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「週刊少年ジャンプ」で連載中のマンガ『鬼滅の刃』は、(2019年6月)現在放送中のアニメでも人気を高めているようです。アニメならではの躍動感あふれるシーンも多く、マンガとはまた違う楽しみ方ができます。私はとくに、主人公・竈門炭治郎が繰り出す「水の呼吸」の型の描き方が斬新で驚きました。
さて、本作はタイトルのとおり、鬼を刀の刃でもって退治します。同作品だけでなく「刀」と「バケモノ」は浅からぬ縁があります。
歴代天皇が継承してきた三種の神器のうちのひとつは、ご存知「天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)」などと呼ばれる刀です。「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」の名のほうが親しみがあるかもしれません。日本神話ではヤマタノオロチを退治した際に、オロチの体内から見つかったとされる剣です。神話における「オロチ」と「剣」の関係と意味などは諸説あり、少々ややこしいので、この場では割愛しますが、古くから刀には不思議なパワーのようなものがあったことがうかがえるひとつの例ではないでしょうか。
また葬式や墓場から死体を奪うとされるオバケといえば「火車(かしゃ)」が有名です。この火車が出てこないようにと、亡骸や棺の上に刀を置くといった話があります。刀は悪いモノを退ける力があるとされていたようです。
炭治郎が自ら選んだ鉱石を打って作られた日輪刀も、すさまじいパワーを持っています。作中の「鬼」は日光が苦手ではありますが、基本的に不死身です。この鬼に対して唯一、効力を持つのがこの日輪刀で、刀で鬼の頸を斬ることにより殺すことができます。原作マンガでは刃こぼれや行方不明などにより、相棒の日輪刀も変化していきます。今後、炭治郎の成長と比例するように、形を変えていく刀の姿にも注目したいですね。
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