本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューをお届けする。
ツンデレだけではない魅力を表現したい
――『夢見る男子は現実主義者』という作品の印象を教えてください。
オーディションの前に原作を読んだときは、現実主義者である主人公の渉に一番共感できました。とはいえ、私が男性キャラクターである渉を受けることはないので、その後、改めて愛華ちゃんの目線で原作を読み進めていきました。愛華ちゃんは考えていることと行動が裏腹になるし、渉が愛華ちゃんを思いやって距離を取ろうとしていることに気づいていない。愛華ちゃんの目線で見ると、そのすれ違いがもどかしい作品なんだなと感じるようになりました。
――演じている愛華に共感できるところはあまりないですか？
そうですね。愛華ちゃんって、考えに考えてそれを表に出さずに心にしまい込んじゃうタイプなんですよね。でも、私は思ったことはそのまま行動に移してしまうので、最初のころは自分と遠い存在だと思っていました。でも、物語が進むにつれて、愛華ちゃんでも考え込みすぎた結果、大胆な行動を取っちゃうこともあるので、そういうところは似ているのかもと思えるようになりました。
――愛華は、渉を気にしているのについ冷たくしてしまう、いわゆるツンデレタイプの女の子ですよね。
まさに、オーディションの資料にも「ツンデレ」というワードがありましたし、その通りだと思います。でも、資料や原作を読むうちにだんだんツンデレじゃない面が見えてくるんです。私の中で「ツンデレ」というと、好きであるがゆえにキツくあたったり、好きなのに相手を避けちゃったりする子のイメージなんですが、愛華ちゃんは自分の気持ちがわからなくなってヒートアップした結果、大胆に避けたり逆に近づいたりする。ツンデレなんだけど、ツンデレだけでは表しきれない魅力を持った女の子で、そこがすごくかわいいんです。聡明で運動神経もよくて、友達にいてほしいし、さりげなく愛でたい。私にとってはあこがれの女の子です。
――オーディションの段階では、どんなことを意識してお芝居をしましたか？
オーディションはテープだけで、全部で1分半くらいのセリフ量だったんです。でも、それを収録するのに3時間くらいかかりました。ちょうど、第1話で登校中に渉から言い寄られるセリフがあったのですが、強く言い過ぎると渉のことが嫌いに聞こえるし、柔らかくすると好きだというニュアンスになってしまう。その中間あたりをつかむのがすごく大変で、オーディションのときは最終的にこれで最後にしようと決めての一発録りみたいになったことを覚えています。
――アフレコが進んで、愛華の印象に変化はありましたか？
第1話のころは、渉が女の子とイチャイチャしているのを見て露骨に怒っていましたが、第8、9話くらいまでくると渉とほかの女の子が一緒にいることにも慣れていった感じがしています。現実主義者になった渉に戸惑いはあるけれど、第1話のころよりはそれを受け入れている。でも、渉の周りにかわいい女の子が無自覚に寄ってくるので、モヤモヤした葛藤が生まれていて、すごくわかるなぁと思っています。
――愛華の一番素敵だなと感じるところはどこですか？
自分を大切にしてくれる人を、ちゃんと大切にできるところです。家族はもちろん、渉も親友の芦田圭ちゃんも大事に思っている。しかも、わりと平等にみんなを大切にしているんですよね。自分のことだけに手一杯になることも、誰かひとりだけを極端に大事にすることもない。そこがすごく芯が通っているなと感じていますし、とくに素敵だと思っています。
――そんな愛華を演じるにあたって、大切にしたことは？
基本的に愛華ちゃんって心にフタをしがちな子ではあるので、渉に対してツンな部分は出すけれど、それ以外では独り言のように話そうと意識していました。その一方で、第3話のように渉に対して「家族に乱暴なことを言ったらダメだ」とか、そういう気持ちはストレートに伝えられるので、何をハッキリと表に出して何を自分の中にしまっているのかはいつも意識してお芝居をしていました。
――渉とのやりとりで意識していることはありますか？
『夢見る男子は現実主義者』の台本は、すごくていねいに心情が描かれていて、途中で「愛華ちゃんはどうしてこう思ったんだろう？」という疑問も、ストーリーを追っていくうちに理解できるようになるんです。なので自然と愛華ちゃんと渉の距離感も変わっていきましたし、渉役の宮瀬尚也くんが考えてきてくれたお芝居で、渉と愛華ちゃんの距離が縮まったり広がったりするところがうまく表現できたと思います。
――スタッフからのディレクションで印象的だったことは？
屋上で渉に「そんなこと言っちゃダメ」と言った第3話のシーンは、「もっと気持ちを出して演じていいですよ」というディレクションをいただきました。愛華としてそこまで気持ちを前に出したのが初めてだったこともあり、そのシーンを演じ終えてようやくどこまで感情を出していいのかがつかめた感覚がありました。
――愛華を演じるうえで、難しかったことはありましたか？
物語が進むにつれて、愛華ちゃんに対してわからない気持ちがどんどん増えていっちゃったんです。どうしてそこでもっと渉に対して押していかないのかなとか思っちゃうんですね。その戸惑いが演じるごとに増えていったので、最初のころは難しさもありました。でも、話が進むにつれて愛華ちゃんが何を考えてこういう行動に出たのかも理解できるようになっていったので、難しさも少しずつ減っていきました。
――愛華を振り回す形になっている渉に対してひと言言うとしたら、なんと言いたいですか？
