<アニメ・マンガ妖怪よもやま話>『フルーツバスケット』の草摩夾も大変⁉猫の物の怪にまつわる話 | 超!アニメディア

<アニメ・マンガ妖怪よもやま話>『フルーツバスケット』の草摩夾も大変⁉猫の物の怪にまつわる話

   アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」として …

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 アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」としてWEBで復活。今回は『フルーツバスケット』の草摩夾とも関係する(⁉)猫の物の怪について、奈良県在住の妖怪文化研究家・木下昌美が語る。
 
 
 生まれつき動物の物の怪にとり憑かれ、異性に抱きつかれると獣に変身してしまう……というワクドキ設定に胸を躍らせたのは私だけではないでしょう。藪から棒に失礼しましたが、お察しのとおり『フルーツバスケット』の話です。本作のマンガ連載が開始したのは1998年のこと。当時小学生だった私のクラスでは、主に女子たちの間で本作が大流行していました。2001年にはアニメ化、つい先日まではWEBにてマンガ『フルーツバスケット another』が連載されていました。そして2019年に再び『フルーツバスケット』がアニメ化されて話題を呼んでいます。
 
 さて、冒頭に書いたように本作の登場人物たちの多くが動物憑きなのですが、ただの動物ではありません。子(鼠)や丑(牛)、寅(虎)などの十二支の動物に憑かれているのです。そのなかでも異質な存在であるのが草摩夾(そうまきょう)です。彼は十二支に含まれていない「猫」に憑かれています。
  
 猫が憑くという話は、日本各地で聞かれます。猫憑きを避けるため、死人の枕もとには刃物を置くという地域もある(あった)ようです。「火車(かしゃ)」と呼ばれるオバケは屍を奪うために火葬場や葬儀の場に現れるといわれていますが、この火車の正体も猫であるとされています。
 
 これらの例からもうかがえるように、猫は人の死体と関係性が深いものです。しかし、愛媛県や新潟県などでは、生きている人間に憑いた猫の話もあります。猫に憑かれた者は行燈(あんどん)の油をなめたり、木に登ったり、夜になると目が光ったりするようです。
 
 猫に憑かれている草摩夾は、かわいらしい猫だけでなく、いろいろな顔を持っています。猫憑きとは、なんともはや大変なものなのでしょう。同作の結末をご存知の方も多いでしょうが、何度見て(読んで)もうれしくなるクライマックスが迫ってきています。楽しみに待ちましょう!

 

解説:木下昌美
<プロフィール>
【きのした・まさみ】妖怪文化研究家。福岡県出身、奈良県在住。子どものころ『まんが日本昔ばなし』に熱中して、水木しげるのマンガ『のんのんばあとオレ』を愛読するなど、怪しく不思議な話に興味を持つ。現在、奈良県内のお化け譚を蒐集、記録を進めている。大和政経通信社より『奈良妖怪新聞』発行中。
 
●挿絵/幸餅きなこ 撮影/高旗弘之
《超!アニメディア編集部》
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