『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』黒沢ともよ×藤村鼓乃美×雨宮天のユーフォパート座談会「麗奈と久美子のやりとりは濃厚なラブシーンでした(笑)」【インタビュー】 | 超!アニメディア

『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』黒沢ともよ×藤村鼓乃美×雨宮天のユーフォパート座談会「麗奈と久美子のやりとりは濃厚なラブシーンでした(笑)」【インタビュー】

現在、劇場公開の『劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~』から、「アニメディア5月号」では黄前久美子役・黒沢ともよと中川夏紀役・藤村鼓乃美と久石奏役・雨宮天のユーフォパート座談会が掲載中。超!アニメディアではフレッシュな久美子、夏紀、奏の水…

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――『誓いのフィナーレ』では、新たな世代の北宇治高校吹奏楽部が描かれることになります。新体制の吹奏楽部の雰囲気はいかがでしたか?

藤村

 なんというか、(田中)あすか先輩たちがいなくなって華がなくなった感じがするんです。まあ、夏紀たち新3年生がみんな地味なのが悪いんですけど(笑)。

黒沢 あすか先輩たちがいないのは、やっぱり大きいです。ただ本質的なところは変わってなくて、私は安心しました。久美子も2年生になったからといって、そんなに大きく変化したことはなかったので、すんなりと役に入れましたし。

藤村 夏紀も副部長になりましたけど、それ以外は以前と変わっていませんでした。どちらかというと、部長になった優子の成長が印象深かったです。以前まではあんなにギャンギャン叫んでいたのに、今回はすごくしっかりした子になっていて。彼女も成長したんだなと感じました。

黒沢 雨宮さんから見て、吹奏楽部はどんな印象でした?

雨宮 上級生と下級生の関係性がしっかりとできあがっていて、いい雰囲気の部活だと思いました。長く続いているシリーズで、アフレコ現場の雰囲気もけっこうアットホームな感じだったので、最初はどう入っていこうか悩んだんです。でも奏を含め、新1年生はみんなマイペースで曲者ぞろいだったので、あまりそういうことを深く考えちゃダメだなと思ったんです。どんなときも“奏らしさ”を意識しながら演じるようにしていました。

――雨宮さんが演じる奏について、3人それぞれの印象を教えてください。

黒沢 久美子から見たら、めちゃめちゃかわいい後輩でした。礼儀正しいし、空気を読めるし、こっちが言ったことには素直に従ってくれて。

藤村 夏紀としては、難しい後輩だったと思いますね。奏に好かれてないのが、ひしひしと伝わってきますし(笑)。

雨宮 奏は素直なところがあるので、自分より実力が劣る夏紀先輩のことは、わかりやすく見下しちゃてるんですよね。

藤村 原作を読んでいたときは、奏がしゃべるたびに嫌な予感しかしなくて。北宇治が強くなるためには、奏みたいな実力のある1年生が必要だから、あんまり好かれていないのはわかっていても打ち解けなきゃいけない。私も夏紀の気持ちになって、どうすれば奏とうまく話せるんだろうって、ずっと考えていました。

黒沢 何となくですけど、奏と雨宮さんって似ている部分がある気がしました。

雨宮 そうですか?

黒沢 たとえば、周りから何を言われても崩れない不可侵な感じとか。

藤村 この作品のキャストって、みんなそういう周りに流されないような部分があると思うんだけど。

黒沢 北宇治カルテット(黒沢、加藤葉月役の朝井彩加、川島緑輝役の豊田萌絵、高坂麗奈役の安済知佳の4人によるユニット)もみんなそうなんです。頑固だけど、わりとあたふたして揺れていて。だから、どんなときでも平静を保っているとか、無理かも。たぶん奏も雨宮さんも、頭がいいんだと思うんです。場を見て自分がどうやって振る舞えばいいのか、瞬時にわかっちゃう。

雨宮 頭がいいのかはわかりませんけど、奏は過去の経験から「努力が絶対、報われるわけじゃない」ってわかっているから、ガードが硬くなっているのかなという印象はありました。私もこれまで生きてきたなかで近いことを感じてきたので、奏と重なるところは多かったです。


――奏は久美子のことを信頼しているようですが、ふたりは似た者同士なところがあるのでしょうか?

