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【インタビュー】『恋は雨上がりのように』渡辺監督×あきら役の渡部紗弓の対談で語られるオーディション秘話 – 「渡部さんの声を聞いたとき、彼女に託そうと思いました」

2018/2/1


 2018年1月よりフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送がスタートしたTVアニメ『恋は雨上がりのように』。本作は『マンガ大賞2016』『このマンガがすごい!2016』オトコ編などにランクインした人気マンガを原作とした“純粋な正統派ラブストーリー”である。

 そんな話題作の魅力をより深掘りするために、今回は、渡辺歩監督と主人公の橘あきらを演じる渡部紗弓さんにインタビューを敢行。作品の魅力のほか、渡部さんがあきら役として抜擢されたエピソードや、アフレコ現場の様子についてもおうかがいした。

(左から)渡辺歩監督と主人公の橘あきらを演じる渡部紗弓さん

作品あらすじ
陸上部のエースだったが怪我で走ることをやめてしまった橘あきら(17歳)と、夢を諦めた過去を持つ、あきらのバイト先であるファミレス「ガーデン」の店長・近藤正己(45歳)。海辺の街を舞台に、青春の交差点で立ち止まったままの彼女と、人生の折り返し地点にさしかかった彼が織りなすものがたり。

渡部さんしかいないと思ったんです

――本日はよろしくお願いします。まず、『恋は雨上がりのように』の原作に触れたときの感想について教えてください

監督:アニメ監督のお話をいただく前から原作は知っていました。店頭で平積みされている原作を見かけたのですが、とにかく絵のインパクトに引き込まれましたね。なので、今回「アニメで監督を」というお話をいただけたときには軽い興奮を覚えました。

渡部:私もオーディションを受ける前から原作を知っていました。というのも周りの人たちがみんな読んでいたので、そんな話題作ならと興味が沸いて私も読んだ覚えがあります。時間がゆっくり進んでいき、とても気持ちが落ち着く作品だなと感じました。同時に、いつかアニメ化するだろうなと思いました。

――実際にアニメ化されました。

渡部:はい(笑)。その後、オーディションを受けるにあたって改めて原作を深く読むと、青春を感じるシーンがたくさんあって……。恋愛だけではない、女子高生の様々な一面が描かれているのも、この作品の魅力だなと感じました。

――本作では、陸上部のエースだったあきらと同じ陸上部に所属していて、いまは部員を引っ張る立場にある喜屋武はるかとの微妙な関係など、恋愛以外にも様々な物語が描かれていますよね。先ほどオーディションの話がありましたが、元々あきら役で受けたいと思っていたのでしょうか?

渡部:事務所から「あきら役で」とお話をいただいたのですが、本作のなかだと私はあきらが自分に一番近いと思っていたので、意中のキャラクターではありました。また、セリフ量がそれほど多くはなく、淡々と喋る役をやってみたいとも思っていたので、あきら役でお話をいただけて本当に良かったです。

―ー監督もオーディションに関わられていると思います。

監督:そうですね。避けては通れない道ですので。

――では、渡部さんのどういうところに魅かれてあきら役に抜擢されたのでしょうか。

監督:結論からいうと、何か引き寄せるものがあったのかなと。

渡部:えっ!?

監督:オーディションって、他の方と比べて埋没しない個性だったり、他の方とは違う演技を引き出されたりする方を選びがちなんですよね。でも本来オーディションというのは、“その役のために存在している人を引き当てる”というのが本質だと思うんです。その本質に、今回、改めて気づかされました。というのも、実はあきらを演じてほしいなと思っていた方は、他にもいらっしゃったんです。だけど、渡部さんの声を聞いてからは、他は入ってこなくなった。経験が少ない・多いなど関係なく、この人に託そう、この人しかいないと思ったんです。本人が嫌だと言っても頼もうと思っていました(笑)。

――運命的ですね!

監督:こっちは勝手に運命的だと感じています(笑)。選ばれた渡部さんにとってもサプライズになるといいなと、ちょっとしたワクワクもありました。

渡部:実際、とってもサプライズでした。私は、アニメで役を演じた経験がそれほどなくて……。なので人気マンガを原作とした作品の主役を私が演じることに、驚きを隠せませんでした。同時に、そんな私を起用するのは挑戦的なことだとも思いました。だから、きっとそれには意味があると感じました。

――なるほど。では、そんなあきらを演じるにあたり、どんなことを意識していますか?

