「神宿・塩見きらのゆるりと真剣にアニメ語り！」第15回『夜は短し歩けよ乙女』をエンターキー

　超！アニメディアの連載企画「神宿・塩見きらのゆるりと真剣にアニメ語り！」。原宿発の5人組アイドルユニット「神宿」で活動する塩見きらさんにゆるりと真面目に、真剣に好きなアニメやゲームのことについて語っています。第15回目は『夜は短し歩けよ乙女』についてお話しいただきました。

　家から出ていないせいか、かなり気が滅入る。当たり前にできるはずのことができなくて、申し訳なくて辛い。なんだか数日心がざわざわするのが続いちゃって、相も変わらず「なんもしとうない」になってしまった。

　数日前、自分が作詞を担当した曲がデジタルリリースされた。自分の言葉を不特定多数の人間に披露するのってかなり恥ずかしいことなんじゃないのか、って思っちゃっている未熟な自分がいたんだけど、いざ自分の言葉が世の中に放出されたとき、なんだか怖くて仕方がなかった。自分にとってすごく大事なモノになってしまったせいで、適当なことはできないし、大切に大切に、育てなきゃいけなくなってしまった。

　きっと自分は、この先ずっとこうなんだろうな、と思うと全然ダメだな。てか今更だけど弱音吐いている自分かなりダサー、って思っちゃった。2週間前は、この世の中に対してもポジティブシンキングだったのに。

　SNS見てると、おうち時間でお菓子作りをするようなハッピーな生活ばかりで、なんだか憧れより辛さが勝ってログアウトしちゃったりした。大丈夫、いつもより沢山アニメ見たし、めちゃくちゃYouTubeサーフィンしたし、かなり『アイマス』育てたもんね。でも一方で、1日の体感時間があまりに長すぎる。やらなきゃいけないことは沢山あるのに、全然手につかないし、その癖時間が過ぎるのは遅い。もしかして、ジャネーの法則でいうと、僕は子供に戻っちゃってるのか？違いますね。あれ、もうこんな時間…ごめんなさい編集部さん…。

『夜は短し歩けよ乙女』は、一年間の出来事が一晩で過ぎてしまうかのように感じる「黒髪の女の子」と、はたまた一晩の出来事かのような一年間を振り回される「私」の恋物語。高校の時、よく喧嘩してた知り合いが、好きな人と見に行ってよかった、って言ってたの思い出した。ずっと気になっててやっと見れたんだけど、かなり良かったからシェアしたい。

　原作は、森見登美彦さんによる長編小説で、古典文学や近代詩からの引用が多く、私が見たアニメ映画にも、独特な言い回しや文学書のようなセリフがテンポよく盛り込まれていた。湯浅政明監督のドラッギーな世界観に口が開いちゃうほど引き込まれる。作中では、時間帯が一貫して夜間で進み、時間感覚の曖昧さが面白さを引き出している。いつのまにか季節が移り変わっているのに、でもなぜかずっと“夜”。だんだん伏線が回収されていく感じがゾクゾクして堪らない。

　2人の恋の行方は是非実際に見て欲しい。「私」（先輩）である主人公男性が、恋愛的にとても賢くて、女の子を振り向かせるために試行錯誤するんだけど、こんな純粋で素敵な人に、もし自分が出逢って心奪われたらどうなってしまうんだろう、って必要のない妄想をしてしまった。このアニメ映画のキャッチコピーは、『こうして出逢ったのも、何かのご縁』。なんだか今年一年の自分を振り返るようなキャッチコピーで心惹かれた。

　そういえばと言ったら照れ隠しみたいになっちゃうけど、4/29でグループに入って一年になる。沢山の人に出逢い、沢山のご縁に恵まれたなぁ。コラムを始めて半年。このコラムのおかげで塩見きらが形成された。読んでくれた方に、自分を少し知ってもらえた気持ちになれて、このWordの白いページが唯一の自分の居場所みたいなものだった。沢山のアニメが繋いでくれた人とのコミュニケーションを大切に宝箱に閉じ込めたい。貴方と出逢えたのも、なにかのご縁です。

神宿 New Single「在ルモノシラズ」リリース情報
【デジタルリリース】2020年4月16日
【概要】
神宿にとって2020年最初のリリースとなる「在ルモノシラズ」はグループとしての新境地を切り開く一曲。作詞は神宿メンバー初となるコライト参加として塩見きらが担当。作曲はDUSTCELLのMisumi氏を招いて制作された。「グリズリーに襲われたら♡」では毒を秘めた可愛さを、「ボクハプラチナ」ではアダルトな魅力を見せた神宿の、さらなる進化を決定づける作品となっている。

配信リンク
https://linkco.re/vRH44De2