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絶賛公開中『傷物語〈Ⅱ熱血編〉 阿良々木暦役 神谷浩史さんに『傷物語』の見どころ、そして7年間関わってきた〈物語〉シリーズの裏話についてロングインタビュー

2016/9/16


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 3部作で構成される『傷物語』の第2部、『傷物語〈Ⅱ熱血篇〉』が現在、絶賛公開中。気になる〈Ⅱ 熱血篇〉の魅力やアフレコ時の裏話などを阿良々木暦役の神谷浩史さんに伺った。

──今回の阿良々木暦を演じるうえで、一番気を付けた点はありますか?

神谷:〈Ⅰ鉄血篇〉からの続編なので、前回からの繋がりは意識しました。なので前回同様〈物語〉シリーズの一番最初のストーリーになってくるので、阿良々木暦というキャラクターがみんなとちょっと距離を置いているところ、周りから見るとクールで不良なんじゃないかと思われているというところを念頭に置いて、キャラクターを作っていきました。その点は変わっていません。

──〈Ⅱ熱血篇〉ならではで気をつけたところは?

神谷:やっぱり前回からの繋がりというところだと思っています。〈Ⅱ熱血篇〉だから気を付けたというところは実はなくて、『傷物語』トータルで考えないといけないというところは気をつけていたんですけど。
ただ、『傷物語』が3部作ではなく1本の作品だったら、今回の〈Ⅱ熱血篇〉の一番最後の暦のセリフはああいう読み方じゃなかったかもしれません。やっぱりここで1回ストーリーが区切られるので、みなさんにお見せできるのはとりあえずここまでという認識があったのでそういう意識がはたらいたのは間違いないと思います。
なので、一体いつ作られるかわからない3本目(笑)
〈Ⅲ冷血篇〉と並べてみた時に、〈Ⅱ熱血篇〉のエンディングを飛ばして《Ⅲ3冷血篇》の頭と繋がって、『傷物語』が1本の作品として構成されたときに意識することと、3部作としてわけられていることとで意識することは多少変わってくるなと感じています。

──7年間〈物語〉シリーズと阿良々木暦に関わってきて、その間どのような変化をしてきたのかを教えてください。

神谷:もはや緩やかに変化していったものですし、まだ渦中にいるので正確にそれを伝えられるかと言うと難しいところがあると思います。
でも、やはり最初に読んだ時の印象である、誰かと会話しているところが想像つかない、コミュニケーションを取ることに前向きじゃない少年っていう印象は非常につよかったんです。
なので今回の『傷物語』は〈物語〉シリーズのエピソード0にあたるのでその点を強めに表現している部分がありました。
そこから考えると、今現在、ありとあらゆるヒロインたちと正しくコミュニケーションを取れている姿を視聴者のみなさんが想像することが難しくないので、『傷物語』の暦は逆に新鮮に感じるかもしれません。

でも、物語の時系列で言えば『傷物語』は一番最初に当たるのですが、収録している現在としてみたら一番最新作になってくるわけです。
それが僕にとっては暦に対しての7年分の理解が加わっているので、自分なりに一番最初の暦像というのを正しく理解したうえで皆さんにお届けしているつもりです。
そこに、今ファンのみなさんが思っているヒロインと割と楽しく会話している暦を当てはめたときに、違和感を感じてもらえたらむしろ正解なのかなと。

──時系列を戻して演じるのはやはり大変だったのでしょうか?

神谷:始まったのがもう7年前になるので、そう考えると人間の肉体的に7年分歳をとっている訳ですから、当時やっていたものと今やっているものでは微妙な違いがあるとは思っています。
ただ、7年前とはいえ、僕も立派な大人でしたから(笑)
そこまで肉体的に進化だったり退化だったりは無いと思っています。
なので、微妙な違いだったり成長している部分を、当時より7年分の蓄積みたいなものを重ねたうえで表現できると思っているので、先ほどの一番最初の暦像を自分のなかで正しくイメージして声で表現していくことは、難しくはあるけれど楽しい作業だと思っています。無駄ではないところもいっぱいありますしね。
『傷物語』が発売された当時に語っていた内容の裏付けみたいなものが、巻を重ねるごとに肉付けされて行っている部分があるので。

分かりやすいところで言うと、「友達はいらない 人間強度が下がるから」というセリフの裏付けが『終物語』で描かれていたりして。『終物語』も割と最近発売されたものですし、そこで初めてその言葉の裏の意味が明かされたので、それを知ったうえで口にするのと、知らなくて想像の上で口にするのとでは、僕のなかでも扱い方が変わってくるので。
もちろん(傷物語が)、制作当初に発表されていた2012年に公開できていたとしても、その時はその時で一番いいものが出せたと思いますが、その時よりも、より良いものができているんじゃないかと思います。

―─では、今まで演じてきたものを見返してみたりは?