渡部:オーディション時、“普通にやってほしい”と言われました。なので、本編のアフレコが始まってからもそこは忘れずに、“普段通り”を意識しました。ただ、話数が重なっていく毎にあきらの無邪気な部分や悲しい過去を持っている部分……そういう様々な面があることに気づきました。今はそのとき、そのときに気づいたものをきちんと味付けできるよう、気を付けています。

――あきらの変化は、ファミリーレストラン「ガーデン」でのアルバイト経験や、そこでの出会いも大きいと思います。渡部さんはあきらのようにアルバイトをされた経験はありますか?

渡部:割とたくさんやっていると思います。ファミリーレストランではないのですが、飲食店関連で言えば地元・北海道のとある食堂でアルバイトをしていたことがあります。なので、アルバイトの面であきらと共感できる部分はありますね。

――どのようなお仕事だったのですか?

渡部:ゴールデンウイーク期間だけだったのですが、食券をもぎる仕事をしていました。例えばラーメンの注文が3つ入ったら、食券をもぎって「ラーメン3つです」と厨房に声をかけて、出来上がったら「ラーメン3つできました」とマイクでお知らせする、そういう担当でした。

カッコいい平田さんというフィルターが必要だった

――あきらと共通する部分もある渡部さんが今後どのように役を演じるのかにも注目して、アニメを楽しんでいただきたいですね。オーディションの話で言えば、もう一人の主人公・近藤役を演じる平田広明さんを抜擢されたのにはどのような経緯があったのでしょうか。

監督:実は、平田さんには申し訳ないくらい経緯がないんですよ。

――えぇ!?

監督:というのも、原作を一読してすぐに「近藤を演じるのは一人の人間しかいないだろう」と思ったんですよね。

――なるほど、ご指名だったんですね。

監督:そうです。平田さんに関しては最初から決まっていました。断られたらどうしようかと思っていたくらいです。

――それほどまでに「平田さんを!」と熱望された理由は?

監督:まず原作者の眉月じゅん先生から「近藤はカッコ悪い人じゃない」とうかがっていたので、それなら、ダンディーでカッコよくもあり、ちょっと拗ねる素振りも似合う平田さんがピッタリだと思ったんです。

また、近藤と私は重なり過ぎるところがあるんですよ。なので、そのまま表現してしまうとキャラクターを追い越してしまって、何だか生々しくなってしまう可能性があるなと思い、平田さんに近藤らしさを表現してもらいたいと思ったんです。最終的な出力は絵と声ですからね。カッコいい平田さんというフィルターを通したほうが自分と近藤が重なり過ぎなくていいと思ったんですよ。

――近藤とどのような部分が似ていると感じますか?

監督:世の中に身を置きながらもどこか俯瞰気味に見ていたいというところ、また、自分はまだできるはずだという気持ちを持っているのに、現実の流れの中で埋没していく自分というギャップがとても重なります。あとは、今後登場する近藤の旧友・九条ちひろと過去のことを語り合うシーンは、「おっさんサイド」としては共感できますしね(笑)。

――おっさんサイド(笑)。

監督:そう。ただ、このサイドがしっかり描かれているというのは作品の魅力のひとつだと思いますよ。原作者の先生は女性でいらっしゃいますが、おっさんサイドのこともよく研究されていて……女子高生の青春とは別の視点の物語がちゃんと描かれていて、本当に深い話だと思いました。

――確かに、この作品は見る人によって共感できるキャラクターや心情が変わるかもしれませんね。ここまでオーディションの話を中心にうかがってきましたが、実際にアフレコが始まってからの現場の雰囲気はいかがですか?

渡部:最初に平田さんとお会いしたときには、やはり緊張しました。喋りかけたかったのですが、共通の話題を探すのに苦戦して……。だから、そろそろーっと近づいていきました(笑)。そうやって少しずつお話をしていき、また久保佳代子役のかないみかさんがまとめてくださるなかで、徐々に平田さんとも、みんなとも打ち解けていけました。あとは……監督と平田さんのやり取りも見ていて楽しいですね。

監督:いやー、申し訳ない。

渡部:いえいえ! むしろあのやり取りで場が和みます。

監督:そう言ってもらえると助かります(笑)。僕から見ていると、現場の雰囲気はそのまんま「ガーデン」なんだよね。

渡部:座る位置が 私と平田さんを境に学校サイドとガーデンサイドに分かれていて……。作品の雰囲気が現場でもそのまんま出ているような気がします。

リアリティが記録できればいいかな

――現場の楽しそうな雰囲気が伝わってきます。では、アフレコ時、監督から受けたディレクションで一番印象に残っていることは何ですか?