黒沢 どうだろう(笑)。第一印象だと久美子と奏って似ているのかもなと思いましたけど、いざ演じてみたら全然違いました。

雨宮 たしかに根本が違う感じがしますね。奏は頭でいろいろ考えて組み立てていくタイプですけど、久美子は思ったよりも感覚派でした。

藤村 久美子は無意識によけいなことを口に出しちゃうしね。奏の発言は、全部意図があってのものかなという気がするけど、久美子の発言は全部天然だから、そういうところもまるで違う。

黒沢 劇中では久美子と奏の長めの会話シーンも多くあるんですけど、話がかみ合っているようでかみ合ってない印象でした。お互いに間違ったことは言ってないけど、目線が合ってないみたいな。

藤村 そうそう。アフレコのとき、ふたりのやり取りをそばで見ていて、かなりもどかしい気持ちだった。

雨宮 奏は会話の主導権を握りたがるタイプですからね。会話をしているときも、「相手にこう言わせよう」って誘導しているんですよ。会話を通してお互いの意見をすり合わせるんじゃなくて、相手を納得させるために必要だから話している、みたいな感じがしています。

黒沢 奏にはよく、会話の内容を少しずつ変換されながら、誘導されそうになっていました。

藤村 すごい。そう考えると怖い子ですね、奏って。

――劇中では、奏がオーディションでわざと手を抜き、夏紀に大会メンバーの座を譲ろうとするシーンがありました。あの様子を見て、みなさんはどう思われましたか?

藤村 私は夏紀の目線で見てしまうので、正直腹が立ちますよ!(笑) 以前のシリーズで、同じような形で久美子とひと悶着ありましたけど、あのときはもっと平和に終わっていたので、相手が違うとここまでこじれちゃうのかと思いました。奏が悪い子じゃないから、よけいに辛いんですよね。

雨宮 今回奏を演じるにあたって、彼女が「あきらめの気持ち」をつねに持っていることを意識していたんです。「どうせこうなんでしょ、無理なんでしょ」って、周囲に壁を作っていくような。でもそのあと、奏が久美子と夏紀に本音を話したことによって、彼女のなかにも少し変化がありました。奏としては自分を曲げっちゃって面白くなかったかもしれませんけど、私としては久美子と夏紀が奏の硬い殻をちょっとずつはがしてくれたように見えて、うれしかったんですよ。

黒沢 あんなにハードなシーンを演じておいて、うれしい気持ちになれるなんて、すごい。

雨宮 うれしいというか、奏みたいな難しい子を演じるのは、役者冥利に尽きますよね。あと奏って、はっきりと「夏紀先輩が嫌い」とか言いますけど、強がっているだけで、本当はとても怖がりな子だと思っています。怖がりだから、自分の周囲に壁を作っている。だから夏紀とケンカをするシーンは、あまり淡々とした感じにはせず、心拍数が上がっているようなイメージで演じていました。

藤村 あのときの夏紀の私のことは嫌いでもいいけど、北宇治のことは悪く言わないで……という気持ちで出てきたセリフが、すごく印象に残っているんですよ。最初は夏紀も、奏にバカにされたって怒っていたのかもしれないですけど、だんだん部を心配する方向へシフトしていって。夏紀の吹奏楽部に対しての愛の深さを感じました。

黒沢 いまの3年生はみんな、吹奏楽部を愛しているなって感じが伝わってきます。思えば藤村さんや吉川優子役の山岡(ゆり)さん、長瀬梨子役の小堀(幸)さんとか、いまの3年生のキャストのみなさんは昔から原作を読み込んでいたり、作品を愛している方ばかりという印象があるんです。キャラクターと役者が完全にリンクしているので、夏紀の「北宇治のことを悪く言わないで」というセリフは、私にも響くものがありました。

藤村 そう考えると、あすか役の寿(美菜子)さんとか、以前の3年生キャストのみなさんには華があった。世代ごとの特徴みたいなのって、あるのかもね。

黒沢 実際の学校でも「今年の1年生は荒れてるねー」みたいなの、ありますよね。新1年生は天才肌というか、カリスマ性を感じますね。

雨宮 カリスマ性があるかはわからないですけど、みなさんものすごいエネルギーを持っているなって思いました。

――ご自身が演じたなかで、とくに印象に残っているシーンを教えてください。

黒沢 久美子的には、秀一との関係がいままでにない描き方をされているので、ぜひ注目してほしいです。関係性が幼なじみから恋人に変わるけど、そこからまたひと悶着あって、みたいなところが、濃密に描かれていますので。

