持ち歌全曲にカバー、さらには新曲まで引っさげた完全復活のライブ! “相坂優歌LIVE「あいのうわ塗り」”レポート | 超!アニメディア

持ち歌全曲にカバー、さらには新曲まで引っさげた完全復活のライブ! “相坂優歌LIVE「あいのうわ塗り」”レポート

“相坂優歌LIVE「あいのうわ塗り」”が5月18日、横浜ベイホールにて開催。今回のライブは、昨年7月から今年2月まで喉の不調のため短期休業していた彼女にとっての“復帰ライブ”にあたるものだったが、歌声からブランクを感じ …

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 “相坂優歌LIVE「あいのうわ塗り」”が5月18日、横浜ベイホールにて開催。今回のライブは、昨年7月から今年2月まで喉の不調のため短期休業していた彼女にとっての“復帰ライブ”にあたるものだったが、歌声からブランクを感じた瞬間は一切なし。力強さと巧みさとを併せ持つボーカルワークで、生で聴き手の心を次々に揺さぶってくれた。


爽やかさと強さを兼ね備えた歌声とともに、“相坂くん”が帰ってきた!

 ステージがブルーの灯りに照らされるなか、オープニングSEに乗せてステージにバンドメンバーが、続いて相坂が登場。クラップでフロアを盛り立てると、デビュー曲「透明な夜空」で記念すべき復帰1曲目を飾る。頭サビを歌い切ると、微笑みながら小さく拳でフロアを煽る相坂。1サビから最高点も含めて気持ちよさそうに歌声を響かせていくと、ぱっと笑顔を咲かせてみせる。その後はステージ両端まで歩み寄っていき、ステージに立てる喜びをファンと共有するかのようなパフォーマンスを披露。大サビ最後の「君が笑ってて くれたらいいな」のフレーズでは、歌詞通りの想いを特に強く乗せて、フロアへと飛ばしていたように感じた。それに続くのは、3rdシングル「ひかり、ひかり」。他にもアッパーチューンを数多く持つ彼女のライブの2曲目にこの曲、というのは少々意外な構成ではあったが、少し引き気味の歌声を織り交ぜての、「透明な夜空」と違ったアングルからの魂込めた1曲に。そのなかで、落ちサビ最初に起きたクラップが、歌声とともにどんどん減っていった光景が非常に印象的だった。これは、彼女の歌を聴くことに集中したい、と思わせたからこその現象だったのではないだろうか。それほどまでにオーディエンスの心を動かす歌声を、彼女はのっけから聴かせてくれたというわけだ。

 2曲歌ってからのこの日初MCは、少しはにかみつつ、ゆるめにマイペースに展開。そんなMCでは、思い切って「ただいま!」と発す。その声に返る、「おかえり!」の声と拍手の音が会場を包む。そして冒頭2曲にキラーチューンを並べた意図を「元気に帰ってきた姿を見せたかった」と説明すると、「今日は私のペースでいくから」と宣言し、「ここからは何曲か、ガンガン盛り上がる曲!」との言葉に続いて「翡翠蝶の棲む処」からライブ再開。

 翡翠色の照明が包むなか、透き通りながらもどこかセクシーで妖しい歌声を響かせていく。ビブラートは繊細で、なおかつ強さも厚みもあり、大サビの歌声にはそれを源泉とするすごみさえもあった。復帰一発目が“満を持して”の舞台であることを、改めて感じさせられた。


 そしてここからは、自ら作詞を手がけた“カップリング三部作”をアルバム収録順に立て続けに披露。まず「Look back」でさらにその歌声に強さを増した相坂は、ステージギリギリまで出ていったりと、場内とともにふつふつとボルテージを上げていく。続く「Dependence」では、ウィスパー混じりな入りで楽曲の主人公の哀しさを表現すると、より骨太なバンドサウンドに乗せて徐々にクレッシェンドしていき、サビでは全開に。1曲の中での起伏を生かして楽曲世界を表現してくれた。その曲明け、ピアノソロを導入に「Impulse」がスタート。シャープな曲を引き続き力いっぱい歌うことで、自身のボルテージもUPしたのか、大サビでは羽織った衣装をジャケットプレイのように魅せる一幕も。

 そしてこのゾーン最後に、もう1曲悲しく、それでいて不器用さや心の疼きを織り込んだナンバー「Anti Geometry」へ。2サビの最後、視線を外しながら諦めたかのように歌うラストフレーズも、やはり変わらず絶品だ。そうして楽曲に没入しながらも、拳がいっぱいに掲げられたフロアを見た相坂の表情には、嬉しさもじわりとにじみ出ているようであった。

 このブロック全体としても会心の出来だったのか、曲明けオフマイクで「よしっ!」と一声を上げた相坂。このブロックは「この5曲のうちのどれかはみんなにハマるな」という意図のもと組まれたと明かされたが、のっけからの大反響に喜びをあらわに。特に自身が歌詞を書き、デビュー曲からタッグを組む鴇沢直と作り上げたカップリング曲の人気の高さには、相坂のみならずこの日キーボードを務めた鴇沢も「めっちゃ嬉しい!」と口にしていた。