渡部:序盤に、目つきを悪く接客するというシーンがあるのですが、そこで「もっと怖く」と言われたのが印象に残っています。当時はそんなに怖くして大丈夫かなと思いましたが、あきらはやっぱりどんどん変わっていく様が面白いんですよ。その変わっていく様が分かりやすくなるよう導いてくださったことに感動しました。また、最近は「女子高生らしく笑って」というディレクションを受けることもありますので、女子高生らしい可愛らしさも表現できるよう気を付けています。

監督:先ほどおっさんサイドの話をしましたが、あきらを中心に考えると、この作品では17歳なりの世界観とリアリティを描かないといけない、また、描き切れたらいいなとも思っているんです。渡部さんはふいに僕らのディレクション以上のものを出してくれることがあるんですよ。渡部さんが橘あきらになる、間違いなく僕はその瞬間を感じています。そこがリアリティにも繋がる気がしているんですよね。そういうリアリティが記録できればいいかなと思っています。

――本作では「リアリティ」や「自然さ」を大切にされているということがひしひしと伝わってきました。

監督:その点は非常に大事だと思っています。ただ、お芝居で自然さを表現するのはとても難しい。やっぱり役者さんである以上、演じようとされると思うので……。その演じようとすることの延長線上に自然さを出してほしいなんて、滅茶苦茶な要求をしているなといつも思っています。

渡部:そんな、滅茶苦茶だなんて!

監督:そう言ってもらえると救われます。事務所の方からは怒られてしまいますが、実は渡部さんにいまは他の役は何もやってほしくないんですよね(笑)。

――あきらだけに集中して欲しいということ?

監督:そうですね。ただ、役者さんとしては、これから大成していく、本当に注目のアクターだと思いますよ。

渡部:恐縮です。ありがとうございます!

――渡部さんの今後の活躍も期待しています。最後に、『恋は雨上がりのように』今後の注目ポイントについて教えてください。

監督:初めてふたりきりの時間を過ごすあきらと近藤……これからふたりがどういう過程を経て、どう展開していくのかまずは見届けてほしいですね。物語的には、年齢や立場が違うふたりが織り成す不協和音、すれ違いにやきもきすると思います(笑)。告白は早い段階でするんですけどね。あきらは真剣なのに、近藤はなかなか本気にしない。全然かみ合わない。

――近藤は鈍感な人という感じはそれほどしないんですけどね。

監督:「まさか自分が」と思っているんでしょうね。あきらにああいう形で告白されても、いきなり本気にはしないでしょう。そのギャップゆえのすれ違いが今後の見どころでもあります。

――その点にもリアリティさを感じます。続いて渡部さんはいかがでしょうか?

渡部:ゆっくり動くジェットコースターのような、たくさんの感情が駆け巡ったのが3話までだったかと思います。序盤はその勢いに注目して欲しいです。また、4話でのあきらの、加瀬さんと店長(近藤)への対応の違いで、新たなあきらの一面が垣間見えると思います。それが面白い。今後もそういうあきらの変化に注目していただけると嬉しいです。

 『恋は雨上がりのように』は毎週木曜24:55からフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送中。また、Amazonプライム・ビデオにて配信もされており、過去の放送を見ることもできる。

プロフィール
渡辺歩【わたなべあゆむ】9月3日生まれ。アニメーター・アニメ監督。主な監督作品はTVアニメ『宇宙兄弟』、『彼女がフラグをおられたら』、劇場映画ドラえもん『帰ってきたドラえもん』『のび太の結婚前夜』『のび太の恐竜2006』、『団地ともお』など。

渡部紗弓【わたべさゆみ】9月25日生まれ。北海道出身。シグマ・セブン所属。TVアニメ『南鎌倉高校女子自転車部』森四季役、『血界戦線 & BEYOND』ジャネット・バルロー役ほか、ナレーターとしても活躍。

<TVアニメ「恋は雨上がりのように」情報>
◆スタッフ
原作:眉月じゅん(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載)
監督:渡辺歩
シリーズ構成:赤尾でこ
キャラクターデザイン・総作画監督:柴田由香
音楽:吉俣良
オープニング・テーマ:CHiCO with HoneyWorks「ノスタルジックレインフォール」
エンディング・テーマ:Aimer「Ref:rain」
アニメーション制作 :WIT STUDIO

◆キャスト
橘あきら:渡部紗弓 / 近藤正己:平田広明 / 喜屋武はるか:宮島えみ / 西田ユイ:福原遥 / 吉澤タカシ:池田純矢 / 加瀬亮介:前野智昭

公式 HP
http://www.koiame-anime.com/
公式 twitter
@koiame_anime

©眉月じゅん・小学館/アニメ「恋雨」製作委員会



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