藤村 秀一に対する久美子の扱いが、いままでと全然違っていて驚きました。いままでが雑すぎたというのもあるんですけど、それってよくいえば家族みたいに接していたんでしょうね。それが今回、久美子がちゃんと女の子していたので「久美子が女になった!」ってキャストみんなで驚いていました。

黒沢 (笑)。いままでと同じように会話をするのは無理でした。私のなかでは、ただの幼なじみと恋人って全然違う存在なので、演技をするときもだいぶ甘い感じになりました。

雨宮 でも秀一とラブラブしているなと思ったら、大吉山で麗奈と久美子の濃厚なやりとりが始まって。あそこは初めて作品に参加した私でも、「このふたりはただならぬ関係なんだな」って印象に残ったんですけど。

黒沢 そうなんです(笑)。あのシーン、完全に場末のバーで一杯やってるいい歳の男女みたいな感じでしたよね(笑)。なんか毎回、麗奈とのシーンはあんな雰囲気になっちゃうんですよ。

藤村 あっちのほうが、濃厚なラブシーンだよね。

黒沢 恋と愛の違い、ってやつですかね(笑)。秀一の件は、結局久美子が「部活に専念するから距離を置こう」っていうところも印象深くて。私のなかではそういう感覚がないので、「別れなくてもいいんじゃない?」って思ったんですけど、音響監督の鶴岡(陽太)さんが「青春ってのは、間違えるものなんだよ」っておっしゃっていて「なるほど」と。この久美子の選択は、たぶん賛否両論になるんだろうなって思うので、ぜひみなさんの感想を聞いてみたいですね。

藤村 夏紀の見どころはやっぱり、優子との掛け合いだと思います。何度も言いますけど、今回の優子の成長ぶりは本当に皆さんに見てほしいです。昔から観てくださっていた方はきっと、ケンカばかりしていた優子と夏紀がこんなやりとりをできるようになったんだなと思ってくださいますよ。

黒沢 藤村さん、本当に優子が大好きだからね。

藤村 私がとくに印象的だったのは、吹奏楽コンクール関西大会の本番前、優子が突然夏紀に「ありがとう」っていうシーン。いつもなら「何言ってんの」とか言いそうな夏紀が、本気で照れて何も言えなくなっちゃっていたのがすごくかわいかったです。みんなの前で言うのは、本当にズルいと思います。

黒沢 あそこはまさに“中吉川”コンビの集大成でした。

藤村 全国に行けないことが決まったあと、優子が夏紀の胸を借りて泣いていたところも印象的でしたし、そのあと優子がしっかり部長として部員たちを励ましていたのも、ジーンと来ちゃいました。

雨宮 わかります。あのシーンは、アフレコで泣きそうになっていました。

黒沢 私は思いっきり泣いてた。

藤村 なんか途中から優子の話になっちゃいましたけど、とにかく夏紀と優子の絡みはかなりの見どころだと思います!

雨宮 奏としては、久美子とのやり取り全般が見どころだと思います。全部頭で考えながら話すタイプの奏が、だんだんと自分の気持ちを出していくところをぜひ見てほしいです。

黒沢 雨宮さんはすごく熱心に「このセリフはどういう感情から発したんですか?」って、鶴岡さんに確認を取っていたのがすごく印象に残っています。

雨宮 奏はものすごく繊細な要素のあるキャラクターなので、ちゃんと発言の意図を正確に捉えないとダメだと思ったんです。自分を強く見せているけど、まだまだ高校1年生なので未熟さが残っていて、それが出てしまうこともある。久美子に対しても、懐いているようで壁を作っていたので、それをどのタイミングで取り払っていいのかと、かなり探り探り演じていました。

黒沢 久美子と奏がぶつかり合うところは、やはり気合を入れて取り組まざるを得ませんでした。

雨宮 そうですね。奏が初めて「努力しても無駄かもしれない」と自分の気持ちをしゃべって、でも久美子に「それでもやるしかない」って言われて、泣き出してしまうところ。あそこは鶴岡さんのディレクションや黒沢さんの演技を受けて、私なりの精一杯の演技を返したところでした。もちろん、それまでの積み重ねもふまえて演じていたんですけど、あそこは奏にとって大きなターニングポイントなので、大きな見どころだと思います。

――ラストシーンでは、久美子が新部長に就任していましたが、そちらについてはどう思いましたか?