神谷:そんなにないんですけど、『化物語』は再放送がかかることが多いじゃないですか。それでたまにTVを付けるとやっていたりして、ふと見始めると見続けちゃうんです。やっぱり映像作品として非常に優れているということが第一なんだと思うんですけど、そこに対する声優陣のアプローチも本当にマッチして作品自体のクオリティの底上げに協力できているかなという気がしていて、見ていて惹き込まれるんですよね。なのでたまにTVで遭遇して見入ってしまうということはありますね。

ただ、自分のなかで美化されている部分があるんじゃないかという思いもあるのですが、それでも、『猫物語(黒)』はすごく自分のなかで研ぎ澄まされた何かでできている気がしていて。

というのも、暦のなかで一番繊細に扱われている羽川翼との関係性を描いている物語なので、そこから『化物語』の1話に繋がる。『傷物語』の後の話がこの『猫物語(黒)』になってくるんですが、この『猫物語(黒)』が暦にとってもすごく重要な物語になっている。
『傷物語』が完結した暁には、その最後から『猫物語(黒)』をもう一回見られたらいいかなって思っています。

──〈Ⅱ熱血篇〉での忍野メメ、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード、羽川翼のそれぞれの印象を聞かせてください。

神谷:メメは前回、めっちゃかっこよかったんですが、今回は裏で交渉してくれている役どころなので、暦目線で言うとそこまで目立った印象は無いんですけど、風雲急を告げるというか、メメの一言によって全てが瓦解していくみたいなきっかけになってくる役どころので、そこはすごく見どころです。また、いつも冷静で飄々としているメメが、暦に対してシリアスに接してくる点もみどころの1つでカッコいいシーンだと思っています。

キスショットは今回その姿を刻一刻と変化させ、見た目の印象がどんどん変わっていきます。なので、きっとご覧になるみなさんは、暦とリンクしたリアクションをしてくれるんじゃないかなという気がしています。
羽川に関しては、もう前からそうなんですけどとにかく可愛い。
可愛いだけの塊なので、今回も恐ろしく完璧なる美少女として君臨していますね。ここまで色々されてしまっては、暦もその後どう接していいかわからない。暦が対羽川に対しての、特別な思いを抱くきっかけが今回の〈Ⅱ熱血篇〉で描かれています。

それで、実は原作を読んでいる時の羽川の印象と〈Ⅱ熱血篇〉で描かれている羽川の印象に、僕の印象として多少の違いが見られるんです。でもそれは、アニメーションでの切り口として尾石達也監督が見せたかったシーンだと思うんですよ。羽川と暦の関係値がここで築きあがっていくところを見せたいんだと思うんです。
原作のニュアンスと絵面が真反対に見えるシーンが結構あって。一番最初、原作を読んで暦像を作ってきた僕の印象とは齟齬があるんですけど、映像的に美しいのは尾石監督が持ってきているもので間違いないので、それに対して原作のニュアンスをどこまで乗せられるかというところが今回の僕の戦いどころでした。
なので顔の表情が見えないセリフでそれを滲ませてみたりとか。顔の表情と出ている音とでもしかしたら不一致を感じるところがあるかもしれないんですが、それは心情的に羽川とはこういう距離感でいたいっていうのが、絵面的には全然違う距離感になっていたりもしているところもあるので、原作とアニメを繋ぐ役割を、僕は任されてるのかなと思ったりもしているので。
一応テストでやってみて、良いラインを縫ってOKを頂けているで、きっと成立していることと思います。

