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声優・花澤香菜と梶裕貴も出演の映画『サンタ・カンパニー ~クリスマスの秘密~』、糸曽賢志監督に製作の裏側を訊く【インタビュー】

2019/11/28


サンタクロースが勤める会社「サンタ・カンパニー」を舞台に、見習いのノエルとその仲間たちとの友情や、ノエルと父親との絆を描く『サンタ・カンパニー ~クリスマスの秘密~』が11月29日から公開される。2014年の短編アニメに引き続き、今回もクラウドファンディングを活用して製作運営資金を調達。さらなるシーンも追加して描かれる物語について、糸曽賢志監督に語ってもらった。同時上映の『コルボッコロ』とのリンクについてなど、興味深い話が盛りだくさんだ。

■ファミリー層に届く映画にしたかった

――『サンタ・カンパニー』は2001年に作られたマンガの企画がスタートだそうですね。

 ちょうど当時『モンスターズ・インク』という映画が公開されていて、モンスターが会社をやっているというアイデアが面白いなと思ったんです。僕はクリスマスが好きだったので、サンタクロースを会社にしたらどうだろうと思いついたところから、サンタがどうやって一晩でプレゼントを配るのかなどの設定をまず考えていきました。最初のマンガの企画は、戦うサンタでしたね。ただ、いろいろあってお蔵入りになりましたが。

――その後、糸曽監督は今敏監督の『夢みる機械』の演出として参加されています。

 僕が今さんの大ファンで、当時は『夢みる機械』をやりながら企画書をよく見ていただいていました。だいたい酷評でしたが(笑)、サンタの企画だけは「映画になるんじゃないか」と言ってもらえて。どこかでやりたいなという話もしていたときに、今さんがお亡くなりになられたんです。
 『夢みる機械』の制作もストップしてしまったので、そのあとどうしようかと考えた結果、自分で作品を作ってみようと動き出したのが2010年でした。当時は短編アニメでしたが、実は元々90分くらいのアニメにしたかったんです。制作資金を調達するためにいろんな会社と話したんですが、上手くいかなくて。そこからクラウドファンディングを始めました。

――今回の『サンタ・カンパニー ~クリスマスの秘密~』は短編アニメのエピソードの前段階として、主人公のノエルがサンタ・カンパニーに入るまでの流れが追加されています。

 今回の企画では、『サンタ・カンパニー』を長くするという案と、『サンタ・カンパニー』『コルボッコロ』にさらにもうひとつ短編を加えて3つの作品がリンクするようにしようという案がありました。ただ、(後者の案では)宣伝的に難しいところがあるということで、『サンタ・カンパニー』を長くするという話でまとまりました。
 ノエルがサンタ・カンパニーに入るまでを描いたのは、『不思議の国のアリス』のように現実世界から引き込まれるところを描きたかったから。短編の制作当時からやりたかった案ではあったんですが、短編だとそれを描いただけで終わってしまうんですよね。

――今回は満を持して、という感じですね。

 そうなりますね。導入とバトルはしっかりと描きたかったですし、ラストはまだまだ続くぞというニュアンスにして、テレビシリーズとしてのオファーも待っていますという気持ちです(笑)。

――ノエルがサンタ・カンパニーに入るまでが描かれているからか、ノエルと父親の関係性も、短編以上にクリアになっているように思います。

 僕としては今回、ファミリー層にも届けたいと思ったんですよね。アニメが好きな方は声優さんきっかけなどでも観てくださると思いますが、そういうきっかけがない親子にどう届けるかということを考えました。

――ノエルの母親についても、なぜ登場しないのかが観ればわかるようになっています。

 僕は、クリスマスはいいものだと考えているので、サンタ・カンパニーに関わった人は、全員幸せにならないといけないと思っているんです。ノエルのお母さんが本編に出てこないのは何らかの理由があるし、それを先々描けたらな、なんてことも考えています。あと、現在連載しているマンガ版ではまた設定が違うので、その違いを楽しんでいただくのも面白いと思いますね。

