2019年7月27日(土)に開催された「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュみんなでおらぼう!~in SAGA」にて制作が発表された『ゾンビランドサガ リベンジ』。どんな内容になるのか気になるファンもきっと多いはずだ。現在発売中のアニメディア9月号では、作品のキーパーソンである境宗久監督と、キャラクターデザインを担当する深川可純の対談が掲載中。超!アニメディアでは、本誌に入らなかった部分を含めたロング版をお届けする。
※このインタビューは2019年7月ごろのインタビューです。
――ファン待望の続篇『ゾンビランドサガ リベンジ』の制作が決定しました。おふたりは現在、どのようなお気持ちでしょうか?
境 第1期が終わったときから「続きをやりたい」という気持ちは強くありましたし、キャストやファンのみなさんからも「第2期はないんですか?」とたくさん声をかけられていました。なので、こうして「また『ゾンビランドサガ』を作れます」とご報告できることが、素直にうれしいです。
深川 私はキャラクターデザインという立場ですけど、シナリオ会議にも参加させていただいているんです。私自身、そこまで深く作品に関わらせていただけるのは初めての経験だったので、そういう意味で『ゾンビランドサガ』はものすごく思い入れのある作品なんですよ。第1期の時点でお話としてはキレイにまとまっていたので、「ここで終わっても悔いはない」と思っていましたけど、またフランシュシュや幸太郎たちを動かせるのはうれしいことです。あの子たちは、苦労を積んで生み出した自分の子どもみたいなものなので。
境 深川さんはいつも、作品の世界観にマッチしたデザインを出してくださるので、本当に助かっていました。深川さんの出してくるデザインって、「考え尽くされた跡」みたいなものが随所に見えるんですよ。すべてクオリティーが高いので言うことがないんですけど、独特のセンスに驚かされることはあります。たとえば、リリィの父親のデザインが最初に上がってきたときは、スタッフ一同「なんだこりゃ?」という反応でした(笑)。
深川 かわいい女の子をたくさん描いていると、たまにああいうエグい男を描きたくなるんです(笑)。はっちゃけすぎかと思ったんですけど、「あいつ人間か?」というセリフを入れていただくなど、あのデザインありきでシナリオを微妙に変えてくださっていたのでうれしかったですね。
境 最初は驚きましたけど、バカバカしさとシリアスが混在する『ゾンビランドサガ』の世界観にぴったりだと思ったんです。深川さんは作品に対して確固たるビジュアルイメージが存在していたので。自分は『ゾンビランドサガ』を通じて“深川可純の世界観”を出してもらえればと思っていました。だから深川さんの出してきたアイデアを作品に落とし込むような方向で考えていたんです。
深川 境監督からリテイクの指示をされたことって、ほとんどありませんでしたね。キャラクターや衣装のデザインも、驚くほど自由にやらせていただけていたので、すごく楽しかったです。注文があったとすれば、4話に登場した広報部長について事前に「ふざけ過ぎないようにしてください」って言われたくらいだったので、そこだけすごく印象に残っています(笑)。最終話(12話)のオンエアのときは、スタッフのみなさんで上映会をしたんですけど、そこでこれまでの苦労や喜びとか、いろいろな思いがこみ上げてきて泣いちゃったんですよ。私たちが魂を込めて作っている作品が多くの方に受け入れてもらっているのは、すばらしいことだと思います。
――続篇タイトルが「リベンジ」になったのは、どんな理由なのですか?
境 最初はシンプルに『2』で行こうか、という話をしていたんですけど、もうちょっとひねろうとなり『リベンジ』と仮でつけたんです。もう少しいいアイデアが浮かんだら変えようと思っていたんですけど、シナリオ会議を進めていくうちに「これ以上にふさわしいタイトルはない」となりまして、正式決定しました。
――「佐賀県の地で人類が持ち合わせるすべての感情の極値として天を仰ぐ巽幸太郎」という続篇のティザービジュアルには衝撃を受けました。これは何を意味しているのでしょうか?
