樋口楓が「MARBLE」でメジャーデビュー、収録曲・バーチャルライバーに対する思いを語る【インタビュー】 | 超!アニメディア

樋口楓が「MARBLE」でメジャーデビュー、収録曲・バーチャルライバーに対する思いを語る【インタビュー】

「にじさんじ」所属のバーチャルライバー樋口楓が、シングル「MARBLE」でメジャーデビュー。楽曲の制作過程などを聞いたインタビューが、アニメディア4月号に掲載されている。超!アニメディアでは、本誌に掲載しきれなかったぶん …

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「にじさんじ」所属のバーチャルライバー樋口楓が、シングル「MARBLE」でメジャーデビュー。楽曲の制作過程などを聞いたインタビューが、アニメディア4月号に掲載されている。超!アニメディアでは、本誌に掲載しきれなかったぶんを含めた特別版を公開。カップリング曲のエピソードや他のバーチャルライバーに対する思い、好きな声優やアニメについても聞いた。


辛かったことも踏まえてのメジャーデビュー

ーーVTuberを始めて2周年とのことで、いかがですか?

 もともと私は、「にじさんじ」という事務所が開催した、iPhone Xを使って顔を動かせる機能を持ったアプリを広めるための、テスターを募集したオーディションを受けて事務所に入ったんですね。なので最初はとても気軽だったのですが、もともと歌が好きだったのもあって歌をアップするようになり、応援してくれるみんなへの感謝の気持ちを込めてファンメイド曲をアップするようになりました。それがメジャーデビューできる日がこようとは、オーディションを受けたときにはまったく思っていませんでした。振り返るとめちゃめちゃ濃度が高くて、あっと言う間とは言いがたい2年間でしたね。

ーーバーチャルライバーで良かったなと思うことは?

 ファンタジーの世界に行けるとか、自分の好きなキャラクターの隣に自分の絵を描いてもらえるとか。あとは、ネットに強くなった(笑)。まじめな話をすると、気軽に配信ができるのは大きいですね。自分が発信したいと思ったときに、好きなゲームをだらだらするとか、好きな歌を歌って公開するとか(笑)。生で近況を報告できるのは私も嬉しいし、ファンの人も喜んでくれています。それをやるときのハードルが、普通のアーティストさんよりも低いのはバーチャルライバーであればこそです。

ーーさて3月25日にメジャーデビューですが、どんな気持ちですか?

 ファンのみなさんがいなければ今の樋口楓はいなかったので、支えられてここまできたなという感謝の気持ちが大きいです。

ーーメジャーデビュー曲の「MARBLE」をはじめ、これまでに発表したファンメイド曲もロックが多いですけど、もともとロックが好きで?

 両親が学生時代に、軽音学部に入っていて。小さいころから車で、THE BLUE HEARTSさんやSHOW-YAさんなど、パンクやハードロックを聴いていたので、自然と私も好きになりました。

ーーパンクとハードロックで育ったんですね。親のDNAをしっかり受け継いでいますね!

 そうですね。デビュー曲「MARBLE」を聴いて、誰よりも喜んでいたのは両親でしたし(笑)。そもそも私が、アイドルっぽい曲を歌うのは解釈が違うと思っている親なので。私自身、キャピキャピという感じではないですから。だから「自分らしい曲が歌えて良かったね」と言ってくれました。

ーー収録曲についてどんな曲が良いなど、ご自分から要望をスタッフに伝えたりしたんですか?

 はい。表題曲の「MARBLE」は、最初にデモをいただいたときは、少し爽やかな印象だったんですね。なので、「もっと泥くさくして欲しい」と。よりみんなの耳に届くものがいいと思っていたので、「メロディがキャッチーなものがいい」と伝えました。

ーー「泥くさく」と?