黒沢 そうくるか、と(笑)。今回の劇場版では、久美子が新部長にふさわしいと観ている方々に納得してもらえるような演技をする、というのも私のなかの課題でした。

藤村 久美子が新部長と聞いたときは、正直安心しましたよ。いろんな事件を解決してきた久美子なら、今後もうまく部をまとめてくれるだろうなって。

雨宮 今回の劇場版で、少なくとも奏は抱えていたモヤつきを取り除くことができていましたし、ほかの1年生たちも周囲との結束は強くなったと思います。だからさすがに、今回ほど大きな問題は今後起こらないと思うんですけど。

黒沢 どうですかねー。もし、奏より上手な新1年生が入ってきたら、奏はどんな反応するんだろう?

雨宮 そうですね……。奏はプライドが高いので、ひたすら努力して実力で勝ちに行くと思いますけど。

黒沢 そうなったとき奏が「私、2年生なのに……」みたいなことを言ったら、「ああ、奏もちゃんと人間だったんだ」って思うかもしれない(笑)。私、奏の人間っぽいところをもっと見てみたいんですよ。2年生になったら、誰かに恋してみるとかどうですか?(笑)

雨宮 うーん。私としては、奏には誰とも恋愛関係になってほしくないですね。自分の心のテリトリーに入れる人は、本当に最低限にして、かついつでも中心は自分であってほしいです。

藤村 でも恋する奏の姿は、絶対にかわいいと思うんですよ。

雨宮 たしかに久美子たちには計算づくで接していた奏が、恋をしたらうまくいかなくなっちゃうとかありそうですね。

黒沢 かわいい! こんなエピソードがきっとどこかで描かれることを期待しています!

――最後に、これから劇場へ足を運ぶ読者の皆さんにメッセージをお願いします。

雨宮 今回の劇場版は、初めて『響け!ユーフォニアム』に参加した私でもひとりひとりに感情移入することができ、とても心を動かされました。たぶん観終えたあとは、心地よい疲れが残る作品になっていると思います。シリーズのファンの方はもちろん、『響け!ユーフォニアム』を知らない方にも観ていただけるとうれしいです。

藤村 たぶん今回の劇場版も、吹奏楽部出身の人の心をえぐる作品になっています(笑)。もちろん吹奏楽部経験者じゃなくても心に残る作品になっていて、ボロボロ泣いちゃう方も多いと思います。劇場へ足を運ばれる方は、しっかり水分補給をして、ハンカチを忘れないようにしてください。

黒沢 『響け!ユーフォニアム』という作品のテーマは「青春」です。吹奏楽部のみんなが自分の思いをぶつけ合いながら、コンクールに向けて頑張っていく。その様子が京都アニメーションさんの映像で観られるなんて本当にすばらしいことだと思うので、ぜひ劇場で楽しんでほしいです。誰に感情移入をするかによって見方が変わる作品だと思いますので、観たあとはぜひ、感想をいろんな人に伝えてください!

 2019年4月30日(火)発売のメガミマガジン2019年6月号の表紙・総力特集は『劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』。サンライズフェスティバルでの衣装に身を包んだ久美子たちのカバーイラストほか関係者インタビューを掲載予定。こちらも合わせてチェックしよう。

(プロフィール)
【くろさわ・ともよ】4月10日生まれ。埼玉県出身。マウスプロモーション所属。
【ふじむら・このみ】11月20日生まれ。福岡県出身。AIR AGENCY所属。
【あまみや・そら】8月28日生まれ。東京都出身。ミュージックレイン所属。

〈『劇場版 響け!ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~』情報〉
全国劇場で公開中

『響け!ユーフォニアム』公式サイト
http://anime-eupho.com/

『響け!ユーフォニアム』公式ツイッター
@anime_eupho

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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