■ヒロインは怪しげな干物女?

――ロレーヌ・ヴィヴィエは、学者兼冒険者で、魔物と魔術の研究をする天才です。レントとは10年来の付き合いとなりますが、どんなことを意識して演じていましたか?
小松ロレーヌを演じるにあたって一番悩んだのは年齢感だったんです。怪しげでミステリアスなニュアンスというのを出しつつ、どこまでそこに重たさを持たせるかで立ち位置が変わってきてしまう気がしたので、彼女の精神年齢はどのくらいだろうと思いながら、オーディションテープを録りました。
実際現場に行ってみると、トーンで言えば低めでいいということで、より落ち着かせた感じになったんですけど、そこはレントとの掛け合いのなかで、ようやくわかってきたところではありました。若い頃の回想シーンもあったので、彼女がどういう経験を積んでこうなっていったのかという過程を考えると、精神年齢は高めだと思ったんですよね。
ただ、自分の研究面などでの才能はものすごいけど、プライベートでは干物女っていう(笑)。そこのギャップをより出すために、できる女感はあえて重視していました。家事も何ならこなせそうな感じを出したほうが、できないときのギャップが出るなと思って。
――ロレーヌは《存在進化》の研究をしていたところ、一番身近な存在であるレントが、まさにその状態になっている、というのも面白いですよね。
小松めちゃくちゃ楽しいでしょうね(笑)。
――激レアな研究材料が来たわけですからね。ロレーヌは、どんなところが魅力だと感じましたか?
長谷川いろいろな面が見られるんです。ずぼらで何もできない面だったり、ミステリアス感だったり。あとはレントに対するときだけの感情とか。ガラッと変わるわけではないけど、微妙な差を出さなければいけないというところで、ものすごく演じるのも大変だと思ったんですけど、小松さんが本当に素晴らしくて……。
小松いやいやいや。
鈴木ちゃんと乙女なんですよね。
長谷川かわいかったぁ。
――先程話に出ましたけど、過去回想のシーンもあるみたいですね。
小松あそこはちゃんとかわいくしました(笑)。何があって、ああなった?っていう感じを出すためにも、そこはピュアさを大事に演じましたね。

鈴木あとレントって、状況とかを説明するセリフは多いんですけど、レントがない知識をロレーヌは持っているから、そこを説明なりでカバーしてくれて助かるんです。そうやってレントにまくしたてるセリフを、べーーーって読んでいく小松さんのパワー!
――ちなみに「べーーー」って、どういう感じですか?
鈴木こともなさげに言ってしまうロレーヌ感、みたいなのがめちゃくちゃ出ていたんですよ。
長谷川言い慣れない言葉もいっぱいあるのに。
小松確かに言い慣れなかった。しかもロレーヌはちょっとオタク気質だからテンションが上がっちゃうんですよね。
――それを、わかりやすく言ってくれるのがロレーヌですよね。でもロレーヌとレントの関係性っていうのは、物語を楽しむためにも重要になりそうですね。
小松それはそうですね! 危うげだけど、めちゃくちゃピュアなんで。
鈴木間違いないです!
――続いて、長谷川さんが演じるシェイラ・イバルスですね。冒険者組合(ギルド)職員で、最初に担当した冒険者がレントということになっています。
長谷川この子は、最初の印象こそふわっとしたお姉さんですけど、自分の気持ちに真っ直ぐで、思い切りがいいところがあったり、情に厚いところがあるのが素敵なんです。
――演じるときは、どんなことを考えていましたか?
長谷川そんなに意識せずとも自然にできたキャラクターではあったんですけど、キャラクターの立ち位置としてはギルドの職員なので、冒険者の出発点であり帰ってくる場所でもあるんです。だからホッとできるような存在感を出せたらいいなと思っていたので、そういう柔らかさは出すようにしていました。

――生きて帰れて良かった!って思える感じはありましたね。
鈴木そうそう。すごく新人冒険者のことを覚えてくれるし、心配もしてくれるんですよ。お母さんというとちょっと違うのかもしれないけど、なんか不思議な立ち位置だから、ギルドって面白いなって思いました。
――きっと、死んじゃった冒険者も数多く見てきたでしょうしね。
長谷川仕事だと思って年数を重ねていっていたら、もう仕事としての対面の仕方になっていきそうだけど、シェイラはちゃんと一人ひとりを見ている感じがするからいいんですよね!
――レントのこともすごく信頼しているし。
長谷川だからずっと心配しているんですよ。レントが帰ってこないって(笑)。
――そんなシェイラの魅力は、いかがでしたか?
小松長谷川さんが演じていることで、より清楚感が増していますよね。それこそ母性。でもさっき崚汰くんも言っていたけど、お母さん過ぎないニュアンスが絶妙で。レントを心配していることに関して、恋愛感情にも取れるニュアンスになりそうなんだけど、そうなり過ぎないんです。シェイラさんは、どこの軸にいる人なんだろうな?っていう、ちょっと謎が残っている部分がいいんですよね。やっぱり謎が残っているほうが、深掘りしたくなるので、見え方が本当に絶妙な加減だと思いました。
鈴木ギルドって中立でなければいけないと思うんですけど、シェイラってネジを外せるというか、深いところまで踏み込む度量があるんですよね。柔らかさも内包しつつも、真っ直ぐ芯が強いというのは、育美さんの声からも感じられるなって思いました。
長谷川うれしい……。
――個人的には、リナ含めて、もうみんなレント好きになっていくんじゃないの?みたいに思っていますけど。
小松そうなのかもしれないな?って想像できちゃう感じもまたいいんですよ!
鈴木楽しみ方は人それぞれですしね(笑)。
――レントはスケルトンからグールになっていったので、早く《存在進化》してくれないかな~って思っています。
鈴木あははは(笑)。仮面がなかなか取れなくてすみません。まだ、腐ったままなんですよね。
――グールって臭いは大丈夫なのかな?とか想像しちゃいました(笑)。
小松確かに! どうなんだろう! ヤバそうだよね。
長谷川みんな気を使って言いはしないけど……(笑)。
鈴木それは、めちゃめちゃ悲しいなー!(笑)。
――なので、はやく《存在進化》してほしいのですが、そうやって進化していく過程も楽しんでほしいし、レントも徐々に自然にしゃべれるようになっていくんですよね?
鈴木そうですね。グールのときは、ものすごく忙しかったんですよ。右手で喉仏を押さえながらしゃべっていたので。喉仏が動いちゃうと、呂律の回らなさ、しゃべりづらさが出ないと思ったので、喉仏を下に固定して(低音)、あの感じを出していたんです。結構首が締まるから苦しいんですけど、進化してしゃべりやすくなってきたら、音はそのままに右手を外したんです。だから手で首を押さえているときは、台本のめくりがすごく大変でした。

