アニメやゲームの主題歌、テーマソングなどを歌うアーティストに楽曲について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2025年12月号には、『Reincarnation』をリリースした花耶が登場。
新しい世界を切り拓く気持ちを込めて
――メガミマガジンには初登場ということで、自己紹介をお願いします!
山梨県南アルプス市出身のアーティスト・花耶です。5歳からピアノを習っていた教室で歌っている人を見て私も歌いたいと思い、7歳から歌を始めました。歌手を目指したのは、コンクールに出場して賞をもらえ、歌が楽しくなったことがきっかけです。オーディションを経て、2021年にデビューしました。好きな食べ物は、ミートソーススパゲティと、主に洋菓子です。出身の南アルプス市を、推していきたいとがんばっています。
――今回のシングルの表題曲「Reincarnation」は、テレビアニメ『無職の英雄 ~別にスキルなんか要らなかったんだが~』(以下『無職の英雄』)のOP主題歌です。初のアニメタイアップが決まっての感想を教えてください。
じつは、アニメを見るようになったのは、ひとり暮らしを始めてからなんです。会話する相手がいないので、そのさびしさを紛らわせたくてアニメを見始め、どんどんハマっていったので、主題歌が歌えることが決まって本当にうれしかったです。
――「Reincarnation」の曲を最初に聞いたときの印象は?
疾走感があってカッコいいなと思ったのと同時に、こんなに難しい曲が歌えるのかとちょっと心配になりました。でも、すごく素敵な曲で、この曲をほかの誰かが歌っていたら嫌だなと思ったんです。なので、とにかく練習していこうと思いました。

――実際に歌ってみて、やはり難しかったですか?
レコーディングの前に家で練習をし始めたころは、難しすぎて歌えませんでした。また、私の手元に曲が来たときは、まだ歌詞が完成していない状態だったので、歌詞の変更に合わせて何度も練習しました。
――とくにどのあたりが難しいと感じましたか?
テンポが速いのに、音程をしっかり取らなければいけないところです。また、最初から最後まで疾走感があるので、歌でスピードが衰えてしまわないように、全力を振り絞りたかったんです。でも、どうしても疲れてしまうので、最後まで維持できる体力を付けなければと思いました。また、アニソンは歌詞が熱く、思いがストレートに伝わる言葉が多いので、聞いてくれる人にそれが伝わるように、ひと言ひと言に気持ちを込めて歌いました。
――レコーディングのときは、『無職の英雄』の物語をどのくらい知っていましたか?
タイトルを事前に聞いていて、原作を読ませてもらいました。主人公のアレルは、女神から授けられる「職業」がなく、才能なしと判定された男の子なのですが、努力をして運命を切り拓いていくんです。私も、自分で道を切り拓かなければ新しい場所には辿り着けないと思っているので、アレルの行動には勇気づけられましたし、共感しました。そんなふうにアレルが私に与えてくれた思いを「Reincarnation」で皆さんに届けたいと思い、エネルギーを込めて歌いました。
――カップリングについても教えてください。「サザンカ」はフラメンコ調のメロディが印象的ですね。
異世界感がありますよね。じつは、今回のシングルに収録する3曲は、どれもこれまで歌ってこなかったタイプの曲調なんです。なかでも「サザンカ」は歌い方ひとつで印象がガラッと変わるので、情熱的に歌ったり力を抜いてみたりと、いろいろなパターンを試しました。制作チーム全員が納得できるものになるまで何度もテイクを重ねた結果、力を抜きすぎず、でも弱々しくないという絶妙なところで歌えたと思います。
――歌詞は、花耶さんも共作で担当していますね。
最初に1番の歌詞が完成していて、2番以降を考えさせていただきました。私は「サザンカ」という花に、踏まれても枯れないくらいの強さを感じているので、それを歌詞にも込めました。また、2024年に所属事務所と音楽レーベルを移籍したので、今回のシングルは再スタートの気持ちが強かったんです。そこで、いまどんな思いでいるかや、どんな未来に進んでいきたいかを書きたくて、決意表明のような思いも込めた歌詞になりました。
――作詞は時間がかかりましたか?