 はい。メジャーデビューするまでにはいろいろあって、楽しいことや嬉しかったことだけじゃなく、辛かったことも踏まえてのメジャーデビューだし、これから先まだ何が起きるかわからないし。バーチャルライバーはまだ認知されていない業界だし。そういう意味も込めて、泥くさい感じでいきたいとお話をしました。

ーー昨年1月にZepp Osaka Baysideで開催した、1st LIVE “KANA-DERO”は、嬉しかったことのひとつですね。

 そうですね。Zepp Osaka Baysideでできたのは嬉しかったし、ファンの方の熱量の高さを目の当たりにできたのは大きかったです。いつもはコメント欄で会話をしているので、相手の顔を直接見ることはできないから、どんな表情でコメントしてくれているかわからなくて。でもライブでは、お客さんの顔を間近で見られて、泣いたり笑ったりしてくれている表情が見れて、私のなかでは本当に大きなできごとでした。

ーー配信では、寝転がってポテチを食べながらコメント打ってるかもしれないけど(笑)、ライブではポテチをサイリウムに持ち替えて応援してくれているわけですね。

 そうそう(笑)、本当に嬉しいです!

ーー「MARBLE」というタイトルは、良いことも悪いこともすべて混ざって、マーブル模様になっているみたいなイメージですか?

 それをありますし、樋口楓を形成するものを表した言葉かなと思います。私がここまでこられたのは、まわりの方の応援や置かれた環境などが混ざり合っているし、今までの経験も含めてタイトルに表現したという感じです。だから歌詞には、これまでに歌ったファンメイド曲の歌詞から、言葉を抽出して散りばめられています。

ーーレコーディングは東京で?

 東京で録りました。レコーディングスタジオ自体は初めてだったわけじゃないですけど、メジャーデビューする1曲目で樋口楓を表す「よろしくお願いします」という曲だし、そういう意味では「今の私の実力のままで大丈夫かな」みたいな不安を抱えながら歌いました。

ーー何回か歌ったんですか?

 はい。一回歌い終えてから聴き直して、自分で納得いかないところがあって。「ここをもう一回良いですか?」と聞いたら、「どうぞどうぞ」と言っていただいて、録り直させていただいたり。

ーーちなみにレコーディングのときは、どんな格好で? やっぱり勝負服みたいな。

 気合いは入っていましたけど、服装は歌いやすさを重視して、いつも樋口楓が着ている私服のような感じでしたよ。おなかとか身体を締め付けないような感じです。クツも脱いで歌っていました。自然なほうが良いかなと思って。

ーー裸足で歌う、一青窈スタイルですね!

 そうなんですか(笑)!

ーー<かかって来いよ>と歌っているところが格好良かったです。

 ありがとうございます。そこは挑戦的な雰囲気にしたくて、「がなり気味で歌って良いですか?」と自分から提案して。自分でもこだわって、何テイクか歌わせていただきました。


見られて恥ずかしくない、大きな背中になりたい

ーーカップリングに収録の「Sugar Shack」は、かけ合いできる場所がたくさんあって、ライブで盛り上がりそうですね。

 私は基本的に、ライブでみんなと楽しみたいという思いがあるので、そういう意味でライブ映えするかどうかを考えて、ライブで盛り上がれるものを前提に制作しました。この曲に関しては、ライブで盛り上がる自信があります!

ーーレコーディングは楽しかったのでは?

 とても楽しかったです。勢いがつきすぎて、ポップガードに歯が当たってしまったということもありましたけど(笑)。

ーー歌詞は英語の分量が多いですけど、そこは大変だった?

 何度も録り直しました(笑)。翻訳アプリで発音を確認していったんですけど、レコーディング現場でイントネーションを注意されたりというのはありました。あまり日本語英語だと格好悪いし、かと言ってネイティブ過ぎても浮いてしまうし。どういうバランスが一番格好良く聴こえるかを試行錯誤しましたね。たとえば<Poker face>という言葉は舌を巻くのか、<Home work>という言葉はけだるそうに宿題をしている姿を想像して、どういう言い方が合うのかなど。きっとみなさん「中学生レベルの英語なのにそんなに?」と笑うかもしれませんが、スタッフと真剣に話し合ったんですよ。

ーーそして3曲目には、影山ヒロノブさん作曲によるアメリカンロック調のミディアムバラードを収録。

 汗を流したあとに、夕焼け空をバックに歌うみたいな感じです。

ーー歌詞をファンから募集したんですよね。

 ファンの方と一緒に作るような曲にしたいと思って。ファンの方のなかには、メジャーデビューすることで私が遠くに行っちゃうんじゃないかと不安を感じている方もいらっしゃって、そうじゃないんだよということを、この曲を通して伝えたくて。樋口楓はファンの支えがあってここまでこられた、それを表すような曲にしたいと思いました。

 配信で影山さんのデモを流して、みんなに聴いていただいたんですけど、デモを流すなんて絶対にないことじゃないですか。その上で、みんなに歌詞を考えてもらって。こういうファンとの交わり方は、バーチャルライバーとして生を受けたものでなければできないことだなと思います。

ーーまた樋口さんが所属する「にじさんじ」からは、月ノ美兎さんなどほかにも何組か今春メジャーデビューが決まっている。そういう仲間とは、何か話したり?

