『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』が10月4日より放送中。2016年より放送が始まったTVアニメシリーズを締めくくる最終章となる本作では、ヒーローを志す主人公・緑谷出久らと最凶の敵死柄木弔、“魔王”オール・フォー・ワンとの最終決戦が繰り広げられる。
このたび、本作で爆豪勝己役を演じた岡本信彦にインタビュー。シリーズ完結に向けての意気込みや、キャラクターへの思いをたっぷりと伺った。
※本稿は、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』第163話までのネタバレを含みます。読み進める際はご注意下さい。
[取材・文=吉川恵 撮影=You Ishii]
■「ようやく報われた」オール・フォー・ワンへの勝利

――『僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON』の放送が決まった際の率直な気持ちをお聞かせください。
ついにファイナルなんだ、と。ファイナルまでいけてよかったと思いましたし、ファンの皆さんと同様に、「終わりまで見たいけど終わってほしくない」という気持ちももちろんありました。
――前回、アニメ第7期で、爆豪はオール・フォー・ワンとの対戦で致命傷を負います。ファンの間でも大きな話題になりましたが、この展開はどう感じましたか?
かなり衝撃を受けました。実のところ、堀越先生からそのあとの展開を聞いていて、死ぬはずはないとは思っていたんです。なので、ここからどう復活してこの後の戦いに行くんだろうか? 堀越先生がおっしゃっていた展開にどうやって持っていくんだろうか?と考えていました。(爆豪が)死んだところからまた始まるんだ、どのような演技をしよう?とプレッシャーに感じていました。
――死闘を経た爆豪を演じるうえで、何か準備や意識されたことはあるのでしょうか?
僕にできることといえば筋トレくらい(笑)。叫びにちょっとでも変化が出たらいいだろうと始めました。
――ファイナルシーズン第163話では、そんな致命傷から復活した爆豪がオール・フォー・ワンを倒しました。
うれしかったですね。思い返せば、A組vs B組の対抗戦以外では、ずっと負け続けた彼がようやく勝ち、しかも相手が今までの“巨悪の元凶”というのも含めて、よくやった!という気持ちとともに、ようやく報われた感じがしました。
「デクvsかっちゃん2」(アニメ第61話)で、「なんで俺はオールマイトを終わらせちまってんだ」というセリフがあるのですが、ずっと憧れだったオールマイトをダメにしてしまったのは自分だというのが、彼のなかでずっと胸の内に引っかかっているんです。
けど、若返ったオール・フォー・ワンがオールマイトのすべてを終わらせようとしたときに、かっちゃんが “終わらせなかった人”として登場して、間に合ってよかったと思いました。今まで自分のなかで呪いになっていた汚名返上をできてよかったねという気持ちでいっぱいでした。
――やはり爆豪は自分のなかに積み重なっていた“呪い”のようなものがあったと。
ずっと悔しさがあったと思うんです。オールマイトをも超えるNo.1ヒーローになると言って目標として走り続けてきたので、オールマイトでも倒しきれなかった相手を倒しきった事実は、彼のバックボーンにおいてデカいんじゃないかなと思います。
最終的に“魔王”と言ったら若いオール・フォー・ワンだとは思いますが、死柄木は悪のカリスマだと思いますし、敵<ヴィラン>側には敵<ヴィラン>なりの正義が存在していて、デクvs死柄木はまた違ったバトルになっていました。オール・フォー・ワンにだまされて従うだけでなく、敵<ヴィラン>たちも成長もして強くなるしドラマがありました。
そんな敵対するヒーローと敵<ヴィラン>の象徴であるオールマイトとオール・フォー・ワンの戦いに終止符を打ったのは爆豪だったのが、すごくエモーショナルだと思いました。

――デクは誰かを“救う”ことを目的に戦ってきたので、爆豪がオール・フォー・ワンを倒すというセオリーは、なるほどと思いました。
「勝って救ける」と「救けて勝つ」の違いですよね。爆豪は、完全勝利を延々言い続けてきましたが、ようやく体現できたんじゃないかと思います。あと、完膚なきまでの勝利とは決して圧勝ではないこともわかりました。A組vsB組の対抗戦のときのような勝ち方が完全勝利なのかなと思っていましたが、死力を尽くして倒れそうになっても踏みとどまって立っているようなかたちでも、完膚なきまでの勝利だったといえる素晴らしい展開でした。










