映画「ヒプマイ」インタラクティブ映画はドキドキだらけ! 辻本監督&中岡Pが公開後に語る本音トーク【インタビュー】 3ページ目 | 超!アニメディア

映画「ヒプマイ」インタラクティブ映画はドキドキだらけ! 辻本監督&中岡Pが公開後に語る本音トーク【インタビュー】

日本初の観客参加型インタラクティブ映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』。辻本貴則監督、中岡亮プロデューサーにインタビューを実施し、映画公開後の今だからこそ感じることについて話を聞いた。

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■サプライズを含んだ発表も『ヒプマイ』らしさ!?

――映画制作は4年ほどかかったとお話しされていますが、本作の発表自体は2024年秋と公開直近ですよね。長い間、秘密裏に制作を進められていた理由は何でしょうか?

中岡:作品のアプローチの仕方によって違う気はするんですけれども、最近は早めに発表するよりも発表後にペースアップして短期間で認知させて公開というパターンもあるので、そういった事情も含めてだったのかなという気はしなくもないです。

今回のルート分岐に関しては既存のシステムに乗っけて終わりではなく、並行して解決しなきゃいけない問題が映像制作以外にも多分にあったので、そういった部分を逆算しながら発表タイミングを検討されていた気はします。

辻本:分岐システムを構築するのが大変なので、それを推し量った結果、あのタイミングでの発表になったのかなと僕も今思っています。

ただ『ヒプマイ』というプロジェクト自体が何をやり出すか、何が飛び出てくるかわからないエンターテインメントなところがあるようなので……。僕も携わって初めて知ったのですが、突然発表があったと思ったら数ヵ月にはもう映画公開みたいな展開すら『ヒプマイ』らしさが出ているのかなと(笑)。

中岡:それはそうかもしれないですね。僕と辻本さんの想像の話として(笑)。

辻本:もうこの「次は何を企んでいるんだ」とドキドキ・ワクワクさせるところもひっくるめて『ヒプマイ』なんだと思えば楽しめる(笑)。

■映画はガチバトル! “ぶっ飛んだシーン”は入れる暇なし!?

――そんなエンタメ色が強い『ヒプマイ』。アニメでも毎話話題になるほど “ぶっ飛んだシーン”が強烈的でした。今回の映画ではそういった描写を入れることは意識されましたか?

辻本:僕としては今まで『ヒプマイ』に携わっていないからこそ皆が大事にしてきたコンテンツの邪魔をしたくなかったので、キングレコードの宮本プロデューサーとお話しした際に映画に対する想いを聞かせていただいたんです。どんな雰囲気を狙っているかとか、アニメシリーズもすでに放送されている中で、今作のテイストについてとか。

今回の主役は新曲でのラップバトルであって、その中で監督である僕がどこまで表現を広げてはっちゃけられるか、ぶっ飛ばせるかを見定めていた感じです。

あと、スタッフの中に『ヒプマイ』のファンが多くてすごく助かりました。ファンはどういうものが見たいのかを直接、生の声として聞けるので、「僕はこういうのがやりたいけどやりすぎかな」とか、その匙加減を細かくリサーチして、最終的に監督として判断していきました。プロデューサー目線だとまた違うかもしれないですね。

中岡:ご覧いただいてわかる通り、そんなに遊ぶポイントがなくて。楽曲はもう曲数とフル尺で出すことが決まっていますし。ラップバトルの前後にドラマをミニマムで付けたりちゃんと負け描写も入れたりして、描くべきものを優先していくと、計画している目安のプランを超えちゃうんですよね。

そういったところも含めて真剣勝負なので、遊べるとしたら本当に最初の紹介パートぐらいですね。ファンにとっては楽しいけど、ファン以外は見てもよくわからないのは嫌だよね、と丁寧に押さえるべきところを押さえていくと、結構それだけでいっぱいになってしまうんです。いろいろな優先順位の中で今の型に収まっていて、メインは“音楽”というストイックさがよかったのかなという思いはあります。

上映時間は約100分なのですが、観客側も結構エネルギーが吸い取られる作品でもあるから、最初は回数を重ねやすいようにカジュアルな80分ぐらいに収めたほうがいいよねとスタートしていました。でも、勝ち負けや因縁も含めてドラマを語りだすと100分ぐらいになっちゃったので、そこへさらに遊びも入れて110分にしましょうとは、そもそも選択肢として皆望んでいなかったと思います。

辻本:「この作品は楽曲をしっかり聞かせたい、リアルなライブ会場みたいにしたい」ということは、効果音はほぼ入れないってことだよねって共通認識として確認したことがあります。そうなってくると、効果音なしでできる演出を考えなくちゃいけなくて。スピーカーから龍や狼のイメージが出現して、相手をぶっ飛ばすような描写を入れても「効果音はついていないんだ」ってなると迫力不足で消化不良になってしまうと思うんです。

だから今回は、キャラクターとスピーカー、そして大きく表示されるリリックで完結できる内容のバトルを考えました。一番盛り上げなくてはいけない決勝戦の曲に関しては、それぞれディビジョンが背負っている“星”みたいなモノをぶつけ合うっていう、とんでもない描写をしてるので、「決勝戦だけは楽曲中でもSEをつけよう」と特例にしたりして。とにかく作品コンセプトを邪魔しない、いいバランスってなんだろう?とずっと探っていました。

■一気にディビジョンの世界に引き込まれる!Second Stage

――バトル演出もありつつ、Second StageではMVのような映像がディビジョンの特性に沿った内容に仕上がっていました。これらのイメージは曲からインスピレーションを受けて作られていったのでしょうか?

