2024年1月8日より放送がスタートするTVアニメ『望まぬ不死の冒険者』(dアニメストア、Netflixは1月5日より、地上波先行・国内最速配信)。
神銀(ミスリル)冒険者になると決意して早十年、銅級下位のまま毎月のように迷宮に潜り努力をし続けてきたレントが、未踏破区域で遭遇した《龍》に喰われ、最弱の魔物・スケルトンとして生まれ変わってしまう。そんな状況でも、神銀(ミスリル)になるべく努力し、《存在進化》を果たし、上位の魔物になっていくレントの姿を描いたダークファンタジー『望まぬ不死の冒険者』。
レント・ファイナ役の鈴木崚汰さん、ロレーヌ・ヴィヴィエ役の小松未可子さん、シェイラ・イバルス役の長谷川育美さんに、作品とキャラクターの魅力について語ってもらった。
■“亡き者”からスタート!? 《存在進化》がおもしろい
――物語を読んで、どんなところを魅力に感じましたか?
鈴木まず、いきなり《龍》に喰われてしまうというインパクトですよね。そこから魔物に生まれ変わるんですけど、なぜ《龍》に喰われたのかという謎もありつつ、僕が演じているレントは、「神銀(ミスリル)級冒険者になる」という目標のために突き進むんです。王道は王道なんだけど、そういう一風変わった要素が含まれるところが面白いなと思いました。

――アンデッド(不死者)になっても夢は捨てないんですよね。
鈴木そうなんですよ。そこから《存在進化》を経て、魔物として進化していく過程も面白いんです。
長谷川私はオーディションのときに初めて原作を読ませていただいたんですけど、最初は「うわぁ、レントの人、大変そう(笑)」って思いました。
(一同笑)
小松確かにね。演じる側の気持ちになってたんだ(笑)。
長谷川不死になって、最初から強いという話もいっぱいあるなか、堅実に着実に進んでいく感じが、人間だった頃のレントの誠実さと人間性をすごく表しているんですよね。それが作品全体として「無理に飾っていない感じ」を出していて、すごくいいなと思いました。
鈴木確かにオーディション原稿から大変でした(笑)。
――小松さんはいかがですか?
小松まずはレントというキャラクターの振り幅として、マイナスからスタートしていく。そこからゼロに近づいていくまでが個人的に面白いなと思っていました。人間から進化していくんじゃなくて、亡き者からスタートですから(笑)。
――ある意味、骨状態からでしたからね。
小松そうなんです。その解釈がすごく面白いなって。あと、レント自身がまっすぐでピュアで堅実で真面目。彼の人間性ができているからこそ、物語に悪い人があまり出てこないんですよ。登場キャラが誰も裏切ることがないという安心感の中で、未知のものに触れていくスリルがあるんです。
あと、意外に過去が明らかになりすぎないところがミステリアスさを生んでいて、「でも、何かがあるんだよね」っていう感じが面白いなと思いました。

――周りの人からの話を聞く中で、レントってこんな人だったのかなって推測できるのが面白いですよね。
長谷川第三者が語るからこそ、本当にレントって良い人だったんだなって思うんです。
鈴木自分で言ってたら、あれだもんね(笑)。
――オーディションの話も出ましたが、実際、オーディションは大変だったのですか?
鈴木スタジオオーディションはなく、テープだったんですけど、それはそれでどうやってインパクトを残すのか、という難しさがあったんです。レントって人間の頃は、本当に普通の人間で、秀でた才能もなく、何年も研鑽を積み重ねてきた堅実さがあるんですよね。だからナレーションのセリフなどは、その真面目なレントを出していきました。
魔物になってからは、《存在進化》の過程で言うセリフも、それぞれの形態に一言くらいずつあったので、それをいかにやり抜くか。グールとして、どれだけグールに近い声を出すかを、ひとつずつやっていく感じでした。
――グールでの「こんにちはー」もあったのですか?
鈴木ありましたね(笑)。でもオーディション時は、現場で作ったグールの声の前段階みたいな感じで、ブラッシュアップできていなかったので、現場に入ってからより考えていきました。
――それは、スタッフの意見なども聞きつつ、作っていったんですか?
鈴木言いよどむ感じとか、うまく日本語を紡げないのかなどのディレクションはあったんですけど、声質自体のディレクションはなかったですし、加工もそんなに極端にはしなかったみたいですね。
――音響監督から、グールのまま鼻歌を歌って、というディレクションもあったそうですね。
鈴木ありましたね。それは現場でやりました。
――第3話あたりだったと思うのですが、ちょっと周りから不審がられていましたね(笑)。
鈴木にこやかにこっちは伝えているつもりでも、それが気持ち悪いとか、怖いと捉えられちゃうところは、このアニメの面白さでもあるので、そういう表現ができたらいいなと思いながら演じていました。
――小松さんと長谷川さんは、現場で見ていていかがでしたか?
小松単純にグラデーションがすごいな!って思いました。人間時の声から真逆に行く、喉をいじめていくスタイル(笑)。ナレーションではめちゃめちゃ普通にしゃべっているんですよ。
魔物になって、発声練習をしてやっと声が出せるようになったという細かいグラデーションを、本当に緻密にやっているなと思って、感動していました。ひたすら「すごいね!」って言っていた気がします。
長谷川しかもモノローグからグールになるのとかも、結構そのまま流れで録っていたんです。
鈴木そこは頑張りました!
小松切り替えがさらっとできていたよね。
長谷川一度間を空けましょう、とかではなく続けてやっていくから、すごくて。
小松私なら一回咳払いするなぁ(笑)。
長谷川しますよね(笑)。でも、ずっとしゃべっているから、それもせずに。

――物語を通じて、レントの良さや魅力って、どのあたりに感じましたか?
小松誠実でピュアなんだけど、ちゃんと鈍感なところが好きです。
鈴木ロレーヌ的には、そういう面が強いですよね。レントって、レベルが高くない銅級下位の冒険者で、周りの人間がどんどんレベルが上がっていくなか、レントは自分の身の丈に合った仕事をするんです。たぶん人があまりやらないような仕事も、たくさんやってきているんですよね。だからギルドからの信頼も厚く、新人の冒険者たちの面倒も見てもらいたいと思われている。そこで得た経験値とか知識が、年輪のように積み重なっているキャラなんですよね。
――新人を教育して、その人たちに実力で抜かれていく経験もたくさんしているだろうから、きっと悔しい思いもしているんですよね。だから、良い人でもあるんでしょうね。
鈴木すごく良い人であるのは確かなんです。