみたい魔術は？
A.時間を止める魔術
時間を止めたうえで、たくさん寝たいです(笑)。やりたいことがすごく多いので、1日が24時間じゃ足りないんですね。なので24時間は普通に活動しつつ、寝るときだけ時を止めたいです。
Q.作中でシンパシーを抱くキャラは？
A.キャロル＝キャロライン先生
先生はキャピキャピしたノリのいい方ですが、七大魔術師としてしっかりした面もある。……と言っても私がしっかりしているわけではなく（笑）、ギャップがあるという意味でシンパシーを感じます。私は表面的にはかわいく振る舞いたいけれど、だんだんガサツなところがバレて、「春村さんってそういうところがあったんだ」って言われちゃうんです。なので、そういうギャップ感があるところに共感できます。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.おもしろくもあり、かっこよくもある、思わず声に出してツッコミたくなる作品
小ネタもたくさん盛り込まれていて、それを見つけるのもおもしろいし、ちょっとずれたレイくんにツッコミを入れるのも楽しい。本当に実況のしがいがあるアニメなんですね。レイくんがかっこいいとかアメリアちゃんやエリサちゃんがかわいいと思わず言いたくなる作品なので、それを全部詰め込みました。
取材・文／野下奈生（アイプランニング）
■Profile
はるむら・なな／2月19日生まれ。茨城県出身。ヴィムス所属。主な出演作は『俺だけ入れる隠しダンジョン』ドリちゃん役、『Z/X Code reunion』アムリタ役など。
■『冰剣の魔術師は世界を統べる』
毎週木曜日深夜1時28分よりTBSほかにて放映中
世界最強の「冰剣の魔術師」として極東戦役を収めたレイ＝ホワイト。3年後、貴族出身のエリート魔術師が集まる魔術学院に入学したレイは、そこで出会った仲間たちと共に、有望な魔術師をさらおうとする存在に立ち向かおうとする。
（C）御子柴奈々・講談社／「冰剣の魔術師が世界を統べる」製作委員会