──今回初めて声が付く、ドラマツルギーやエピソード、ギロチンカッターの印象。個人的に気になるキャラクターを教えてください。

神谷:〈I鉄血篇〉がキスショットとの邂逅にスポットを当てているとしたら、〈Ⅱ熱血篇〉はドラマツルギー、エピソード、ギロチンカッターとのバトルが中心になってきます。それぞれの印象としては、“絶対勝てない”“全く歯が立たない”です。
暦は無敵の吸血鬼の力を得たとはいえ、精神的には人間のままなんです。その力をどう扱っていいのか全くわからないというか。

まったく違う話になってしまうんですが、10年前に事故で入院して1月ほど寝かされていた時に、足の筋肉がほとんどなくなって歩けなくなってしまったんです。その時に自分のイメージとしては歩けるんですが、体がついていかなくて歩けないんですよね。それで少しずつに歩けるようになってくると、今度は走れると思うんですけど体が動かなくて走れない。イメージと体が乖離していて自分の体をうまく扱えない。扱えるはずなのに扱えない、すごく怖いなという経験があって、それの真反対だと思うんですよね。

自分の体はこれぐらいしか動かないと思っているのに、実はそんなことは無い。そういうイメージを埋めていく作業があって、原作では羽川に漫画のバトルシーンを参考にしたほうがいいとアドバイスをもらったりするんですけど。
まさにそういうことで、自分のなかにイメージがないからどうやったって戦えない。そういう精神状態のなかで一瞬で現実を飛び越えてくる存在と対峙しなければならず、まったく勝ち目がないだろうっていう絶望から始まるんです。

でも状況的なもので、絶対勝たなくてはならないっていうのがあるので、その状況が彼を先へ先へと突き動かしていきます。原作を知っている方は結果をわかってみることになると思いますが、それでも“これは勝てないかも”というものを見られると思います。それが今回3バトルある訳ですよ。
これはもう、演じているほうも本当に疲れますよ(笑)。

今回は2日に分けて録ったんですけれど、まずドラマツルギーの江原正士さんは、これは倒せないなって思いながらやっていましたね。
エピソードを演じている入野自由さんは年下ではあるんですが、キャリアは彼のほうが上なので、先輩の胸を借りるじゃないですけれど全力でバトルをさせてもらいました。

ちなみに僕は、個人的にギロチンカッターは好きですね。大塚芳忠さんが、一人称を“僕”っていうのがたまらないです(笑)。

──神谷さんから見て今回一番活躍したキャラクターは誰でしょうか?

神谷:今回はどう考えても羽川ですよね。……羽川です。
とにかくメチャクチャ可愛いですよ。でも羽川って完璧すぎるので、その完璧すぎるところが原作を読めば読むほど怖くなってくるんですけれど。
今回、絵の部分はとにかく綺麗で可愛いキャラクターとして描かれていて、友達であるところの阿良々木暦に対して本当に身を粉にして協力してくれるんですよね。

男の人は非常にわかると思うんですけれど、暦目線で物語を見ると羽川翼が協力的になってくれることに対して理解ができないじゃないですか。なんでこんな美少女が、今までしゃべったこともないのにこんなに良くしてくれるのかわからない。そういう戸惑いが暦のなかにあるし、それを僕は表現するべきだなと思いました。

ただ、割とそれを受け入れてるんですよね、〈Ⅱ熱血篇〉に関しては。例えば羽川に対して感謝をするシーンがあるんですが、アニメだと“キザに”っていう指定があるんです。でも暦の線引きとしては、他人ではなく友人だから。
友人を作らないという生き方をしている人間が、友人として認めて、それに対して精一杯の感謝を言うシーンなんですが、それを“キザに”“カッコよく”と演出されているんですよね。そこの僕の暦に対するイメージと、今回お見せする羽川をとにかく可愛く見せたいというものに対してのイメージの差があると思うんですけど、それが効果的に作用していて。だって、「ほんとうにありがとう」ってキザに暦に言われてちょっと動揺しちゃったりするんですよ、羽川が。原作にはそういう描写はどこにもないじゃないですか。
…そりゃ可愛いですよね。

だから僕が暦に対して違和感があるように、たぶん羽川に対しても違和感があると思うんですよ。でも、それはでもとってもいい違和感だと思うので、絶対羽川が好きになっちゃう話です。

──お気に入りのキャラクターは羽川さんとのことですが、その気持ちが強まった部分は?