――バトルシーンも描きたいということでしたが。

 サンタたちが相対することになるムックは、同時上映の『コルボッコロ』との兼ね合いもあって、今回は精霊という設定にしました。『コルボッコロ』の主人公・鈴は、精霊を封印したり心の交流をしたりできる鈴を持っているんですが、それと同じものをベルにも持たせたんです。そういう形で、ふたつの作品をリンクさせることができました

■ノエルが一番メンバーの中で冷静かもしれない

――キャラクターの性格はどのように設定を決めていったのでしょうか?

 僕が作品を作ると、よく「賢そうな子しか出ない」と言われるんです。みんな何かを悟っているよねと。それで、今回はオンダ(ユウ)さんという方に脚本のお手伝いをお願いしました。オンダさんは普段はバラエティーの台本を書いている方なので、突然わけのわからないセリフを入れてくるんですよ(笑)。でも、今回はそれがありがたかったですね。
 実際のキャラクター造形に関しては、まずノエルは僕が普段から思っていることを言わせたいなと思っていました。それもあって、これといった強い特徴はなく、真面目で純粋で一番冷静な子になりました。
 ベルはノエルの相手役なので、完璧超人といってもいいくらいの行動力がある。ただ、今回の映画では、過去に何か失敗をしても、同じことで挽回すればいいと考えている、子どもらしい面も入れました。一度失敗したなら、別のことで挽回したほうがいいと考える人も多いと思うんですよ。でも、同じことで挽回しようとするのが年頃の男の子っぽいかなと。
 ミントはその場その場で話が変わる、ちょっと変わった子で、トーマスはそれを追いかけている感じの子にしました。

――短編では声のなかったトナカイのルドルフ三世にも声がつきましたね。

 僕がルドルフ三世を喋らせたいと話したら、オンダさんから芸人はどうだろうと言われて。それで(ルドルフ三世の)顔から浮かぶイメージに合うのは小籔(千豊)さんかなと思って、オファーさせていただきました。小籔さんは、言葉を選ばずに言うと「いい人っぽくなさそうな声」を出せる方だと思ったんです。それがルドルフにはピッタリで。受けていただけてよかったですね。
 アフレコといえば、今回は僕もサンタクロース役として参加させてもらったんです。演技指導もしてもらって、「ダメだったら消してください」とお願いしたのですが、そのまま残っているようなのでありがたいです。

■考察できるところをたくさん作りました

――主題歌を茅原実里さんにお願いした理由は?

 茅原さんの歌った『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の曲がすごくいいなと思ったのと、オーケストラが相手でも負けずに歌っていただけそうだと思ったからです。今回、僕は物語の中に曲をたくさん入れていきたかったんです。そうしたら、ちょうど茅原さんも新しいことに挑戦したいと思っていらしたみたいで、僕から「物語の中でミュージカルをやりませんか」という提案をしました。
 結果、冒頭のサンタ・カンパニーでサンタたちが準備をしているところは全編ミュージカル風になっています。ミュージカルって、譜面からずらして歌ったほうが、雰囲気が出るのですが、茅原さんもそれは経験がなかったようで少し苦戦されていましたね。でも、最後はバッチリ合わせてくださいました。

――同時上映の『コルボッコロ』についても教えてください。

 こちらも以前作ったことがある作品でしたが、当時は環境やエコロジーが声高に言われていた時期だったので、それをテーマにしつつ、僕のルーツにジブリがあるのでそれっぽいものも入れようかなと思って作った作品です(笑)。
 正直、当時は少人数で作ったこともあって、パイロット版みたいな、尻切れトンボなものになってしまったんです。それをなんとかしたくて、今回は既存のシーンを使いつつ、シナリオも『サンタ・カンパニー』とリンクするように書き直し、撮影もやり直して制作しました。