もともと、頭のなかがロマンチックでポエマーなんです(笑)。電車の待ち時間などに、よくポエムが頭に浮かぶので、歌詞を考えること自体はスムーズでした。ただ、曲に乗せて詞を書いた経験がなかったので、言葉をメロディに当てていく作業が大変でした。
――もう1曲のカップリング「小夜中の輪舞曲」は、ドラマチックですね。
高校時代までクラシック漬けの生活を送っていたので、もともと舞踏会で演奏される曲調がすごく好きでした。「小夜中の輪舞曲」はまさに、大好きな曲調だったので、絶対に歌いたいとスタッフさんに伝えたくらいです。この曲に関しては、こう歌おうとは決めずに、曲を聞いて自然と出た声で歌おうと思っていました。
――1番と2番で雰囲気の違う歌い方になるので、お2人で歌っているのかと思ってしまいました。
意識して変えようとは思っていなかったので、そう言っていただけたのが意外でした(笑)。でも、幼いころにミュージカルを教わった経験があるので、雰囲気に合わせて声を変えるのは当たり前だったんですね。もしかしたら、自然とそうなっていたのかもしれません。この曲は、ダークな曲調と、歌の裏で鳴る和音の響きがすごく素敵なので、そこもチェックしていただけると曲の持つ世界がもっと深く伝わるのではないかと思います。
――ジャケットは、花耶さんのアップが目を引きますが、撮影の思い出を教えてください。
「Reincarnation」のイメージカラーが白なので、真っ白な衣装を作ってもらいました。お腹を出すことになるので、撮影の日まで1か月ほどパーソナルトレーニングもして、かなり気合いを入れたんです(笑)。また、カメラマンさんが高校時代に私が歌っているところをテレビで見て、歌に引かれたと言ってくださった方で。その後も、何度もご一緒させていただいて、今回のジャケットもぜひお願いしたいとスタッフさんに伝えて叶えてもらったので、あらためてもっとがんばろうと思える撮影になりました。また、私は名前に「花」が入っているとおり、花がとても好きなんです。今回は、花を持って撮影できたこともうれしかったです。初回限定盤に同梱のフォトブックにも写真が使われていて、とても充実した内容になっていて、最後のページには手書きのメッセージも入っているので、ぜひ受け取っていただきたいです。
――お話を聞いていると、スタッフの方とはかなり密にやりとりをしているんですね。
私は自分の思いを伝えるのはあまり得意ではないのですが、閉じこもっていてもうまくいかないし、切り拓いていかなければと思い、希望や要望はできる限り伝えるようにしています。スタッフの皆さんはそれを受け入れて検討、さらにアドバイスもくださるので、とてもありがたいです。
――今後のアーティストとしての目標を教えてください。
まず、歌を歌い続けたいです。そして、大きなステージに立ってみたいです。というのも、歌手になりたいと決めた7歳のころは、アーティストの方が歌う姿といえばテレビで見るものでした。それも、日本武道館や東京ドームなどの広い会場だったんです。そこが歌手を目指すスタートだったので、できるだけ多くの人に歌を届けたいという思いが強くて。口下手でも、歌なら思いを伝えられるし、ステージの上が一番生きている実感があるんですね。これからも、いろいろなジャンルの曲を歌い、作詞もしたいですが、まず多くの方に知っていただき、歌い続けられたらと思っています。
――では、最後に読者にメッセージをお願いします。
今回のシングルは、私の気持ちも曲も環境も、すべてが新しい1枚になりました。私は、音楽に助けられたことが多く、音楽は人の希望や支えになる存在だと思っているので、これからも新しい世界を切り拓いていきたいです。12月、2026年2月、4月とライブも決まっているので、いままで応援してくれていた方にはレベルアップした姿を見せたいです。「Reincarnation」で私を知った方は、来てよかったと思えるライブにしますので、遊びに来てもらえたらうれしいです。

Profile
かや/4月26日生まれ。山梨県出身。
高校2年生のときに『NHK「のど自慢」チャンピオン大会』に出場、同年テレビ朝日『音楽チャンプ~歌うま日本一決定戦~』で日本一に輝く。2022年1月にシングル「白馬の王子と薔薇色の私」でデビュー。『ウタヒメドリーム』では、HiREN役を務める。
Information
2026年2月14日に、東京・青山月見ル君想フにてライブを開催。公演やチケットの購入方法などの詳細は、公式Webサイト【https://kaya.bitfan.id/】をチェック。
「Reincarnation」
発売中
アース・スター エンターテイメント
初回限定盤2420円(税込)
通常盤1870円(税込)
表題曲はテレビアニメ『無職の英雄 ~別にスキルなんか要らなかったんだが~』のOP主題歌。疾走感のあるメロディに乗せて、花耶の伸びやかな歌声が響く1曲。カップリングには、フルボイス・ヴィジュアルノベルアプリ『戦国小町苦労譚 語絵巻-カタリエマキ-』主題歌「サザンカ」と「小夜中の輪舞曲」を収録。