 そんななか、続いてはアコースティックコーナー。まずは1stアルバムでリード曲の楽曲提供を受けた、大森靖子の「非国民的ヒーロー」をカバー。歌声も少々大森を意識したのか、独特の丸みを持たせて歌唱。普通の人の気持ちにスッと入り込む曲をアコースティックバージョンとしてより言葉を伝えることで、相坂のボーカルワークも相まってより胸に響かせてくれる。特に大サビは、本当に“魂の歌唱”という様相だった。それに続けたのは、自身の持ち曲「今はここに」。『コードギアス 反逆のルルーシュII 叛道』の挿入歌として、ボーカリスト的な立ち位置から歌われたこの曲は、ゆったりとした楽曲のテンポ感に合わせてたゆたうように、ときに優しく歌い上げ、相坂はステージからいったん降壇した。

 そしてバンドタイムを挟み、白いドレスに衣装チェンジをして後半戦の幕開けを告げたのはアルバムリード曲「瞬間最大me」のイントロ。同時にステージは楽曲になぞらえてピンクの光に包まれ、相坂がステージに再登場。甘めの歌声で楽曲にアプローチすると、フロアをガンガン乗せてジャンプさせていく。相坂もサウンドに合わせて身体も揺らしつつ、序盤のロックゾーンとも直前のアコースティックゾーンともまた違ったアングルの、シンガーとしての魅力をいかんなく発揮。早口や高音部などでは、確かなテクニックを下敷きにしている点もしっかりうかがえる。

 そこからさらに、2曲続けてアルバム曲を歌唱。「Insomnia」では切ない楽曲らしく、落ちサビでの絞り気味の歌声が胸にキュンとくる。その一方で、1-Aメロラストではフロアに向けた指先をくるくるっとさせながらフロアをさらっていく点にかわいさと小悪魔さをみせ、その後も「キミ」というワードのたびにフロアを指さしてつながっていった。そこから「Prime Point」で一気に明るくポップなナンバーへ。楽曲のスピード感を生かしつつ、持ち前の伸びやかさも生かしたボーカルを響かせると、1サビ明けには相坂も声を出して笑顔でフロアを煽る。またDメロには、表情にも歌声にも先へと向かう希望が。それは楽曲由来のものでもあったのかもしれないが、それをこのタイミングで聴くことができることが、また嬉しい。なお、歌唱後には秋に写真集を発売することを発表! ここも少々照れ気味に、それでも「声優にしては斬新なことをしたい」と意気込みを語りつつ、「買ってもらわないと困る」と自らオチをつけていた。


作曲にも初挑戦! この日のために作り上げた新曲「愛のうわ塗り」

 そして続いては再びカバー。「疾走感を感じてもらえたら」と語ってから始まったその曲は、チャットモンチーの「風吹けば恋」。A・Bメロの歌声が非常によくマッチしているうえに、サビのサウンドの持つ開放感に合わせて飛んでいくようなボーカルを響かせる点も素晴らしく、この貴重なカバーに立ち会えたことを幸せにすら感じた。しかもただ溶け合わせるだけではなく、1オクターブ駆け上がっていく大サビのフレーズではファルセットで細かいビブラートを用いていたところに、彼女らしさも感じることができた。

 さらに今度は、『甘城ブリリアントパーク』で演じた精霊・ミュースの楽曲を2曲連続セルフカバー。まずは同作のEDでもあった「エレメンタリオで会いましょう!」のイントロとともに、フロアには大歓声が響きわたる。少々甘めの歌声で場内にすさまじい盛り上がりをもたらし、自身もソロデビューにつながったこの曲への思い入れの深さも感じさせると、そのままミュースのソロ曲「シャイン」へ。青と白の2色による照明演出が、ミュースのソロステージであるように感じさせてくれる。爽やかで清涼感があって、ソロ曲ともまたイメージが結びつくこの曲も、楽しみながら笑顔で披露。相坂のテンションもよりUPしたのか、1サビ明けには跳ねてオーディエンスを煽る。そしてDメロ最後の「ありがとう」のフレーズはシャウトに。彼女の気持ちがいっぱい詰まった、エモーショナルな瞬間を迎えていた。

 そして「ラストー!」のシャウトに続いて、本編ラストナンバー「セルリアンスカッシュ」。冒頭フレーズを歌ってから、自らも跳ねながらフロアを高めていく。すでに相坂は汗だくだったが、ぶっ飛ばしていくようなハイスピードなナンバーに感謝の想いを込め、ステージ上を歩きつつフロアを指さして、その先にいるファンとつながりながら一緒にこの曲を駆け抜けていく。2サビ最後の「SHOOT!」も、フロアと合わせて指鉄砲とコールとを気持ちよく決め、ただ感謝するだけではなくこの速度と力強さでまた引っ張っていく意思も提示し、ジャンプエンドで本編を締めくくった。