――主人公の鈴役は、西野七瀬さんが担当しています。

 僕としては、アフレコに慣れていなくてもいいから、自然な演技ができる人、そして一生懸命挑戦をしてくれる人をプロデューサーに希望しました。その結果、西野さんを推していただいて。
 西野さんは声優初経験だったので、息づかいの演技などを何度も試行錯誤されていましたが、やればやるほど上手になって、最終的にはすごく自然になり、西野さんが鈴に見えてきましたね。

――『サンタ・カンパニー』の冒頭では、子どもたちが「サンタはいる、いない」という話をしたり、「クリぼっち」(クリスマスにひとりぼっちで過ごすこと)というワードが出てきたり、かなり攻めたセリフもありました。

 皮肉な演出は、つい盛り込みがちですね。たとえば、サンタ・カンパニーの部長室でノエルたちが説教をされるシーンは、背後に「Yes, Virginia, there is Santa Claus.」という文字が書いてあって。これは実際にアメリカで、8歳のバージニアという女の子が新聞社に「サンタはいるの?」と手紙で問い合わせた際、その答えとして新聞の社説に掲載された文章なんです。
 そうやって「サンタはいる」という言葉を掲げながら、期日から遅れたサンタへの手紙に対して、プレゼントは贈らなくていいと言う。大人ってそういうものだよね、みたいな気持ちを込めた演出です。僕としては、それを観た人たちが、何かしら討論をしてくれたらいいなとも思っています。

――本作は、日本とフィンランドの外交関係樹立100年を記念した作品でもあります。

 とにかく作品を知ってもらうために、短編を作った頃にフィンランド大使館にアポなしで突撃したり、そのあとでフィンランド大使館のTwitterがバズったときに「キャラクターを作ったらどうか」と提案してコンペに参加したりという流れがあって、徐々に関係を構築してきたんです。
 それもあって今回はフィンランドと日本を行き来する設定にして、日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念した作品という立ち位置にもさせてもらいました。

――では、最後に読者にメッセージを。

 映画で使用されている曲は全部、フルオーケストラにしました。音の厚みもあり、映像もパワーアップさせて、映画館で観る意味がある作品にしたつもりです。観終わったあとに考察できるよう、いろいろなギミックも盛り込みましたので、ぜひ家族で観に行っていただいて、終わったあとには話し合ってもらえたらと思います。

取材・文/野下奈生(アイプランニング)
 

 

<『サンタ・カンパニー~クリスマスの秘密~情報>
全国劇場で2019年11月29日(金)より公開

 両親が離婚し、一緒に住む父親はいつも大忙しで、友達も遊んでくれないというクリスマスが大嫌いだったノエル。ところが、自宅に帰るとなぜかそこには「サンタ・カンパニー」という会社が広がっていた。そこで出会った同年代の子たちに感化されて、「サンタ・カンパニー」に入社したいと思ったノエルは、入社試験に臨むのだが……。

『サンタ・カンパニー~クリスマスの秘密~』公式サイト
http://santa-company.net/

『サンタ・カンパニー~クリスマスの秘密~』公式Twitter
https://twitter.com/santa_company/

◯スタッフ
原作・脚本・監督:糸曽賢志
脚本:オンダユウ
キャラクターデザイン:左
音楽:SUPA LOVE
企画・プロデュース:藍沢亮(スターリーキューブ)
アニメーションプロデューサー:河内山隆
アニメーション制作:旭プロダクション
音響監督:阿部信行
音響制作:BloomZ
配給:キグー
著作:KENJI STUDIO

◯キャスト
ノエル:花澤香菜
ベル:梶裕貴
ミント:戸松遥
トーマス:釘宮理恵
ペドロ:櫻井孝宏
ニコラ部長:近藤雄介
ルドルフ三世:小籔千豊
カラ:茶風林
イケメン天使:天月
オネエ天使:野口衣織(=LOVE)
カワイイ天使:佐々木舞香(=LOVE)

◯主題歌
茅原実里『Chritsmas Night』(Lantis)

(C)KENJI STUDIO



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