<アニメ・マンガ妖怪よもやま話>『かぐや様は告らせたい』のかぐや&御幸もビックリ!?バケモノとの駆け引きが上手な男にまつわる話 | 超!アニメディア

<アニメ・マンガ妖怪よもやま話>『かぐや様は告らせたい』のかぐや&御幸もビックリ!?バケモノとの駆け引きが上手な男にまつわる話

   アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」として …

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 アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」としてWEBで復活。今回は『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のかぐや&御幸もビックリするような、バケモノとの駆け引きが上手な者のお話について、奈良県在住の妖怪文化研究家・木下昌美が語る。
 
 
“恋は駆け引き”だなんて言いますが、「駆け引きしすぎぃぃぃ」と思わずツッコまずにはいられないマンガがあります。お察しのとおり『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』のことです。本作は、将来を期待されるエリートたちが通う名門校・秀知院学園の生徒会メンバーである四宮かぐやと白銀御幸(しろがねみゆき)との“恋愛頭脳戦”を描いています。毎度おかわいいふたりのやりとりに、思わずこちらまで笑顔になってしまします。2019年9月6日から実写映画が公開スタートし、好評を博しているようです。
  
 そう、駆け引きといえば、『稲生物怪録(いのうもののけろく・いのうぶっかいろく)』という江戸時代に広まった物語があります。話の舞台は備後(広島県)三次。今春「三次もののけミュージアム」がオープンしたあのあたりです。物語のなかでは、稲生武太夫(幼名・平太郎)が1か月間、毎日体験したとする怪異譚が繰り広げられます。
 
 あるとき、力持ちの権八という近所に住む男と平太郎は百物語をして、比熊山という山に登ります。そのときは何も起こりませんでしたが、7月に入ると途端に不思議な出来事が彼らの身の回りで発生するようになるのです。初日から毛むくじゃらのバケモノに襲われる平太郎ですが、屈することなく撃退します。平太郎はなかなかに肝が据わった人物のようで、次々とやってくるバケモノたちとやり合う、もしくはスルーするなど非常に駆け引き上手。その動じなさといったら、バケモノのほうが気の毒になるレベルです。
 
 怪異が発生するようになってから30日目、山本五郎左衛門(さんもとたろうざえもん)と名乗る男が平太郎の前に現れます。なんでも、魔物の頭領(魔王)の座をめぐり、信野悪太郎(しんのあくたろう)という魔物と、人をどれだけ驚かすことができるか競っていたそうです。しかし、平太郎があまりに剛胆であったために驚かすことができず、山本五郎座衛門はその戦いに負けてしまったのです。お気の毒なことこの上ありません。バケモノの世界も大変ですね。
  
 頭脳というよりも、主に力を以てしてバケモノをねじ伏せた平太郎。考えすぎずシンプルに対処したほうが、ときとしてその戦いに勝てることもあるようです。かぐやと御幸の駆け引きと戦いは、今後どのように展開していくのでしょうか。平太郎のように、納まるところに納まればよいのですが……。とにもかくにもおかわいいふたりに幸あれ!(今でも十二分に幸せそうですが)

 

解説:木下昌美
<プロフィール>
【きのした・まさみ】妖怪文化研究家。福岡県出身、奈良県在住。子どものころ『まんが日本昔ばなし』に熱中して、水木しげるのマンガ『のんのんばあとオレ』を愛読するなど、怪しく不思議な話に興味を持つ。現在、奈良県内のお化け譚を蒐集、記録を進めている。大和政経通信社より『奈良妖怪新聞』発行中。
 
●挿絵/幸餅きなこ 撮影/高旗弘之
《超!アニメディア編集部》
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