sajou no hana、ニューシングル「青嵐のあとで」は「御坂美琴たち登場人物と、同じ景色を見ているくらいの気持ちで聴いてもらえたら」【インタビュー】 | 超!アニメディア

sajou no hana、ニューシングル「青嵐のあとで」は「御坂美琴たち登場人物と、同じ景色を見ているくらいの気持ちで聴いてもらえたら」【インタビュー】

『とある科学の一方通行』エンディングテーマ「Parole」に続き、『とある科学の超電磁砲T』新エンディングテーマ「青嵐のあとで」が話題の、sajou no hanaのインタビューがアニメディア7月号に掲載されている。超! …

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『とある科学の一方通行』エンディングテーマ「Parole」に続き、『とある科学の超電磁砲T』新エンディングテーマ「青嵐のあとで」が話題の、sajou no hanaのインタビューがアニメディア7月号に掲載されている。超!アニメディアでは、本誌に掲載しきれなかったぶんを含めた特別版を公開。第15話挿入歌として感動を呼んだ「ここにいたい」の制作秘話や、ボーカルのsanaの青春時代の思い出などについても話を聞いた。


『超電磁砲』のエンディングは「等身大」というイメージ

ーー「青嵐のあとで」は『とある科学の超電磁砲T』新エンディングテーマということで、キタニさんの作詞作曲ですがどんなイメージで作りましたか?

キタニ 『とある科学の超電磁砲』には、同じ『とある』シリーズでも『禁書目録』や『一方通行』にはない、『超電磁砲』だけが持っている魅力があって。それはあまりファンタジック過ぎない人間的な部分と言うか、一般の人が見ても共感しやすく親しみやすいところだと思っていて。そういうところに焦点を当てた、人肌の感じられる音楽を目指しました。だから音像や歌詞は、日本人みんなが同じように懐かしさを感じられることを意識して作りました。

ーー「青嵐(あおあらし)」というワードが良いですね。青春は嵐のように激しくてあっと言う間に過ぎ去っていくものなのだな〜って。

キタニ 「青嵐」というのは、春の終わりを告げる風を意味する言葉で。歌詞の一人称の人物が、二人称の人物に対して憧れを持っているんですけど、それはあっと言う間に過ぎ去ってしまう。そういう情景を上手く比喩できる言葉は何かと考えて、そこに「青嵐」という言葉がハマりましたね。

ーーsanaさんは、楽曲や歌詞の最初の印象はどうでしたか?

sana 夏の青空が広がっているシーンが、パッと頭に広がりました。その次に、本当に漠然とした懐かしさに包まれた感じがありましたね。それこそ10年くらい前に、アニメ『とある科学の超電磁砲』シリーズの第1期や第2期をリアルタイムで見ていたな〜って、当時の気持ちが甦りました。

渡辺 この「青嵐のあとで」という曲の持つ郷愁感は、自分たちが経験したものとは違う憧れみたいな感覚だと思います。「こういう青春を送りたかったな〜」と、実際には送っていないのになぜか懐かしく感じる感覚。たとえばスタジオジブリの映画を見たときの感覚に近いものがあるんじゃないかと。ジブリ映画で描かれる田舎の風景を見て、都会出身の人でも懐かしさを感じるじゃないですか。昭和のお話なのに平成生まれの人が見て、懐かしく感じたり。そういう感覚に近いものを、僕はこの曲に感じますね。

ーーキタニさんは、そういうところまで意識して曲を作られていたんですか?

キタニ もともと僕は、ジブリ映画的な夏感や久石譲さんの音像など、日本人の懐かしい感情を刺激するものが好きで、いつか自分でもそういう曲を作りたいと思っていたんです。それで「青嵐のあとで」は具体的に言うと……ちょっと田舎で神社があって、青空に入道雲があってという景色が、自分のなかにイメージとしてありました。

ーーそういうイメージを具現化する上で、楽器や音で何かこだわりましたか? たとえばキラキラとした感じのギターとか。

キタニ 『とある』の作品の音楽と言うと、fripSideさんのようなシンセサイザーが使われた電子的なイメージが強かったと思うんですけど、「青嵐のあとで」はその電子的なイメージを極力排除していて、生の音のシンプルなサウンドで作られています。だから最初はギター、ベース、ドラムだけのいわゆるロックバンドの編成で編曲したんです。

渡辺 僕は以前に『超電磁砲S』前期エンディングテーマで井口裕香さんが歌った「Glory Slowly」の作詞作曲をさせていただいたんですけど、それもシンセを使っていない編曲になっていて。僕のなかで『超電磁砲』シリーズのエンディングは「等身大」というイメージがあって、それがシンプルなサウンドともすごくハマったと思います。

ーーsanaさんはそういうサウンドのなかで歌ってどうでしたか?

