読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2021年12月号には、『シキザクラ』で明神逢花を演じる茉白実歩が登場。本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。
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茉白実歩【画像クリックでフォトギャラリーへ】
逢花の持つ重い運命に寄り添っていきたい
――『シキザクラ』という作品への第一印象を教えてください。
パワードスーツで戦うところはもちろん、オニと戦うことになるキャラクターや、それを取り巻く人々の心と体の成長をとてもていねいに描いていて、そこがかっこいいなと感じました。
――演じている逢花には、最初はどんな印象を持ちましたか?
逢花は、普段はおっとりしていてかわいらしいのに、巫女としての使命を果たすために戦いの場に赴いたときは、キリッとしていて凛々しい。すごくギャップがある子だなと思いました。
――実際に演じてみて、逢花はどんなところが魅力的だと感じていますか?
お嬢様で世間知らずなこともあり、無意識のうちに人を振り回してしまうのに、それでもペースを崩さずに突き進んでいくところがまずかわいいです。それから、窮地に立たされていても「悪には屈しない」という思いが目から感じられるところ。逢花の目は何度もアップで描かれるのですが、芯があってすごく素敵なんです。
――そんな逢花を演じるにあたって、大切にしていることはなんですか?
逢花は、オニを異界に返す特別な力を持っていて、命をかけて戦わなければならないという重い運命を背負っているんです。そんな彼女の気持ちに寄り添うことを、とても大切に演じたいと思っています。私自身、普段とお仕事をしているときとで雰囲気が違うといわれるので、ギャップがある逢花に親近感があるんですが、逢花のような重い運命は持っていないので、そのなかでどれだけ逢花の気持ちに近づけるかは、いつも試行錯誤をしています。
――普段の柔らかい逢花と凛々しい逢花では、どちらが演じやすかったですか?
声質的にしっかりした声のほうが出しやすいのか、ふにゃっとした普段の姿のときは演じるのは難しかったです。あえてゆっくり話してみたりして、柔らかい雰囲気が出るようにしました。
――スタッフからのディレクションで、印象に残っていることは?
「逢花の二面性を大事にしてほしい」というのはいつも言われていました。とくに、第1話から第3話までは、私たちもアフレコがほぼ初めてということもあって、なかなかキャラクターが定まらなかったんですね。なので、すごく細かく指示をもらいました。
――アフレコで大変だったことを教えてください。
ほぼすべてです(笑)。第1話だけ、コロナ禍前に収録ができたので、マイクワークを学びながらアフレコができたんです。でも、コロナ禍になってからは、ひとり1本のマイクで、パーテーションもあって、しかも、全員でのアフレコもできなくて。もちろん、自分よりも前にアフレコをした方の演技は聞けますが、あとの方の演技は聞けないので、それを想像しながら演じなければならなかったのが大変でした。でも、私たちはほぼ初心者ということもあって、毎週1回ぐらいのペースで集まって、台本をどう読み進めたらいいのか、話し合いをしていたんですね。そこでいろいろな意見を交わせたので、実際のアフレコでも助かった部分もありました。
――先ほど、逢花に親近感があると話していましたが、ほかに逢花と自分で似ていると感じるところは?
逢花は箱入り娘で、いまは見るものすべてがまぶしくて、ワクワクしている子ですが、私も新しいものに触れるのが大好きで、ついオーバーリアクションになっちゃうので、そこは似ていますね。それから、オニを異界に返す力を持つがゆえにオニから狙われていて、周りの人を巻き込みたくないからか、人に頼るのが苦手なんです。私も周りの人になかなか相談ができないので、そこもわかるなぁと思います。
――主人公の翔は、逢花を守ることを誓っている少年ですが、翔にはどんな印象を持っていますか?
翔はヒーローへの憧れがすごく強い子で、友達の永津吉平とヒーローについて熱く語っている姿がすごくキュートです。それから、逢花にいろんなことで振り回されてしまうところがかわいいですね。とてもピュアだから、逢花の行動をそのまま受け止めちゃうんです。逢花は悪意なくすごく近距離で顔をのぞき込んだりするので、それにドギマギするところも微笑ましいです。
――個人的なお気に入りのシーンは?