――アフレコは、もう分散ではなかったのですか?
小松10人以上では録っていました。
――すごくにぎやかな感じでもなく?
鈴木わりと落ち着いた現場ではありました。ゲストの方を含めて、みんなで仲良くやっていた印象があります。
長谷川結構ゲストが各話数ごとに出てくる人が違っていたから、そこで空気も結構変わっていたとは思います。
鈴木その中でも覚えているのは、僕、2週連続で金縛りにあった回があって、そこからオカルトっぽい話をしたんです。
小松最初のほうだよね。あのあとは金縛りはないの?
鈴木まったく。
――金縛りはどんな感じでした?
鈴木動けなくなってからは耳鳴りみたいなのが聞こえて、それが人の声に聞こえなくもないみたいな感じでした。
小松金縛りの経験の話になって、私も過去になったことがあって、耳鳴りから始まって、私の場合はモーター音が爆音で鳴っている感じだったんです。
長谷川全然違うんだ……。
小松でも怖いは怖いんで、精神力で起きる!っていう、解除の話もしていたんです。
鈴木僕は体ごと起きるって話して。無理やり金縛りを解くんですよね。
――起きても何もいない!って思いながら、目を開けて、ばぁ!って起きるんですよね。でも、きっと疲れていると思うので、しっかり休んでください(笑)。では最後に、TVアニメ『望まぬ不死の冒険者』のどんなところを楽しみにしてほしいですか?
長谷川《龍》に喰われて骨になるという、掴みから面白さが出ていたんですけど、主人公の見た目がどんどん変わっていくっていうのも斬新だなと思いました。シェイラとしては、情に厚かったりする部分は、わりと先の話数で出てくるんです。レントの正体に迫るところとかに、彼女の人間性がすごく濃く出ていると思っているので、注目していただきたいと思います。
小松ロレーヌ視点で言えば、昔から縁のある2人ということで、2人の関係に注目して見てもらいたいです。基本的にレントを取り巻く人々に話が広がっていきつつ、最終的にはレントの人間性……と言いつつ、もう人間ではないんですけど(笑)。レントのアンデッド性の話になっていくので、そこに注目してほしいです。本当に進化の過程がすごく面白いので、最終的にどうなっていくのかも楽しみにしていてください。
鈴木アニメスタッフの皆さんがものすごく頑張ってくれていると、アニメを見て思いました。風景の美しさと魔物の動きの細かさがものすごくて、感動したんです。
小松ダンジョンの描写とかモンスターとか、めちゃくちゃ良かった!
鈴木それに《存在進化》するときの肉の構築のされ方とか、すごく絵で表現してくれているのでありがたいなと思いました。レント的には《存在進化》の過程でどうなっていくのかはもちろんですし、序盤にちょこっと、進化の行先がヴァンパイアみたいなことを言っていると思うんですけど、細かく散りばめられている伏線にも注目して見ていただけると、より面白くなると思います。
TVアニメ「望まぬ不死の冒険者」公式サイトTVアニメ『望まぬ不死の冒険者』
2024年1月8日(月)放送開始!
■スタッフ
原作:丘野 優(オーバーラップノベルス刊)
キャラクター原案:じゃいあん
原作コミック:中曽根ハイジ(「コミックガルド」連載)
監督:秋田谷典昭
副監督:福島利規
シリーズ構成:菅原雪絵
キャラクターデザイン/総作画監督:佐野隆雄
サブキャラクターデザイン:原 友樹
キーアニメーター:渡部高志、古川英樹
プロップデザイン/世界観デザイン:バーンストーム・デザインラボ
色彩設計:但野ゆき子
美術監督:李 凡善
撮影監督:山本裕規
3D監督:濱村敏郎
編集:仙土真希
音楽:成田 旬
音響監督:亀山俊樹
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:CONNECT
オープニングテーマ:JUVENILE「IMMORTAL」
エンディングテーマ:阿部真央「Keep Your Fire Burning」
■キャスト
レント・ファイナ:鈴木崚汰
ロレーヌ・ヴィヴィエ:小松未可子
シェイラ・イバルス:長谷川育美
リナ・ルパージュ: 鈴代紗弓
(C)丘野優・オーバーラップ/望まぬ不死製作委員会