sana 疾走感がある曲なので、レコーディングは自由に気持ちよく歌えました。キラキラしたサウンドのなかには哀愁とか深みもあるので、それをどう表現するかを自分なりに研究して本番に臨んだんです。

渡辺 歌録りは僕とsanaちゃんのふたりでスタジオに入って録ったんですけど、僕がイメージしていたものと同じビジョンを彼女が持っていたので、レコーディングはスムーズでしたね。特にDメロは、僕が想像していたものよりもはるかに良いものを出してくれたので、それはすごく嬉しかったです。

ーーDメロは、後半のウィスパーっぽい歌声で浮遊感のある感じになるところですね。

渡辺 はい。この曲は郷愁感やサウンドも大事だけど、懐かしい気持ちを思い出させるには声の成分もすごく大切な要因です。そこが上手く表現できたらいいなと思ってレコーディングに臨んだんですけど、sanaちゃんは正解以上にさらにいいものを足してくれました。

sana そう言ってもらえて、すごく安心しました。事前に用意していたものと翔さんのイメージがマッチしたので、「ああ、良かった〜」って。

ーーそんな「青嵐のあとで」が流れるエンディングの映像では、御坂美琴や白井黒子などいつもの4人が、制服を交換したり指で星を作るシーンがあって。

渡辺 岸田教団&THE明星ロケッツの「nameless story」が映像とばっちり合っていたから、僕らの曲になるときはどんな映像になるのか、すごく楽しみにしていたんです。でもすごく良い映像になって嬉しいですね。本当に青春っていう感じで。

sana 星を作るところとか、すごく可愛い! 

ーーまた第15話の挿入歌として流れた「ここにいたい」も、カップリングに収録しています。第15話の食蜂操祈と警策看取がドリーの”妹”と会うシーンで、この曲が流れたときは泣きました。

渡辺 ありがとうございます。この曲は僕が作詞作曲をしたんですけど、どのシーンで流れるか知らずに書いたんです。僕らの曲作りのやり方は最初に僕とキタニくんで曲を出し合うので、「青嵐のあとで」と同じタイミングで作っていて。エンディングテーマには「青嵐のあとで」が選ばれ、僕の曲も使われますということで、実際にそのシーンと照らし合わせたら歌詞の意味がすごく広がったなって感じました。

ーー歌詞は、ドリーの気持ちを書いたのかと思っていました。

渡辺 実はそうではなくて、学生世代全般が抱える悩みやその世代に共通した気持ちを書いているんです。これは原作の世界観にも共通して言えることで、学生の頃って誰でも自分の居場所を考えたりするじゃないですか。そこを描くことで、どのキャラクターにも当てはめてもらえるだろう、と。だからドリーの気持ちと重ねてもらってもいいし、食蜂や警策と重ねてもいいし。

sana 「翔さんすごい!」って思いました。学生世代の揺れ動く微妙な気持ちを絶妙に表現していて、最初に聴いたときはキュンときました。男の人なのに、何でこんなに女子中高生の気持ちがわかるんだろうって(笑)。曲が流れるシーンは、私もすごく泣けましたね。あのシーンの食蜂さんが好きだな〜。

渡辺 食蜂さん、良いよね。普段は飄々としていると言うかクールにつとめていて、自分の目的以外はまったく意に介さないみたいなキャラクターだけど、あのシーンでは感情がポロッと出る。そこで一瞬見せたギャップにやられました。

『一方通行』を経たことで振り切れた青春感 

ーー前回のシングル「Parole」は、アニメ『とある科学の一方通行』のエンディングテーマで、エレクトリックさもあって激しい曲でした。「青嵐のあとで」と「ここにいたい」は、それとは印象の違った曲になったわけですが。

渡辺 『一方通行』は作品の持っているテイストとして、僕たちらしさと共通する部分を感じていたので、最初に『一方通行』のエンディングテーマをやらせていただいたのは大きかったと思います。

sana それまでのsajou no hanaの曲の延長でできましたからね。『一方通行』とは、すごく相性が良かった感じがありました。

渡辺 ずっと暗めの曲をやってきて、前回の「Parole」も暗めの曲だったし。一発目から『超電磁砲』のエンディングテーマをやることになっていたら、僕たちには少し眩しすぎたかもなって。

キタニ 自分たちは本質的に暗めの曲を作る人間なので、「Parole」みたいな曲が、自分たちのなかではメインストリームです。「Parole」で自分たちがどういう音楽家であるかを、『とある』ファンに示すことができていたからこそ、今回は思い切って違うところに足を踏み出せて、明るい曲調を思い切りやることができたなって思います。

ーーsanaさんとしては、今までとは違ったキラキラした明るい曲を歌ったことについてはどうでしたか?

