「神宿・塩見きらのゆるりと真剣にアニメ語り！」第19回『言の葉の庭』をエンターキー

　超！アニメディアの連載企画「神宿・塩見きらのゆるりと真剣にアニメ語り！」。原宿発の5人組アイドルユニット「神宿」で活動する塩見きらさんにゆるりと真面目に、真剣に好きなアニメやゲームのことについて語っています。第19回目は『言の葉の庭』についてお話しいただきました。

　気の抜けた炭酸飲料が本来のものと全く別になるみたいな感じで、今自分が全く別人みたいになってる。ゆったりと過ごしていた日々もあっちゅーまにどこかへ行ってしまい、有難くもびっくりするほど忙しい。忙しくても合法的にアニメをみてコラムをかけるのはもしかしてかなり幸せか？あー、今レポートの催促通知が来た。吐き気がする。

　こうして自分の思ってることとか考えてることを文字にする機会も少し増えて、日常的に感じていることなどをメモするようになった。ふと数ヶ月前のメモを見ると、メモから漂うオーラがかなり暗くて笑える。『人間の形をした何か』ってメモがあったけど、一体なんの話をしてるんだ…。全くメモの意味がない。

　その人が作る温度感や空気感を、読むだけで味わうことができるような文章が大好き。筆者と読み手である自分との物語が始まるみたいでドキドキするから。そういうものが書けるようになりたいナ。嗚呼、もう今日の塩見は無気力ベイビーだからジュースでも飲んでベッドにダイブしよう。グッドヴァイブレーション☆

　冒頭で言ったように今の自分はおかしいので、そんなおかしい人が大丈夫になれるアニメを紹介します。梅雨入りした今見るべきは、『言の葉の庭』。全人類が見ていると思ってたんだけど、身近な人間が見ていないことを知ったので、そんな少数派（偏見）の方のために紹介します。このアニメを見るたびに私は苦しくなります。

　私にとって、新海誠監督の作品はまさに青春で、セーラー服を着て自転車を漕いでいた学生時代を思い出す大事なもの。『君の名は。』や、『天気の子』がすごく有名だけど、小学生の時、新海監督の作品『秒速5センチメートル』を見て塩見少女は幼いながら泣いた。『言の葉の庭』を見たのは確か中学生の時で、ませてる同級生に、「君は『言の葉の庭』を見て、雨の美しさと人生を知った方がいい。」と言われたのがきっかけで見た。今考えたらめちゃくちゃ偉そうだな。

　ご存知の通り、新海監督の作品は、美しい映像と儚く切ないストーリーが最高のクオリティで描かれている。『言の葉の庭』は、雨を美しく描いていて、「雨は三人目のキャラクターと言っていいくらいウエイトがある」と言われるほど。靴職人を目指す高校生のタカオは、雨の日は一限をサボって庭園で靴のデザインを考えていた。ある日、そこで昼間からビールを飲んでいる女性と出会い、どこかで会ったような気がしたタカオは、女性に聞いたが否定される。女性は、「鳴る神の少し響みてさし曇り雨も降らぬかきみを留めむ」と言い残して去っていった。その日から、雨の日の午前だけの2人の時間は始まる。実はこの女性は、タカオが通う高校の国語教師ユキノで、のちにそれに気づくが…という内容。エンディングテーマも、先生の声も、雨が滴る音も、全部大好き。もう好きすぎて言葉にするのも嫌。だから思い出話でコラムを締める。

　今だから言えるけど、私はこれをみて以来、雨の日はよく午前中、学校へ行くふりをして遠くへ自転車を漕いでいた。たまに雨じゃない日もサボっていた。（お母さん、先生、ごめんなさい…）遠く一時間くらいかけて自転車を漕いで、海沿いへ行ったり、土手に座ってぼーっとしてたりした。たまに本を読んだりしてた。当時の空の写真とかないかなと思ったけど、全部消えてた。悲しくなっちゃった。私は恥ずかしながら思春期が長かったから、学生時代大人のことがすごく嫌いだったし、よく1人でそうやって学校をサボって泣いたりしてた。今考えるとめちゃくちゃバカすぎて笑える。なんであんなに楽しめなかったんだろう、でも私にとって1人で海沿いで考え事をする時間はすごく楽しかった。自由になれた気がした。お散歩行きたくなってきたな、梅雨も嫌いじゃないよ。

「空も飛べるはず」のカバー音源を神宿YouTubeチャンネルにて公開！