 でもにじさんじから続々とメジャーデビューするというのは、本当に嬉しいことです。それだけバーチャルライバーという存在を、知ってもらえるきっかけが増えるということですから。だからライバルみたいな認識はなく、仲間が頑張っている背中を見て、私も頑張れるみたいな感覚です。

ーー刺激を与え合える存在だと。でも「こいつには負けないぞ」と思う相手はいるのでは?

 本当に、誰かを抜かすとかはないんですよ。むしろ抜かれるほうなので(笑)。それに今は、「樋口さんきっかけでバーチャルライバーを始めた」と言ってくださる方もいるので、そういう人たちに見られて恥ずかしくない、大きな背中になりたいなというのはあります。

ーーさて話は変わりますが、アニメで好きな作品は?

 私は声優さんきっかけで、その方が出演されているアニメを見るということが多いです。好きな声優さんは、沢城みゆきさんを入り口に、田村ゆかりさんを知って、以降はズブズブと。それまでは夕方に放送されているアニメしか見たことがなかったんですけど、声優さんという存在を知って以降は深夜アニメを見るようになって。

ーー自分に影響を与えたアニメは?

 『ラブライブ!』です。特に好きなキャラクターは、南條愛乃さんが声優をやられている絢瀬絵里ちゃんです。カンペキ人間に見えて、実はとても人間くさいところがあって好きなんです。何回見ても泣きますよね。私は基本的に、スポ根みたいな泥くささがあって、主人公が挫折を繰り返して成長するお話が好きなんです。

ーー好きな声優さんに会えたら、どんな声をかけてもらいたい?

 沢城さんに、私の名前を囁いてもらいです(笑)。アーティストとしてお話を聞けるとしたら、南條愛乃さんに話を聞いてみたいです。μ’sのみなさんは9人での活動だけじゃなく、それぞれでもアーティストとして活動されているので、それはどういう感じなのか。ファンとしてではなく新人アーティストとして、先輩からアドバイスをもらえたらうれしいです。

ーーでは、今後の目標や野望を教えてください。

 三次元の方の横に立って歌いたいです。モニタ越しなのかARなのかわからないですけど。たとえばTRUEさんやZAQさんなど、リアルのアーティストの方の横に並んで、一緒に歌えたら最高だなって思います。あと、バーチャルライバーとかVTuberに対する偏見をなくしたいですね。具体的に何をするかまではわかりませんけど、歌というものは心に響くもののひとつだと思うので、歌によってそういうことが表現できたらいいなと思っています。

ーーどんな会場でライブをやりたいとかはありますか?

 大阪城ホールとか、野球も好きなので甲子園とか京セラドームとか。バーチャルだからこそ、屋外でやるのは面白そうだな〜て思うし。

ーーじゃあ最後にアニメディア読者にメッセージを。

 VTuberやバーチャルライバーに抵抗感を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちはどうやったらその壁を取り払えるか、アニメ好きな方にも認めてもらえるか、日々試行錯誤しながら配信をおこなっています。この記事をきっかけに、バーチャルライバーやVTuberに、興味を持っていただけたら嬉しいです。ちょっとでも気になったら曲を聴いてもらって。面白そうだなと思ったら、毎日誰かしら配信をしておりますので、見に来ていただけたらと思います。よろしくお願いします。

取材・文/榑林史章

樋口楓「MARBLE」情報
発売日:2020年3月25日
【初回限定盤】
仕様:CD+BD(三方背付)
値段:2,200円(税別)


【通常盤】
仕様:CD
値段:1,400円(税別)


にじさんじ Official Website 
https://nijisanji.ichikara.co.jp/
Lantis Official Website
https://www.lantis.jp/top.html

《超!アニメディア編集部》
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