境 幸太郎が心の内に熱い思いをたぎらせている、ということを表現しようとしたらああなったんです。普通のアイドルアニメのような打ち出し方をしたくないと思っていたので、フランシュシュを入れず、幸太郎だけになりました。
深川 私もフランシュシュを前面に出すよりも、このほうが『ゾンビランドサガ』らしいと思ったので、全然違和感なく描けました。この作品の本質はキラキラしたアイドルを描くのではなく、「生きたい」と必死になり目の前の何かと戦っている人たちを描くことにあります。
境 タイトルやビジュアルから、幸太郎たちに何かとんでもないことが起こるのではないかと想像できると思います。ファンのみなさんはぜひ彼らに何が起こったのかを想像しながら、続篇を楽しみにしていてほしいです。
――今回、本誌では水着姿の「純愛コンビ」の描きおろしイラストをいただきました。こちらのイラストについて、おふたりの感想をお願いします。
境 純子がビキニを着ていることに驚いた、というのが第一印象ですね(笑)。サンバイザーやレンズ付きフィルムとか昭和らしいアイテムを持たせて、「伝説の平成のアイドル」である愛と対比しているのが面白いです。ふたりの体型や肌の色にも微妙な違いがあって、深川さんのこだわりを感じます。
深川 このイラストについて、私は監修をさせていただいて、ふたりの体型については手を加えた記憶があります。私のなかのイメージだと、純子は天才肌でとくに何もしていなくてもスレンダーな体型を維持している。対して愛は、ストイックにトレーニングとかしてそうだから筋肉質なんじゃないかなと思っていまして。
境 水着姿だけどいわゆる男性受けするようないやらしさではなく、健康的な色気を感じます。立ち上げ当初から『ゾンビランドサガ』は老若男女問わず受け入れてもらえる作品を目指してきたので、深川さんのこういったバランス感覚にはいつも助けられているんです。
深川 私のポリシーも、だいぶ変態チックなんですけどね(笑)。女の子についてはとにかく生々しく、「柔らかそう」「いい匂いがしそう」「触ったら温かそう」と見えるようなデザインを目指しているので。生々しい男性を描くのは、男性アニメーターのほうがうまいと思うんですけど、女性を生々しく描くことについては自信を持ってやっています。
境 そもそもファンのみなさんが純子と愛で「純愛コンビ」って言いだしたとき、「うまいことを言うな」と感心したんですよ。カップリングで見せようという考えはとくになくて、「昭和」と「平成」という対比で考えていたふたりだったので。自分たちの思惑を超えて、ここまで人気になっているのは、なんだか面白いですね。
――そして、時代は「令和」になりました。続篇では「昭和」「平成」に続き、「令和のアイドル」像が描かれるのではと期待してしまいます。
境 時代を前面に打ち出したキャラクターを出してはいるんですが、もともと本作を作り始めたときには元号が変わるという話もまだ出ていなかったので、あまり次の時代のことは考えていなかったんです(笑)。ただ、続篇では、そうやってたまたま生まれた設定をもともと考えていたもののなかでどうやって活かしていくか、シリーズ構成の村越繁さんとも相談しながらいろいろ考えていますね。
――「純愛コンビ」以外で、おふたりの推しコンビはありますか?
境 「絡ませるとおもしろい両極端なコンビ」という意味でさくら&サキですかね。この作品では「対比できるもの」を置くことでいろいろなコンビを作ってきましたけど、我が道を行くサキとそれに振り回されるさくらのコンビは、見ていて楽しくなります。
深川 私、幸太郎と11話に登場したバーのマスターのコンビがお気に入りです。この作品のなかでも、とくに等身が高いコンビなんですよ(笑)。あんなに意味ありげに登場したバーのマスターが続篇でもしっかり登場するのかは、お楽しみにということで。
――最後にアニメディア読者やファンに向けてメッセージをお願いします。
深川 続篇も第1期と同様に、魂を込めて作っている最中です。第1期以上のテンションでお届けできるよう頑張っていますので、楽しみに待っていてください。
境 第1期が終わったあと、ファンの方から「第2期ではこういうお話を観たい」という意見をたくさんいただいたのですが、今はそれをどうやって「いい意味で裏切ろうか」と考えています。「『ゾンビランドサガ計画』って何だ?」「ゆうぎりの過去に何があったのか?」とか、第1期で描き切れなかった謎はたくさんあるのですが、それらを気にしすぎたら話がこぢんまりとまとまりそうで、そうなるのは本意ではありません。とことん弾けてぶっ飛んだお話を見せることが『ゾンビランドサガ』らしさだと思うので、新しいアイデアをたくさん盛り込み、第1期以上の熱量を持った作品をお届けできればと思っています。どうぞ応援をよろしくお願いいたします。
取材・文/斉藤優己(パワフルプロダクション)
『ゾンビランドサガ』公式サイト
zombielandsaga.com
『ゾンビランドサガ』Twitter
@zombielandsaga
©ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会