sana 私の声はもともと少し低くめで、ザ・女の子といった明るい声ではないので、どうしてもダークめな要素が出てしまうんです。『超電磁砲』シリーズのエンディングはザ・キラキラといった透明感のある歌が多かったから、今回はけっこう切り替える意識で、なるべく柔らかい声色が出せるようにと思って歌いました。でも何だろう、『モブサイコ100 II』の特別エンディングで「いきるひとびと」という曲があって、今回のほうがもっとキャッチーな曲ではあるんですけど、そのときの優しさを元にして表現できた感じですね。

ーー「青嵐のあとで」と「ここにいたい」は、今までのsajou no hanaから新しい一歩を踏み出した曲ということで。

キタニ そうですね。

渡辺 今までやってこなかったテイストです。

sana こういう曲もやるんだということを知ってもらったので、今後を楽しみにしていてほしいですね、

ーーそして3曲目に収録の「Hypnosis」は、いつものsajou no hanaといった感じです。これはキタニさんの作詞・作曲・編曲で。

キタニ これはライブでも一度披露しているんですけど、こういう音楽が我々の本来ある姿です。「青嵐のあとで」と「ここにいたい」の2曲が、言ってしまえば“らしくない”曲なので、自分たちらしい部分も残しておきたいと思って収録しました。

ーーキメが多い間奏とか、演奏が大変そうな曲ですね。

渡辺 あそこは変拍子じゃないんだよね?

キタニ 変拍子っぽいけど、実は普通の四拍子。

渡辺 乗れなさそうだよね(笑)。

キタニ あそこはとにかく練習して覚えるしかない(笑)。ベースとドラムは一緒に録っていて、ベースは作った本人の僕で、ドラムはライブでも叩いてもらった昔から馴染みのあるドラマーで。普段からポストロックとか変拍子の曲をたくさん叩いてるから、レコーディングでも涼しい顔で叩いてました。

渡辺 でも歌ってる人にとっては、Bメロが難しいんじゃない? ちゃんと自分のなかでリズムが刻めていないと、今どこを歌っているのかわからなくなるから。

sana すごく難しいです! ライブのときはまだ身体にリズムが馴染んでなくて、思い切り飛んじゃいました。「あれ? 今どこを歌っているんだっけ?」って。だからレコーディングもちょっと大変でしたけど、頑張りました。

ーーでも難しい曲は、歌いこなす楽しみがあるんじゃないですか?

sana そうですね。1〜2曲目はやわらかく包み込むような歌い方なんですけど、3曲目は鋭利な感じの歌い方って言うか。息づかいもすごく細かく尖った感じを意識したので、そういう細かいところまで聴き比べて楽しんでもらえたら嬉しいです。

ーーさて「青嵐のあとで」の歌詞に、<例え十年先も二十年先も、きっと、ずっと、忘れられないんだよ。>というフレーズがありますが、学生時代の忘れられない思いは何かありますか?

キタニ そういうのは、やっぱり学生時代が一番近かったsanaさんが答えるのがいいんじゃない?

渡辺 確かに。

sana そうですね……私は人との思い出ではなくて、空のことなんですけど。私は帰宅部だったので、そのなかでもめちゃめちゃ帰宅が早かったんです。というのも誰もいない帰り道の歩道橋から見る夕焼けがすごくきれいで、それが見たくて。ただそれを見たいがために、夕焼けを独り占めしたいがために、終業ベルが鳴ると同時にものすごい勢いで校舎を飛び出していたことがすごく思い出に残っています(笑)。

ーーではアニメディア読者にメッセージを。

渡辺 この曲は自身と重ねて聴けると思うので、ぜひ御坂美琴たち登場人物と同級生になった気分で、同じ景色を見ているくらいの気持ちで聴いてもらえたら嬉しいです!

キタニ 青春の時間は若い人だけのものじゃない。どんな年齢でも、何か強く憧れるものがあってそれを追いかける熱量があったら、それは青春と呼べるんじゃないかな。この曲を聴いて、憧れを追いかけるエネルギーを取り戻してもらえたらなと思います。

sana 今までの楽曲とは違った新しい一面を持った曲になりました。曲のキラキラ感や疾走感からくる爽やかさを感じて、いろいろ想像してもらえたら嬉しいです。みなさんの好きなキャラクターそれぞれとリンクする部分を感じながら、深く味わってほしいです。

ーーちなみにsanaさんの好きなキャラクターは誰ですか?

sana 御坂美琴、黒子、初春、佐天さんの4人です。御坂美琴に対しては圧倒的で格好いいお姉様という印象で、まさしく黒子と同じ気持ちになります。4人それぞれに憧れる部分があるので、選べなくて困ります(笑)。

取材・文/榑林史章

嵐のあとでリリース情報
発売日:8月19日(水)
価格:1,500円(税別)
CD収録曲:
1.青嵐のあとで(TVアニメ「とある科学の超電磁砲T」新エンディングテーマ)
2.ここにいたい(TVアニメ「とある科学の超電磁砲T」15話挿入歌)
3.Hypnosis

《超!アニメディア編集部》
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