責任を取ってほしいです（笑）。あんなに好きって言っていたのに、突然それをやめてしまうなんて、私が愛華ちゃんだったら許せないと思うんですよ。私は原作を読んでいるので渉がどうしてそんな行動を取ったのかは理解していますが、それがわかっていなければ、なんて罪作りな男の子なんだろうって思っちゃいます。それから、渉ってほかの女の子にも飾らずに思ったことをすっぱり言うんですよね。それがその子にとって助けになることも多いし、変に寄り添わないから心地いいって感じる子も出てくる。しかも、それを全部無意識でやっているので、ずるいなぁ、罪作りだなぁって思います。
――とくに気になったキャラクターはいますか？
私、笹木風花ちゃんがすごく好きなんです。もともと大人っぽい女の子が好きなんですが、風花ちゃんは大人っぽいのに実は中学生というところと、中学生らしいはしゃぎ方をする、その外見とのギャップがすごく素敵で。渉に対して、先輩だってはしゃいじゃうところも全部含めて、渉と代わりたくなるくらいに好きです（笑）。
――とくにお気に入りのエピソードを教えてください。
第7話の水着回は、アニメオリジナルですが、すごく好きでした。アフレコが始まるまで物語を知ることができなかったので、私の知らない渉と愛華ちゃんたちに会えるんだってワクワクしたんです。あと、シンプルに水着回はいいですね（笑）。
――物語のクライマックスとしての見どころを教えてください。
この先は愛華ちゃんが、どうして自分の気持ちを閉じ込める性格になったのか、渉が愛華ちゃんにとってどういう存在なのかが描かれていきますので、ぜひ注目してください。愛華ちゃんも、ただ黙って見ているわけにはいかなくなるようなこともあるのかも……？ 現実主義者になってしまった渉に、どう勇気を振り絞っていくのか、見守ってもらえたらうれしいです。
MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.泣きぼくろ
自分で答えるのは未だにちょっと恥ずかしいですが、よく皆さんからチャームポイントだねと褒めていただいています。
Q.自分のニックネーム
A.あきちゃん、すずもん
子どものころから「あきほ」か「涼本さん」が多かったですね。それから「あきちゃん」と呼ばれるようになって。一時期はユニークなニックネームを欲しいなと思っていましたが、いまは「あきちゃん」が定着してきたので、それでいいかなって思っています。
Q.自分の声の特徴
A.油揚げのような声（笑）
柔らかいというのは自覚していて、自分としては声の幅もあると思うので、噛めば噛むほど味が出るような、油揚げかなと。
Q.自分の性格
A.“涼本あきほ”です！
なかなか自分をひと言では言い表せないのと、なぜか学生時代のクラスメイトやマネージャーさんからも「これまで会ったことがないタイプ」と言われてきたので、じゃあ「涼本あきほ」な性格なんだろうと思うようになりました。自分としては、ミーハーで流行のものを追いかけて「全米が泣いた」で泣けるくらいの一般的な感性を持っていると思うんですが……（笑）。
Q.いま、ハマっていることは？
A.有酸素運動と『スプラトゥーン』
最近、健康こそ一番の資本だと気づいて、ジムに行ってランニングやバイクに乗ったりしています。だいたい40分くらいかけて運動をします。でも、それから家に帰って６時間くらいゲームをプレイしちゃうんです（笑）。
Q.思わず夢見ちゃうことは？
A.「目が覚めたら○○になっていた！」みたいな妄想はよくします（笑）。
しょっちゅう考えます（笑）。例えば、私、おみこしに乗りたくて、朝起きて目が覚めたらおみこしの上に乗る人になっていた！ とか。あと人類すべてからモテモテになって、家を出た瞬間「涼本さんだ～！」って注目されたり、「道開けて～」って言っちゃったりとか。その延長でおみこしに乗って担がれるのもいいですね。
Q.自分は現実主義者だと思う？
A.人間関係に関しては現実主義者です
もともと人の心は自分じゃ動かせない、他人は変えられないと思っているんですね。人に対してああしてくれたらよかったのにとか、こうしたらいいのにって思うことがないんです。怒ることもあまりないし、人と自分が大切にしているものは違うって考えちゃうタイプなんですね。あ、でも、家族、とくに２人の妹に対してはテレビの番組争いとかでよく怒っていました（笑）。
Q.本作のキャッチフレーズ
A.女神が微笑むのは心に決めたあなたにだけ
愛華ちゃんが第1話で渉から「夏川は女神だから」と言われているシーンが印象的なので、それを盛込みつつ、この先何が起こるのか想像させるようなフレーズにしてみました！
■Profile
すずもと・あきほ／10月16日生まれ。東京都出身。ヴィムス所属。主な出演作は『アイドルマスター シャイニーカラーズ』有栖川夏葉役、『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』カルラ役など。
■作品Information
同じクラスの夏川愛華に恋い焦がれ、恋人になりたいとアプローチを続けていた佐城渉【さじょうわたる】。ところが突然自分と愛華は釣り合わないと自覚し、彼女といい友達になろうとする。一方の愛華は、渉に嫌われたのではないかと悶々とするが……。
すずもと・あきほ／10月16日生まれ。東京都出身。ヴィムス所属。主な出演作は『アイドルマスター シャイニーカラーズ』有栖川夏葉役、『老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます』カルラ役など。
■作品Information
同じクラスの夏川愛華に恋い焦がれ、恋人になりたいとアプローチを続けていた佐城渉【さじょうわたる】。ところが突然自分と愛華は釣り合わないと自覚し、彼女といい友達になろうとする。一方の愛華は、渉に嫌われたのではないかと悶々とするが……。
（C）おけまる・ホビージャパン／『夢見る男子は現実主義者』製作委員会
