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アニメ・マンガ作品における定番ジャンルでもある「妖怪」のことを、ちょっとだけアカデミックに解説する「アニメ妖怪よもやま話」。アニメ雑誌「アニメディア」で連載していた本コーナーが「アニメ・マンガ妖怪よもやま話」としてWEBで復活。今回は『ドラゴンクエスト』のスライムにも似ている(!?)妖怪「べとべとさん」について、奈良県在住の妖怪文化研究家・木下昌美が語る。
「ドラクエ」こと『ドラゴンクエスト』の3Dアニメ映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が今夏、公開されました。大人気ゲームであるがゆえに、今回の映画化には賛否両論あるようですが、私は楽しく拝見しました。「ああ……ラスト、そう来るか」と驚きつつ、あれはあれでアリではないかと思いました。
さて、映画ではかっこいいモンスターたちが大活躍。もちろん、おなじみのスライムも登場し、主人公・リュカたちと共に旅をします。青い玉ねぎ型で“ぽよんぽよん”と飛び跳ねながらリュカのあとをついてくる姿が、とてもかわいらしく印象的です。
「ついてまわる」といえば、夜道に人のあとをつけてくるオバケに「べとべとさん」というものがあります。民俗学研究などを行っていた柳田國男さんが『妖怪名彙』のなかで「大和の宇陀郡で、独り道を行くとき、ふと後ろから誰かがつけて来るような足音を覚えることがある。その時は道の片脇へ寄って『ベトベトさん、さきへおこし』というと足音がしなくなるという」と説明しています。つまり、べとべとさんとは奈良に出るオバケで「べとべとさん、先へお越し」と言ってあげれば、いなくなるモノであるとのこと。
柳田さんの記録では、べとべとさんの姿かたちに関しては言及されていません。しかしマンガ家・水木しげるさんの描くべとべとさんは丸いフォルムでやわらかそう。どことなくスライムに似ている……気がするのは私だけでしょうか。
べとべとさんもスライムも、人のそばに寄り添うオバケという点で共通しているように思います。そのほかの共通点も探しつつ『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を観てみるのも面白いかもしれませんよ。
「ドラクエ」こと『ドラゴンクエスト』の3Dアニメ映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が今夏、公開されました。大人気ゲームであるがゆえに、今回の映画化には賛否両論あるようですが、私は楽しく拝見しました。「ああ……ラスト、そう来るか」と驚きつつ、あれはあれでアリではないかと思いました。
さて、映画ではかっこいいモンスターたちが大活躍。もちろん、おなじみのスライムも登場し、主人公・リュカたちと共に旅をします。青い玉ねぎ型で“ぽよんぽよん”と飛び跳ねながらリュカのあとをついてくる姿が、とてもかわいらしく印象的です。
「ついてまわる」といえば、夜道に人のあとをつけてくるオバケに「べとべとさん」というものがあります。民俗学研究などを行っていた柳田國男さんが『妖怪名彙』のなかで「大和の宇陀郡で、独り道を行くとき、ふと後ろから誰かがつけて来るような足音を覚えることがある。その時は道の片脇へ寄って『ベトベトさん、さきへおこし』というと足音がしなくなるという」と説明しています。つまり、べとべとさんとは奈良に出るオバケで「べとべとさん、先へお越し」と言ってあげれば、いなくなるモノであるとのこと。
柳田さんの記録では、べとべとさんの姿かたちに関しては言及されていません。しかしマンガ家・水木しげるさんの描くべとべとさんは丸いフォルムでやわらかそう。どことなくスライムに似ている……気がするのは私だけでしょうか。
べとべとさんもスライムも、人のそばに寄り添うオバケという点で共通しているように思います。そのほかの共通点も探しつつ『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』を観てみるのも面白いかもしれませんよ。
解説:木下昌美
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<プロフィール>
【きのした・まさみ】妖怪文化研究家。福岡県出身、奈良県在住。子どものころ『まんが日本昔ばなし』に熱中して、水木しげるのマンガ『のんのんばあとオレ』を愛読するなど、怪しく不思議な話に興味を持つ。現在、奈良県内のお化け譚を蒐集、記録を進めている。大和政経通信社より『奈良妖怪新聞』発行中。
●挿絵/幸餅きなこ 撮影/高旗弘之