読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2022年3月号には、『明日ちゃんのセーラー服』で明日小路(あけびこみち)を演じる村上まなつが登場。本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。
小路の新鮮な反応を大切に演じたい
――『明日ちゃんのセーラー服』という作品の第一印象を教えてください。
オーディションの前に原作を読ませていただいたんですが、指先、脚、髪の毛の1本１本までがていねいに描き込まれている、繊細な作品だなと感じました。物語としては、キャラクターや心の動きがとてもリアルで、日本のどこかに本当に小路たちが存在しているんじゃないかと感じられ、とても感動しました。
――小路の第一印象はどうでしたか？
とにかく天真爛漫で、思ったことが全部顔に出ちゃう女の子だなと感じました。褒められたらうれしくなって、とろけるような顔をするところが、すごくかわいいです。
――アフレコが進んでから、その印象に変化はありましたか？
原作を読んだときはピュアという印象が強かったのですが、小路が人と話すときのドキドキ感や不安を演じてみて、ただピュアなだけじゃなく、いろいろな感情があるんだとわかって、いい意味で、リアルさが増しました。
――オーディションでは、どんな演技をしようと思いましたか？
素朴で作り込んで演じるようなタイプのキャラクターではないと思ったので、無理にかわいくしすぎず、セリフを読んで感じたことをそのまま素直に出そうと思いました。
――小路を演じる際に大切にしていることは？
自分と小路の共通点である「元気なところ」を膨らませることです。ただ、私は小路ほどピュアではないので、あえて子供っぽさを出したり、中学時代を思い出したりしながら演じました。アフレコが始まったばかりのころは、自分と小路の違いがちゃんと出せているのか不安もあったのですが、スタッフの方からも「作らず、そのままの話し方でいいですよ」と言ってもらい、作った演技をしなくていいんだと思えるようになりました。
――スタッフの方からのディレクションでほかに印象に残っていることは？
「感情はもっと出して」と言われたことです。ただ、幸せな気持ちや驚きがわざとらしくならないよう、声にするのが難しくて苦戦しました。それから、音響監督から「座長なんだから緊張しなくていい。自分が引っ張っていくぐらいの気持ちで自信を持って」と言っていただきました。アフレコが始まったころは、緊張してばかりだったのですが、その言葉で元気にやっていこうと思えるようになりました。
――「元気」以外で、小路と共通点はありますか？
全然ないんです。小路はバク転ができるくらい運動神経がいいですが、私は運動が全然できないので、憧れの眼差しで見つめています。あと、小路はお姉さんとして妹を励ましたり髪を洗ってあげたりするんですが、私には妹がおらず、逆に姉へ甘えていたので、お姉さんらしいところにも憧れます。
――第3話まで進んで、小路も学校になじんできています。彼女のどんなところが魅力的だと感じていますか？
やりたいと思ったことを、きちんと行動に移せるところです。人って席を譲ろうとしても断わられたらどうしようとか、荷物を持ってあげたいけど声をかけにくいなとか考えて、あきらめてしまうことが多いと思うんです。原作の博先生もおっしゃっていたのですが、小路は気になったらすぐ声をかけにいける。その行動力が、人を引きつけるんじゃないかなと思います。それでいて、人の名前を一生懸命覚えようとしたり、新学期で不安になったりするような、誰しもがわかる気持ちも持っている。最初こそ、自分とはかけ離れた存在だった小路が、物語が進むにつれて普通の子だと思えるようになるところも素敵だなと感じています。
――制服が変更になってブレザーになった学校で、セーラー服を通そうとする芯の強さも素敵ですよね。
私だったら、母に「ありがとう、セーラー服は家で着るね」と断わって「ブレザーにします！」と言っちゃうと思うんです。小路もさすがにセーラー服が廃止になったと知ったときは心が沈んでいましたが、最終的にセーラー服を貫き通すところがかっこいいんですよね。かわいさだけじゃなくいろいろな面を持っているし、予測できない行動をすることも多いので、ずっと見ていたくなります。
――学校が中心のお話ですが、家族関係もていねいに描かれていますよね。
小路と父親は、普段は離れて暮らしているので、久しぶりに会うとちょっとギクシャクしちゃうんですよね。でも、時間が経つにつれて、お互い話したいこともたくさん出てきて、距離も縮まっていくところが素敵で。個人的にはとてもイケメンな父親だと思っているので、そんな父親と小路のやりとりもチェックしてほしいです！
