■日本語吹替版と「ゴニョゴニョ版(日本語字幕)」が登場

――今回の作品では登場人物たちが日本語を話していますね。そのおかげか前作よりも内容がわかりやすくなりました。
堀:前作で「ゴニョゴニョ語」を思いついたのは、声優を雇う余裕がなく、全部自分で声を当てないといけなかったための苦肉の策だったんです。普通に日本語でしゃべったほうがわかりやすくなるのは最初からわかっていました。セリフの量が前作と比べて倍近くになっているので、全部字幕で見るのはきついだろうなとも思いました。でも、ゴニョゴニョ版の受けがよかったので、今回は日本語吹替版とゴニョゴニョ版を作ることにしました。ゴニョゴニョ版は、普通のことを言っているのに変なことを言っているように聞こえて笑えます。
――日本語をしゃべっているとは言え、各キャラクターのしゃべり方に独特の味がありますね。
堀:やっぱりキャラクターが人形なので、表情がそんなに動かないですから、セリフで肉付けしていきたいという思いがありました。とくに子どもロボットの子ロビンは『JUNK HEAD』のときと比べて違和感ないようにしてみたりなど、いろいろ工夫しています。

――キャラクター設定もユニークですね。いただいた資料によると、トリスの顔の傷は、小さい頃にタンスの角にぶつけてできたとなっていました。なぜ、このような設定にしたのですか?
堀:キャラクターのモデリングしているときに、なんか顔が寂しくて、アクセントがほしくなったんです。僕はわりとビジュアルから入ってからそれにつながる設定や物語を考えることが多いので、この手の後付けはよくやります(笑)。
――大使やその補佐のキャラクターも個性的でしたね。人間が間抜けでマリガンのほうがしっかりしているなと思えたんですが、そのように見せようという意図だったんでしょうか。
堀:そうですね。あの世界において立場が逆転していく過渡期の物語なので、そういった点も表現しようと思いました。
――また、マリガンの中には新興宗教を盲信している者も登場します。
堀:現代でも宗教を名乗る団体もありますし、こういう者はなくならないんだろうと思うんです。マリガンが人間に変わって支配的になっても、彼らが人間に変わってそういうものを信じるんじゃないかなと考えました。
亀甲縛りをしている教祖は、ビジュアルから入ったのでこれも後付けですが、20人の頭脳が身体に収まっていてそれを鎮めるためという設定になっています。ある種の儀式的なものですね。20人の頭脳が暴走して大きくなるのは決まっていたから、服は最初から脱がせようと思っていたんですけど、脱いだだけではちょっと寂しかったので、縛ってみることにしました。隙間があると足したくなっちゃうんですよね(笑)。