 即上がったアンコールの声に応え、相坂がステージに戻ってフロアを見回し「楽しかったですか?」とここまでの反響を確認。歓声を受けながらも、柱の陰になっているファンを気にする優しさもみせる。

 さて、アンコール1曲目について、「新しく作ってみたんです私が。鴇沢さんにも助けられながら」と、作詞に加えて初めて作曲も手がけたナンバーであることを告げる。「バンドの皆さんにかっこよくしていただいたおかげで、なんとか形になったんですけど……」と謙遜しながら紹介されたその曲のタイトルは、「愛のうわ塗り」。そう、それはこの日のライブタイトルでもあった。そのエモすぎる展開に胸を熱くさせられつつ、フロアも驚きと喜びが包むなか歌われていくポップ・ロック。耳馴染みの非常にいいメロディに、彼女の内面をさらけ出したかのような歌詞で、いわゆるラブソングとはまた違った“愛”が歌われていく。キーが高すぎないところも、その想いの温かさを感じるにはいい選択だったように思う。

 歌唱後、はにかみながら「あの……結構いい曲じゃない?」と語りかける相坂に、大きな拍手と歓声が。そしてこの曲について「配信もいいけど、CDで買ってほしい」と、リリースが叶った際にはモノを手元においてほしいとの想いも口にしていた。

 そしてギターを提げた相坂は、1stワンマンでも披露したクリープハイプの「大丈夫」を、ギターを奏でながらカバー。キーが高い部分もいたずらに張り上げずに語りかけるようなアプローチで歌われることにより、ラストのフェイクや「大丈夫だから」のアドリブフレーズも含めて、原曲とはまた違ったより女性的な包み込むような優しさを伴う曲に。その歌声から、「相坂ももう“大丈夫”なのだ」とも感じることができた。

 ライブも残すところあと1曲。この日を迎えるまでの不安などについて、相坂が包み隠さず語り始める。しかし、「今日は不思議と『なんかいけるな』と思って。みんなが許してくれる気がしたんです」と続ける。そして「たくさん心配かけた分、たくさんの想いを返さないといけない。でもステージに立った瞬間、『返したいな』っていう前向きな気持ちになって、それがあふれました」と率直な胸の内を明かしてくれた。その後も、自分の言葉に返ってくるファンの声をさらに受ける“対話型”のMCで想いをやり取りするなかで、「自分らしさを追求していく」ことを宣言。「どう言われても構わない。私のやりたいようにやっていくなかで、いい表現ができたらそんなに幸せなことはありません」と意気を新たにしていた。

 そんな言葉に続いて歌われたラストナンバーは、再びの「ひかり、ひかり」。直前に想いをさらけ出し、決意を語ったあとだからこそよりグサリと聴き手の心に刺さる曲になっていたし、序盤に披露されたときとは違い、これからも続く互いの人生へのエールを送る歌声のようにも感じられた。MCでは感極まる場面もあった相坂だが、最後は晴れやかな笑顔でフロアを煽り切って、ジャンプエンドと「ありがとう!」の言葉で締めくくった。

 ここで安堵感からか、相坂の目には涙が。歌唱後の長い長い一礼は、その表情を見せたくなかった、「大丈夫」だというところを見せたかったから来た行動でもあったのかもしれない。

 そして最後に「もっともっと好きになってもらえるように頑張るので、皆さんのことをもっともっと好きにならせてください!」と語り、最後に「2019年あと半年ぐらいありますけど、みんなで頑張って生きていきましょう!」とエールを送り、ステージを降りたのだった。

 誰がどう見ても、完全復活と言っていいステージだっただろう。持ち前の歌唱力・表現力は健在だったうえに、作曲も手がけた新曲「愛のうわ塗り」で、アーティストとしてさらにもう一歩踏み込んだ姿も見せてくれた。その新曲も含めて、この日の歌声で改めて確信した。まっすぐだからこそ生きづらさを感じるような人たちに自然と響く歌を、これからも相坂優歌は作り、歌い続けてくれるだろう、と。

画像ギャラリーはこちら。クリックすると拡大します。

 

相坂優歌LIVE 「あいのうわ塗り」
2019.05.18@横浜ベイホール
【SET LIST】
M1.透明な夜空
M2.ひかり、ひかり
M3.翡翠蝶の棲む処
M4.Look back
M5.Dependence
M6.Impulse
M7.Anti Geometry
M8.非国民的ヒーロー(大森靖子 カバー)
M9.今はここに
M10.瞬間最大me
M11.Insomnia
M12.Prime Point
M13.風吹けば恋(チャットモンチー カバー)
M14.エレメンタリオで会いましょう!
M15.シャイン
M16.セルリアンスカッシュ
EN1.愛のうわ塗り(※自作詞・作曲 新曲)
EN2.大丈夫(クリープハイプ カバー)
EN3.ひかり、ひかり

 

取材・文/須永兼次

《超!アニメディア編集部》
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