第3話で逢花がピザを食べるシーンがあるんですが、まず逢花のリアクションがかわいい。逢花にとっては初めてのピザなのでテンションが上がっているところもお気に入りです。そして、スタッフの皆さんがピザを描くことにものすごく力を入れているので、ぜひ見返してみてほしいです。それから、パワードスーツへの変身シーンがすごくかっこいいんです!『シキザクラ』という作品のこだわりのひとつでもあると思うので、ここも何回もチェックしてもらいたいですね。
――本作は「ナゴヤアニメプロジェクト!」の一環として制作されており、物語の舞台は東海三県です。茉白さんの出身地である愛知県も登場しますね。
愛知県って、意外とアニメの舞台になっていないんですね。有名なタイトルが『八十亀ちゃんかんさつにっき』くらいなので、『シキザクラ』が東海三県を代表するアニメになってくれたらという思いがあります。アニメのなかには、地元の人にとっては見たことがある場所もたくさん登場するので親近感を持ってもらえると思いますし、来たことがない方には新鮮に感じていただけるんじゃないかな。聖地マップも作られているので、ぜひ新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着いたら、聖地巡礼に来てもらいたいです。
――では、最後に作品全体や今後の見どころを教えてください。
『シキザクラ』は3DCGで描かれるアニメですが、じつは2話ほど手描きタッチのエピソードがあります。第4話がまさにそうなんですが、物語的にもギャグテイストが強めになるので、ちょっとした気分転換のような気持ちで見てほしいです。そして第5話からは、新たなメンバーが加わり、戦いや人間関係もさらにハードになります。見逃せないシーンが続きますので、ぜひ楽しみにしていてください。
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MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.もとから茶色い髪
染めたことはないんですが、子供のころから茶色っぽくて、年齢を重ねるにつれてどんどん茶色っぽさが増しているんです。
Q.自分のニックネーム
A.みほりん
いろいろな呼ばれ方をするんですが、そのなかで一番多いのが「みほりん」です。ちょっと安直ですけど(笑)、小学生のころから呼ばれているので、もう当たり前みたいになっています。
Q.自分の声の特徴
A.落ち着いた声
周りの方から透明感があると言っていただいたことはあります。自分としては、あまり高い声ではないなと感じています。
Q.自分の性格
A.自覚はないけど天然
普通にしているつもりでも、周りからは「天然」だと言われることが多いんです。いまのところ大きな失敗談はありませんが、漢字と英語が苦手で。アシスタントをさせていただいているZIP-FMのラジオ番組では、おたよりで漢字が出るたびに怖じ気づいています。
Q.いま、ハマっているものは?
A.ガチャガチャの食品サンプルマスコット集め
もともとガチャガチャが好きで、いまはミニサイズの食品サンプルガチャを集めています。昔は、コンプリートしないと気が済まないタイプでしたが、最近は1回やってみて出なかったらもう1回までであきらめられるようになりました。
Q.いま、勉強してみたいことは?
A.資格を取るための勉強。なんの資格かは検討中です
資格が取りたいんですが、できれば1回で合格したいんですね。でも、勉強はあまり好きではなかったので、興味を持てる分野なら勉強できるだろうと考えて、今はそれを探しているところです。
Q.特別な力を持てるとしたら?
A.口内炎ができなくなる力
よく口内炎ができるんですが、場所によってはしゃべりに影響が出ちゃうので、できるなら口内炎ができなくなる力がほしいです。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.全キャラクターの成長物語
登場するキャラクターたちは、自分の心と向き合い、いろんなけじめを付けて進んでいきます。翔や逢花のような少年少女はもちろん、登場するキャラクターが全員成長していく物語と言ってもいいくらい。なので、そんな人々がどう変わっていくのかを見ていただきたいです。
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取材・文/野下奈生(アイプランニング)
プロフィール
茉白実歩【ましろ・みほ】8月6日生まれ。TYK Promotion所属。主なアニメの出演作は『オメテオトル≠HERO』異種族(母)役など。ZIP-FMで放送中のラジオ番組『SCK-サブカルキングダム7-』で、アシスタントとしても活動中。
作品Information
異界から現れて人を喰らう「オニ」。それに対抗できるのは、パワードスーツ「ヨロイ」を身にまとえる者のみだった。ある日突然、パワードスーツを着て、オニと戦うチームのメンバーになってしまった三輪翔は、オニを異界に返す能力を持つ巫女・明神逢花を守り抜くことを誓う。
放送情報:毎週土曜深夜1時55分より中京テレビほかにて放映中
※逢花の「逢」のしんにょうは、点2つが正式表記です。
(C)シキザクラ製作委員会