「自分の隣に露伴がいたら、どんな世界になるのか?」プロデューサー・土橋圭介に聞く『岸辺露伴は動かない』実写ドラマ化のきっかけ | 超!アニメディア

「自分の隣に露伴がいたら、どんな世界になるのか?」プロデューサー・土橋圭介に聞く『岸辺露伴は動かない』実写ドラマ化のきっかけ

荒木飛呂彦原作の人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフとなる作品『岸辺露伴は動かない』が、今冬3夜連続ドラマで放送。超!アニメディアでは、プロデューサーの土橋圭介にインタビューを敢行。この“奇妙な”実写ドラマについて語ってもらった。

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『岸辺露伴は動かない』キービジュアル
  • 『岸辺露伴は動かない』キービジュアル
  • 『岸辺露伴は動かない』 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社(C)NHK・PICS
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 シリーズ累計発行部数1億部超えの荒木飛呂彦原作の人気マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』(集英社刊)。その大ヒットシリーズのスピンオフとなる作品『岸辺露伴は動かない』が、今冬3夜連続ドラマで放送される。今回、プロデューサーの土橋圭介にインタビューを敢行。この“奇妙な”実写ドラマについて語ってもらった。

――『岸辺露伴は動かない』を実写化しようと思ったきっかけを教えてください。
 演出の渡辺一貴が『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの愛読者で、私がNHKでアニメーション番組に長く携わってきたことから、マンガ原作の映像化に強いのではないかと勘違いして『ジョジョ』をドラマ化したいと相談してきたことがきっかけです。当然ですが、全く関係ないんですけどね(笑)。渡辺は大河ドラマや連続テレビ小説など、NHKらしいドラマに長く携わっていた人間だったので、まさか彼の口から『ジョジョ』が出てくるとは思わず、びっくりしました。私も読んでいたので、一般教養程度の知識はありましたが、渡辺は筋金入りで、知識が半端なかったです。ただ、とてもNHKでVFXバリバリでスタンドを表現する予算は組めないなと思ったのですが、詳しく話を聞いたら、やりたいのは『岸辺露伴は動かない』でした。露伴が主人公のシリーズは、マンガも小説もスタンドの派手なバトルというよりは、どちらかというと、江戸川乱歩や横溝正史に通じるミステリーやホラーのような雰囲気が詰まっていて、心理戦や知恵くらべみたいな要素が強い。それならテレビ向きだし勝算があるかもと思って、すぐ集英社さんに連絡を取りました。

――実写化するにあたり心がけた点は?
 シリーズを重ねているTVアニメは、原作ファンからも高い支持を受けている人気作だと思いますが、荒木先生マンガは、とにかく独創性も完成度も高いです。アニメのように原作を忠実に映像化しようとしても、実写の場合は苦労が多いだけで満足のいくものにするのは難しいと考えておりました。渡辺との間では企画の話を始めた当初から、マンガの世界を実写に置き換えるのではなく、今いる我々の現実世界に露伴が実在したらどうだろう? 自分の隣に露伴がいたら、どんな世界になるのか? という発想で考えてきました。

――『ジョジョ』関連のアニメなどはご覧になりましたか? また、参考にされた部分はありますでしょうか?
 アニメーションは仕事だったので、『ジョジョ』のアニメはもちろん観ています。T Vシリーズも、OVAの『岸辺露伴は動かない』も観ていました。また、三池崇監督の『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』は仕事とは関係ないですが、映画を観るのも好きなのでチェックしましたね。ただ、今回ドラマを制作するにあたって観直したり、参考にしたりというのはないですね。渡辺にも「観た?」とか、あえて尋ねていないです(苦笑)。

――数ある話の中で「富豪村」「くしゃがら」「D.N.A」をお選びになった理由は?
 3本の特集ドラマというのが決まったところで、脚本の小林靖子さんに入っていただき、具体的に3話をどう構成するか議論を始めました。原作上は、それぞれ独立した話ですが、ドラマ化するにあたり、そこに1本の筋を通そうということで、色々アイディアを出しながら今の3本に落ち着きました。「富豪村」だけは全員一致で最初から決まってましたね。

――岸辺露伴を演じられた高橋一生さん現場での印象を教えてください。
『スパイの妻』や『ムーミン谷のなかまたち』(声の出演)などでもご一緒しているのですが、それぞれまったく傾向の違う作品で、役柄も当然違うのですが、構えることなく現場に入って、自然に演じてしまうので毎回感心してしまいます。

『岸辺露伴は動かない』 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社(C)NHK・PICS

――撮影現場の雰囲気を教えてください。
 コロナ禍の中で準備を始めたので、スタッフの初顔合わせはオンラインでした。しばらくはオンラインで会議して、各パートがそれぞれ準備してくというあまり経験したことのない状況が続いて。緊急事態宣言解除後、クランクインまで短い期間で準備しないといけなかったのですが、オンラインでもコミュニケーションを重ねたことが良かったのか、チームワークはとても良かったですね。演出部の仙田晋之さんが愛されキャラのムードメーカーだったので、現場の雰囲気は和気あいあいとしていましたよ。ただ、コロナも心配でしたが、真夏の炎天下での撮影が多く熱中症対策が大変で、撮影自体は過酷でした。

――最近ご覧になられたマンガやアニメがあれば教えてください。
 プライベートでは、高野文子さんの『絶対安全剃刀』を読みました。劇場版『鬼滅の刃』無限列車編は子供たちと一緒に観に行きましたよ。以下は仕事ですが、『進撃の巨人』は繰り返し読んでいます。また放送するものばかりですが、『進撃の巨人』のSeason1~Season3、『進撃の巨人 The Final Season』、宮崎吾朗監督の『アーヤと魔女』を観ています。

――最後にアニメディア読者にメッセージをお願いします。
 実写ドラマですが、マンガやアニメが好きなスタッフが集まって一生懸命つくりました。ぜひ、楽しんでいただければ幸いです。アニメ版で露伴を演じている櫻井孝宏さんにも、少しですが、声でご出演いただいております。どこに登場するか探してみてください!

『岸辺露伴は動かない』 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社(C)NHK・PICS

『岸辺露伴は動かない』 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社(C)NHK・PICS

『岸辺露伴は動かない』 (C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社(C)NHK・PICS

プロフィール
土橋圭介【つちはし・けいすけ】1969年10月18日生まれ。長野県出身。制作統括としてTVアニメ「山賊の娘ローニャ」(2014年)、『龍の歯医者』(2017年)、『カードキャプターさくら クリアカード編』(2018年)、『アーヤと魔女』(2020年12月30日夜7:30総合テレビ放送予定)、『ムーミン谷のなかまたち』(日本語版)(2019~2020年)、ドラマ『スパイの妻』(2020年)などを手掛ける。

『岸辺露伴は動かない』作品情報
12月28日から三夜連続夜10時よりNHK総合/BS4Kで放送 ※1月4日~6日に再放送予定
●原作/荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない」(集英社「ジャンプコミックス」刊)、原作:荒木飛呂彦、小説:北國ばらっど「岸辺露伴は叫ばない 短編小説集」所収「くしゃがら」(集英社「JUMP j BOOKS」刊)
●脚本/小林靖子
●演出/渡辺一貴
●出演/高橋一生 飯豊まりえ 柴崎楓雅(第1話ゲスト) 森山未來(第2話ゲスト) 瀧内公美(第3話ゲスト) 中村倫也 ほか
●制作:NHKエンタープライズ
●制作・著作:NHK、ピクス

(C)LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
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《M.TOKU》
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