声優・沢城千春が、ロックバンド・Street Storyを結成。5月にリリースしたシングル「もっと明日へ」を引っ提げて、東名阪のツアーを開催。7月21日に東京・渋谷LOFT HEAVENでファイナルを迎えた。Street Storyとはどんなバンドなのか? 沢城千春がバンド活動にかける思いとは? 沢城千春とfinに話を聞いた。
■HYさんへのリスペクトの気持ちを込めて命名
ーー自主制作でやられてるそうですけど。
沢城千春(以下、沢城) いわゆるバンドのようなステップを踏んで、小さい箱から徐々に大きくしていくような活動がしたいなと思って。それで自分たちでやっています。やり始めたはいいけど、やはりそれはそれで大変だなと痛感しているところです。
ーーでも、そのぶん反響も大きいのでは?
沢城 そうですね。もともとはニコ生(ニコニコ動画)の『チハ生』という番組でやっていた遊びバンドがきっかけだったんですけど、今年からStreet Storyというバンド名を掲げて本格的に活動をして。『チハ生』のときとくらべたら、驚くほど反響が変わりました。デビューシングル「もっと明日へ」も、さわやかでいい曲だとたくさんの方に言っていただけるし、本格的なバンド活動がうれしいと言ってくださる方も多いので、やってよかったな思います。それと同時に、ちゃんとやることに対しての責任も感じています。
ーーツアーの会場押さえ、練習スタジオの手配なども自分たちで?
沢城 はい。finさんが中心になって、やってくれています。でも大阪公演の箱だけは、自分の伝手で探して、自分で連絡を取って。でもこういうときの連絡の仕方もなかなかわからなくて。実際にやってみて、みんなこうやっているんだなって思いました。声優としてイベントに出るときは、会場はもちろん衣装も含めて全て揃えてくれるから、自分は当日行くだけでよかった。今までは、いかにおんぶに抱っこだったか、制作の人たちの大変さを知ることができて、いい経験になっています。
ーーそれがやりたかったんですよね。
沢城 そうなんですけど、やってみたら大変で(笑)。でもそういう下積みを味わったうえで、どんどん大きくなっていって、いずれ日本武道館とかでやれたとしたら、そのときはきっと、自分のなかから沸いてくる気持ちでありがとうと言えるんじゃないかって思うんです。下積みがあるかないかで、クるものも変わるんじゃないかと。
fin 千春が、そういう気持ちを持ってくれているところに共感できたから、僕は一緒にやろうと思いました。最初に千春と出会ったときは“どんな人だろう?”と思ったんですけど、すごくDIY精神を持っていて、何でも自分でやってみたいという意識が強かったから、一緒にやったら楽しそうだなって。自分のできることで協力して、できるところまでやろう、と。
ーー自主制作のどんなところにメリットを感じている?
沢城 大きな会社と組めばスムーズに物事が進むかもしれないけど、自分たちのやりたいことが100%ではなくなってしまうと思う。大変ではあるけど、自分たちのやりたいことができています。バンドメンバー4人で話し合って、自分たちで車を運転して移動して、アンプを運んだりとか、すべてが新鮮だし楽しいです。そういう“男旅”みたいなものにも憧れがあったから。
fin Street Storyというバンド名も、移動の車で決まったんです。
ーー沢城さんが、HY好きで決まったんですよね?
沢城 「いちばん好きなバンドは?」と聞かれたら、「HYです」と必ず答えるくらい好きです。そういう話をメンバーに話していたから、HYさんの『Street Story』というアルバムにちなんで、リスペクトの気持ちも込めてつけさせてもらいました。僕らもStreetではないけど地道なところから始めたわけだし、ここから物語を紡いでいけたらいいなって。そしていつか、HYさんと同じステージに立てるようにという願いも込めました。
ーー「もっと明日へ」は、温かみとかさわやかさなど、HYに通じるものがあると思いました。
沢城 歌詞は僕が書いているから、HYさんから自然と影響を受けて、それが出ているのかもしれないです。
fin HYさんを感じると言っていただけたのは、初めてなのでうれしいですね。
沢城 僕らも、HYさんのような沖縄の温かさを持ったバンドでいたいと思っています。
ーーバンドのコンセプトとして、最初に何か決めていたことはあったんですか?
fin ボーカルが沢城千春なので、やっぱりアニメシーンにアプローチできるような楽曲にしたいねって、最初に話をしましたね。
ーー「Caligula」という曲は、アニメ『Caligula -カリギュラ- 』で、沢城さんがキャラクターソングを歌ったことがきっかけになった。当時、アニメディアでもキャラソンのコーナーで取材をさせていただきましたよね。
沢城 そうでしたよね。最初にfinさんから曲のデモを送ってもらって歌詞をつけるとき、作詞は初めてだからどう書いていいかわからなくて。何かインスピレーションを沸かせるもとになるものがほしいと思って、それで僕が初めて主役を演じさせていただいた『Caligula -カリギュラ-』のOPテーマを、勝手にイメージして作ってみようと思ったんです。
fin 曲は、特に何か作品をイメージしていたわけではないけど、何となくアニソンっぽい感じがいいと思って作っていて。
沢城 でも曲を聴いて、何となく『Caligula』に合いそうだなと感じたし。それで、『Caligula -カリギュラ-』のプロデューサーの方からも了解を得て、曲名も「Caligula」とつけさせていただきました。
fin でも僕が普段やっているバンドでも、好きな映画の世界観をモチーフにして作曲することがありますよ。それと同じ感覚じゃないかな。
■正解か不正解かはわからないけど、やり始めた者勝ち
ーーバンドメンバーがすごいですね。沢城千春(Vo&G)さんを中心に、fin(Vo/G/SEPTALUCK)さん、サンライズ太陽(Dr/メメタァ)さん、高田雄一(B/ELLEGARDEN、MAYKIDZ)さん。沢城さんは、もともとバンド経験が?