中岡:2回戦は実際にMV作品の演出などを手掛けていらっしゃるイノウエアヤナさん、イノウエマナさんのおふたりを中心に作っています。『ヒプマイ』に対して、キャラクターも含めかなり知見が深い方だったんですよね。実写のMVってストーリーがないものも多くて、アニメみたいに細かくコンテを切ったりしないし、抽象的な表現も多かったりするじゃないですか。

そこでデザインワークとか音楽の映像を作られているような方とご一緒していく中で「どういう風に取り組んでいくのですか?」と聞いたら、「楽曲をもらってからコンセプトを握っていくんです」との回答で。だからデモ音源をいただいたものをお渡しして、曲からのインスピレーションとキャラクターのバックグラウンドを合わせて、「ああいうロケーションでこういうことをこの曲ではやらせたい」って企画をスタート地点として始めたかたちになります。

世界観とかキャラクターの成り立ちに知見がある『ヒプマイ』ファンの方たちが曲からインスピレーションを受けて、そこで混ざっていく。例えばナゴヤ・ディビジョンであればこういうバックグラウンドを持つ3人だから、こういうアプローチで作っていけばいいだろうかと考えて……と。

僕らが一番気にしていたのは、ディビジョンによって表現格差がありすぎないかですね。それはとてもよくないので気にしようと終始言っていました。結果、曲自体も全部ベクトルが違うので、6ディビジョンのバリエーションの中でいい形に収まっている気がします。

――どれもディビジョンを最大限に表現する最適な楽曲と映像に仕上がっていて、喜びと同時に驚きました。

辻本:曲調が違う時点で難しいですよね。でも演出を担当してくれたおふたり……イノウエアヤナさんとイノウエマナさんは、僕なんかよりすごく『ヒプマイ』に慣れ親しんでいる方々なので、各ディビジョンに対してビジュアル的に映えるコンセプトをしっかり作り込んでくれました。

僕に言わせれば、本当に『ヒプマイ』の深いところまで理解していないと、あそこまでは正直、怖くて踏み込めないですよ。なので各ディビジョンに合った世界観をしっかりと打ち出して、しかも外していない感じのお仕事ぶりがとても頼もしかったです。僕もたまに監督ではなく助っ人演出家みたいな立場での仕事があるので……、今回は演出のおふたりができる限り気持ちよく、最初に想定した通りにやれたらいいなと、変な口出しはせず温かく見守っておりました。演出家のイメージが色濃く出ていて、すごく上質なものをいただけたなと感謝しております。

中岡:派手さよりも、ちゃんとディビジョンの特性やキャラクターの過去に寄り添った表現にしてくれているところが、SNSで皆さんのリアクションを見ていても、良いものとしてお届けできているのかなと。

ストーリーを描くのとは違うので、何かを示唆するような表現って抽象的なものが多かったりもしますが、そこから考察を一生懸命してくださっている方もいたりして……。そういう流れも含めて、『ヒプマイ』ってこういうコンテンツなんだねって気持ちを、映画が世の中に届いた今、感じています。

――貴重なお話をありがとうございました。



映画「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」大ヒット公開中!

●CAST
Buster Bros!!!
山田 一郎:木村 昴
山田 二郎:石谷春貴
山田 三郎:天崎滉平(崎はたつさき)

MAD TRIGGER CREW
碧棺 左馬刻:浅沼晋太郎
入間 銃兎:駒田 航
毒島 メイソン 理鶯:神尾晋一郎

Fling Posse
飴村 乱数:白井悠介
夢野 幻太郎:斉藤壮馬
有栖川 帝統:野津山幸宏

麻天狼
神宮寺 寂雷:速水 奨
伊弉冉 一二三:木島隆一
観音坂 独歩:伊東健人

どついたれ本舗
白膠木 簓:岩崎諒太
躑躅森 盧笙:河西健吾
天谷奴 零:黒田崇矢

Bad Ass Temple
波羅夷 空却:葉山翔太
四十物 十四:榊原優希
天国 獄:竹内栄治

言の葉党
東方天 乙統女:小林ゆう
勘解由小路 無花果:たかはし智秋
碧棺 合歓:山本希望

●STAFF
原作・音楽プロデュース:EVIL LINE RECORDS
キャラクター設定原案・世界観設定:EVIL LINE RECORDS・百瀬祐一郎
監督:辻本貴則 (※「辻」はいってんしんにょう)
脚本:百瀬祐一郎
キャラクターデザイン:Kazui
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
配給:TOHO NEXT
製作:ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Movie 製作委員会

(C)ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Movie


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