――クラスメートたちも続々と登場していますが、村上さんが気になっているキャラクターは誰ですか？
とてもクールな蛇森生静ちゃんです。自分の信念をちゃんと持っているところがかっこいいんです。それから関西弁が好きなので、関西出身の水上りりちゃんにも注目しています。りりちゃんは、ちょっとミステリアスな雰囲気もあって、いまは彼女が何を考えているのかがすごく気になっています。
――アフレコの思い出は？
各話で小路が関わるキャラクターが違うので、毎回いろいろなキャストの方とアフレコをすることができました。はじめましての方も多く、とてもいい経験になりました。あと、拍手を取るのが意外と難しいということがわかりました。「もっと激しく」という指示もあって一生懸命手を叩いたのですが、全然いい音が出なくて。木崎江利花役の雨宮天さんがすごく上手で、いい音が出る方法を教えてくれました。あと、博先生からアフレコが始まる前に「精一杯の元気で」という言葉と小路がガッツポーズをしている姿を描いたイラストをいただいたんです。先生からの言葉はもちろん、小路が応援してくれているみたいで、ずっとお守りにしています。
――この先の注目ポイントを教えてください。
1話ごとにクラスメートと小路が親睦を深めていく姿が描かれていきます。いまのところは席の近くの人が中心ですが、どんどん友達の輪が広がっていくので、小路のコミュ力の高さ、自分をさらけ出せる素直さを見守ってほしいです。繊細な絵と美しい映像をチェックしていただき、小路やクラスメート、彼女の家族のことも好きになってもらえたらと思います。
MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.ハート型の血管があるまぶた
初めてお化粧をしようと思ったときに、アイシャドウを塗ろうとして、血管がハート型をしていることに気づいたんです。目を閉じないとわからないんですが、隠れポイントみたいで気に入っています。
Q.自分のニックネーム
A.“まなてぃー”をプッシュしたい
じつはこれまでニックネームらしいニックネームがなかったんです。学生時代、唯一ニックネームで呼んでくれる子が“まなてぃー”と呼んでくれていて、お仕事を始めるときにこのニックネームに決めました。ですが、まだあまり浸透していないので、プッシュしていきたいです。
Q.自分の声の特徴
A.まっすぐ
ひとり言をいっていても「人と話しているのかと思った」って言われるくらい、声が通っちゃうみたいなんです。まっすぐなうえに、ボリュームが大きいのかもしれません。
Q.自分の性格
A.元気
数値的には低血圧なんですが、寝起きもよくて、朝からすごく元気です。元気がなくなるのは、お腹がすいたときと眠くなったときくらいです。
Q.いま、ハマっているものは？
A.韓国ドラマ
外出自粛期間中に、友達から勧められてハマりました。最近もいろいろな作品を見て楽しんでいます！
Q.憧れの存在は？
A.沢城みゆきさん
『HUNTER×HUNTER』と『ココロコネクト』に沢城みゆきさんが出演されているのを見て声優という職業を知りました。当時、性別関係なくいろんな役をやられていることを知り、感動したので、目標にさせていただいています。
Q.自分にとって憧れのファッションは？
A.レトロ感のある服
大きな水玉模様や襟のついたシャツ、裾が絞られたスカートのような、レトロな服が気になっています。周りの人からは似合いそうといわれるので、いつか挑戦してみたいです。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.心の清浄機
キラキラしていてピュアな小路ちゃんとストーリーを見ていると、それだけで心が洗われたような気持ちになります。物語のなかには、涙しちゃうようなエピソードもあるので、ぜひ見て清々しい気持ちになっていただきたいです。お疲れの方が見ても、心穏やかになってぐっすり眠れると思います！
取材・文／野下奈生（アイプランニング）
プロフィール
村上まなつ【むらかみ・まなつ】8月24日生まれ。神奈川県出身。アライズプロジェクト所属。主な出演作は、『CUE!』九条柚葉役、『オッドタクシー』三矢ユキ役など。
作品Information
名門女子中学・私立蠟梅【ろうばい】学園のセーラー服を着ることを夢見ていた明日小路。しかし、入学してみると制服はブレザーに変わっていた。少し落ち込んだ小路だが、母が作ってくれたセーラー服を大切に着ることを誓い、新しいことばかりの学園生活を過ごしていく。
放送日：毎週土曜深夜0時30分よりTOKYO MXほかにて放映中
(C)博／集英社・「明日ちゃんのセーラー服」製作委員会