沢城 大学生のときに3週間だけやったことがあります。でも、やっぱり難しかったですね。僕と何人かは本気だったんですけど、適当な人もいて。
fin ひとりそういう人がいると、全体のテンションが落ちちゃうんだよね。
沢城 それで3週間で終わったんです。でもそのときのメンバーのひとりが、映画『カメラを止めるな』にイケメン俳優の神谷和明役で出演していた長屋和彰くんなんです。高校時代から仲が良くて。
fin サンライズ太陽も、千春と高校の同級生なんだよね。僕は同級生とバンドを組んだことがないから、そういうのはすごくうらやましいです。それこそHYさんもそうで、地元にいながら、それが20年も続いてるのはすごいと思う。
沢城 今、僕らはすごく仲よくやれているから、このまま仲良く続けていけたらいいなって本当に思います。いい意味で、肩肘張っていないし。
fin それがいい方向に出ている。
ーーじゃあ何年やろうとか何十年やろうとか、決めているわけでもなくて。
沢城 決めてはいないけど、何十年とやっていけたらなって。バンドを大きくしていきたい気持ちも本心ですけど、ガツガツしてスピードを速めると、今のいい空気感が壊れてしまう怖さもある。今のペースを保ちながら、自然体でやれたらいいなって思います。
ーーキャラクターソングではないところで、歌っている感覚としては?
沢城 キャラクターを背負わせていただくときは、自分が全面に出すぎないように抑えています。やっぱりお客さんはキャラクターを通して僕を見ているので、あまり僕自身が出すぎてキャラクターと違ってしまうと、お客さんをがっかりさせることになってしまう。作品に対してリスペクトしながら、作品がよりよく見えるように意識をしながら、立ち居振る舞いをさせてもらっていて。でもこのバンドは、それ自体が沢城千春ワールドですから。格好つけても仕方がないし、ありのままの自分で、それを受け入れてお客さんがついてきてくれればいいなと。
ーー他の声優の方たちとは、違うことがやりたかったんでしょうか?
沢城 人と違うことをやっていきたい気持ちは、この仕事じゃなかったとしても持っていたと思います。とくにこの業界は、違うことをやっていかないと残っていけないのもあるから、自分の思う道を進んでいきたいですね。それが正解か不正解かはわからないけど。何にせよやり始めたもの勝ちだと思うから。
ーー反骨精神が。
沢城 よく言われます。そういうのが、何かあるんですよね。
fin パンクですよ。正直、千春が声優だって感じるときは、まったくありませんから(笑)。沢城千春というひとりの人間としてステージに立って、それを楽しんでることが感じられるから、僕はそれをどうサポートできるかをいつも考えています。
ーー将来的にどんなバンドになりたいですか?
fin まずは、ロックフェスとか出たいよね。
沢城 あと『Animelo Summer Live』とか。
fin そのうえで、それぞれの活動と並行しながら、自分のなかで軸となるようなものとして続けられたらいいねって話をしています。
ーーライフワーク的な?
fin そういう感じですね。
ーーどういう音楽を届けていきたいですか?
沢城 もしアニメのタイアップを付けていただけるとしたら、少年漫画のような作品がいいですね。やっぱり明るくて前向きなものがいいです。「もっと明日へ」のカップリング曲はアニメっぽいイメージで暗さのある曲ですけど、これからは「もっと明日へ」のような、明るくてもっと前へ進むんだという曲を作っていきたいです。
fin 千春の根っこにあるものが、そういうものだから。それを大事にしていきたいです。
沢城 落ち込んでるときに僕らの曲を聴いたりライブを見てもらって、前向きになっていただけるようなバンドになっていきたいです。
PROFILE
Street Story【ストリートストーリー】
声優・沢城千春(Vo&G)を中心に、fin(Vo/G/SEPTALUCK)、サンライズ太陽(Dr/メメタァ)、高田雄一(B/ELLEGARDEN、MAYKIDZ)で結成された4人組バンド。今年5月に「もっと明日へ」でメジャーデビュー。7月29日(月)には神奈川・三浦海岸のOTODAMA SEA STUDIOで行われる~ADACHI HOUSE 夏祭りフェス2019~に出演する。
リリース情報
「もっと明日へ」
発売中
価格:1,000円(税別)
音楽配信サイトでも配信中
ライブ情報
~ADACHI HOUSE 夏祭りフェス2019~
開催日:7月29日(月)
会場:神奈川・三浦海岸OTODAMA SEA STUDIO
開場:12:30~
開演:13:00~
前売り券:5,000円
当日券:5,500円
※ドリンク代別
チケット情報
https://l-tike.com/order/?gLcode=75869
Street Story「もっと明日へ」リリースツアー追加公演! 更なる発表があるかも!?
開催日:9月23日(月・祝)
会場:東京・代官山LOOP
時間:第1部 開場:13:15/開演:14:00
第2部 開場:17:15/開演:18:00
チケット料金:2,500円
※ドリンク代別
チケット一般発売:8月4日(日)10:00
※先着順
Street Story公式サイト
https://www.streetstoryband.com/
Street Story公式Twitter
https://twitter.com/chihanama