「完全な悪役が登場しない。作品の根底にあるのは“やさしさ”」梶裕貴が思う『不機嫌なモノノケ庵 續』の魅力【インタビュー】 | 超!アニメディア

「完全な悪役が登場しない。作品の根底にあるのは“やさしさ”」梶裕貴が思う『不機嫌なモノノケ庵 續』の魅力【インタビュー】

コンビ、バディー、フレンズなどなど……。最高のふたりが手を組めば、どんな過酷な戦いや難題だって乗り越えられるに決まっている! 「アニメディア3月号」では、TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』で芦屋花檜役を演じる梶裕貴に …

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 コンビ、バディー、フレンズなどなど……。最高のふたりが手を組めば、どんな過酷な戦いや難題だって乗り越えられるに決まっている! 「アニメディア3月号」では、TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』で芦屋花檜役を演じる梶裕貴に第2期の見どころや花檜と晴齋の関係性についてインタビューしている。「超!アニメディア」では、素の部分が少し見えるハプニングも含め、本誌で紹介しきれなかったロング版を紹介する。


妖怪との触れ合いと物語の核心に迫るドラマが楽しみ

――2年半ぶりの第2期となる『不機嫌なモノノケ庵 續』が1月よりスタートしました。梶さんはこの作品の魅力をどのように捉えていますでしょうか?

 第1期は、悩みを抱える妖怪に対して現世と隠世との行き来を通じて心のつながりを見出すような、ほっこりとするエピソードが多かったと思います。妖怪なので「人間ドラマ」というのはちょっとおかしいかもしれないですけど……(笑)。第1期の後半から少しずつシリアスな要素――僕が演じさせていただいている芦屋花繪の生い立ちや家族関係だったり、隠世の裏側の部分だったり――が出てきていましたが、第2期になるとそれらが軸になりつつ、人間と妖怪との交流が描かれていくことになります。どちらもとても魅力的ですが、やはり根底にあるのは“やさしさ”だと思いますね。


――花繪たちは妖怪に寄り添って、妖怪のために手を尽くしますからね。

 芦屋はもともと、ごく普通の男の子なのですが、やさしさのなかに未熟さや弱さがありつつも、大事なときには芯の通った言動が取れる、気持ちの強い子なんです。安倍(晴齋)さんにしても、普段は「不機嫌な」とタイトルにあるように近寄りがたい雰囲気を持っていますが、根底にはやさしさがあります。彼にはトラウマがあって、自分の本心を表に出せなかったんですよね。禅子にせよ、ヤヒコにせよ、妖怪も含めて、完全な悪役が登場しない作品なのかなと思います。

――作品にあるやさしさや、癒される部分は、視聴者も強く感じていると思います。

 メインで登場するのは妖怪たちですが、観ていて誰もが共感できるお話だと思います。こういう気持ちになったことがあったな、と心を重ねられるストーリーや描写がとても多くて、芦屋や安倍さんだけでなく、ひとりひとりのキャラクターをとても大切にしている作品だなと感じます。

――(インタビュー中、梶さんが話している間に照明が急に消えたり点いたりして)これは妖怪のしわざなんでしょうかね?

 接触の不具合のせいですよ……。苦手なのでやめていただきたい……。

――梶さんは怖い話が苦手だそうですね。

 お化けがダメなんです……。でも、妖怪は大丈夫ですね!(明るく話すが、再び電気が点滅すると)うわっ! 

――ただの電気の不調だから大丈夫です!『モノノケ庵』に登場する妖怪たちは、とっても人間くさいんですよね。

 そこが共感できるというか、かわいらしくて憎めないんですよね。

――じゃ、今、妖怪が梶さんの背後にいたり、目の前に現れたりしても……。

 しゅ、種類によりますね! モジャとかはかわいいじゃないですか。体調は悪くなりますけど(笑)。見た目が怖い妖怪はちょっと……。でも、ギギギの親分なんかは第一印象が怖いけど、実は子ども想いだったりするんですよね。ノボウも見た目は怖いのですが、彼なりの生き方や納得できるドラマがある。人もそうですけど、見た目で判断しちゃいけませんね。

――花繪と晴齋の関係について、“バディ感”がとても強く感じられますが、梶さんはどのように考えていますか?

 第1期の13話分で蓄積してきた信頼関係、絆がしっかりあるうえでの第2期という部分は、演じるときも意識していました。芦屋は何もわからない状態から物怪庵の奉公人として安倍さんのお手伝いをするようになるのですが、だんだん芦屋の芯の強さやハートの温かさが見えてきて、安倍さんもじょじょに認めてくれるようになる。第1期の終盤では安倍さんが確実に芦屋を頼りにしてくれているのがわかる描写もありましたが、第2期ではそんなふたりの絆が試されるような展開になっていきます。お互いを大事にするからこそ、あえて距離を置かなければならないような瞬間が出てきたり、信頼関係ができたからこそ、相手を大事に思うあまり傷つけてしまったり……。彼らがお互いをどれだけ信じることができるのかが、第2期の見どころです。

――安倍役の前野さんとは声優として同期で、デビューしてからお互いに苦労を重ねながら信頼関係を築いてきたことも役柄に反映されているのでしょうか?

 相手が前野くんだからと意識して演じていたわけではありませんが、無意識の部分で安心感などはあったと思います。そういう意味では、確実にふたりの関係性は演じるにあたってプラスに働いていたと思いますね。第1期のあと、不思議と一緒の現場になることが増えましたし、前野くんもますます頼れる男になっていたので(笑)、第2期の現場ではすごくリラックスして過ごさせてもらいました。

――花繪と晴齋のように頼りがいのあるパートナーなんですね。

 下積み時代を共有している相手は限られていますからね。ほかではなかなか発揮できないバディ力があると思います。

――第2期印象に残ったエピソードやキャラクターを教えてください。

 4話ですね。ヤヒコ&キナコというキャラクターが出てくるエピソードで、大谷育江さん&かないみかさんが演じられていることもあってか、深夜アニメでありつつ、子ども番組を観ているような気分になりました(笑)。お話もあったかくて、やっぱり素敵な作品だなぁと思いました。顔がにやけてしまうぐらい、ふたりのやりとりがかわいらしいんですよ。「ああ、そうやって傷つきながら成長していくんだね」と、もはや親目線でふたりのやりとりを見ていました(笑)。小さなお子さんにも観てほしいエピソードでしたね。

――第1期で登場した立法に続いて、第2期では司法と行政という新キャラクターが登場します。梶さんは彼らをどのように見ていますか?

 最初は「立法って不思議な名前だな」と思っていたのですが、第2期に司法、行政が登場して「ああ、なるほど」と。立法は諏訪部(順一)さんのお芝居も相まって非常にミステリアスな感じが際立っていましたね。頼りがいがあるようで、実は裏に何かがあるんじゃないかと思わせるような未知の存在でしたが、第2期では少しずつ真実が明らかになっていきます。それでも、芦屋と安倍にとっては変わらず頼りがいのある存在ですね。

 司法は2話で虎の姿で登場しました。それを見た芦屋はびっくりしていましたが、妖怪のいる隠世のことなので、演じる我々にとってはあまり違和感がなかったです。彼もまた立法とは違うミステリアスさがありますね。独特の口調で、原作を読んでいたときは「どんな風に表現するのだろう?」と思っていたのですが、僕の予想とはまた違ったアプローチで「さすが下野(紘)さん!」と思いました。すごく印象的でしたね。

 行政もまたまたミステリアスで、これまたミステリアスでおなじみの遊佐(浩二)さんが演じられています(笑)。諏訪部さんと遊佐さんという二大ミステリアス巨頭が参加してくださいました。行政はわかりやすく怖いキャラクターですね。彼の存在が第2期のシリアスさを担っているところがあると思います。

――では、最後にファンの方にメッセージをお願いします。

 改めて、続編をアニメとしてみなさんにお届けできて、僕も本当にうれしいです。第2期は、この作品の持つあたたかさ、妖怪を通した人間ドラマを楽しんでいただきつつ、物語の核心に迫るシリアスな部分も見どころだと思いますので、欠かさず観ていただけたらと思います。人と人、妖怪同士の関係性がいろいろな角度から描かれていて、やわらかい気持ちになったり、胸が締め付けられたりもするかもしれませんが、全部含めて本作の素敵なところだと思いますので、最後までご覧いただければ幸いです。

構成/大山くまお

〈TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』情報〉
・TOKYO MX 毎週日曜22:00~
・サンテレビ 毎週日曜23:30~
・BSフジ 毎週火曜24:30~
・AT-X 毎週土曜21:00~ <地上波より先行放送>
リピート放送:毎週(日)8:00/毎週(火)13:00/毎週(木)29:00 週1話ずつ4回放送
※各局放送日時は変更になる場合がございます。

アニメ公式サイト
http://mononokean.tv/

アニメ公式Twitter
@mononokean_tv

©ワザワキリ/SQUARE ENIX・「不機嫌なモノノケ庵2」製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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