神谷:今回の羽川との絡みで一番の見どころになる、羽川がとあるアイテムを暦に渡すところです。あのシーンはメチャクチャ可愛いです。あとは、あんなものをキーアイテムに使っているのに、ものすごくいいシーンに見えます(笑)。原作の西尾先生と、それを映像化する尾石監督と新房昭之総監督は、天才だなって思いましたね。だってあんなもの感動的に絶対見えないじゃないですか!

──人間強度の話もありましたが、神谷さんから見て羽川と友達になった暦の人間強度はどうなったでしょうか?

神谷:もう激下がりでしょうね!
これはもうどうしようもないくらい下がっているんです、羽川と出会ったことによって。猛烈に青春していますよ、今回の〈Ⅱ熱血篇〉は。
バトルの激しいところと、羽川翼との高校生らしい青春とのギャップがもの凄いと思います。

──男性から見た阿良々木暦の魅力はありますか?

神谷:実は、渦中にいる間は自分の演じるキャラクターの魅力は考えないようにしているんです。それを知ったうえでやってしまうとあざとくなってしまうので。僕やらしい人間なので(笑)
なので、自分の性格も考えるとあまり考えないほうがいいんじゃないかと思って。阿良々木暦という人間がどういう風に魅力的に映っているのかは考えないようにしています。

だから未だによくわからないんです。なんで人間的に魅力があるのかわからないです。でも、これだけの人に愛される作品の主人公としている訳だから、嫌われてはいないんだろうなと思うんですよね。
だから、僕のこれまでの関わり方は間違ってなかったのかなとは思っています。

ただ、欠点は一杯見つけられるんですよね。まずだらしないじゃないですか、女性に対して。
対男性との関わりってそんなにないんで、メメはすぐ居なくなっちゃいましたし。後は貝木泥舟くらいなんですが、その貝木との繋がりもよくわからないじゃないですか、たまに助けて貰っちゃいますし。あんなに憎くって、本当にコイツ何なんだよって思って。

でも三木眞一郎さんが演じることで、人間なんだっていうのがわかっちゃって。完璧な人間ではないんだこの人、完璧な悪じゃないってわかった瞬間に、僕も憎めなくなっちゃったんですよね。
だから最初は、何かあった時に仕方なしにコイツに聞くかっていうところで、ドーナツ屋でサシでしゃべったりするのが理解できなかったんです。
でもアニメをやって理解できたんですよね。だらしねぇな暦とか思ったりもしましたけど。
そういうところは、コイツなんだよって思うことはありますが、ここがカッコいいなっていうところは未だに思いつきませんね。

──演じていて特に大変だったり、印象に残っているシーンはありましたか?

神谷:やっぱりバトルは大変でしたね。一瞬でも油断すると死ぬと思って行動していないと勝てないと思ったので、とにかくバトルに入ったら全力って感じでした。逆に、こっちが絵が動いているところに全部演技を付けるというアプローチだったので、それと戦っている方々はフラストレーションが貯まったと思います。

ドラマツルギ―を演じる江原さんとかも、「そっちがそれだけやっていると俺もやりたくなっちゃうんだけど」って言うんですが、(ドラマツルギーは)メチャクチャ強いので。要所要所で一発強いのをくれれば大丈夫ですと言われていて、江原さんは「もっとやれるのに、もっとやりたい」って。そこは抑えてくださいって言われていたのが印象的でした。
絵があれだけ動いてお芝居していると、それに対してこちらもお芝居したくなるんですけど、そこにあえてこちらのお芝居を要求しないところで強さを表現していて。

ただ暦に関しては、動いているところはとにかく全部やっておかないと勝てない。そういう必死さみたいなところが表現できていればなと思って演じました。

ただ、やっぱり2戦戦った後に羽川とのシーンをやったんですけどそれは相当疲れましたね、何でこの順番なんだろうって(笑)

羽川とのシーンを演じてからバトルだったら良かったんですが、スケジュールの問題もありますしね。
でも必ず相手の方と掛け合いで収録するというところは守っていただいてましたので。
それでも順番が上手く行かなかったりして、散々声を使った後に普通のシーンがやってくるっていうのがありました。

──今回は劇中で暦がダメージを受ける描写が多いですが、アフレコは大変でしたか。

神谷:大変は大変なんですが、絵がちゃんとお芝居してくれているのでやりがいはありました。だから、どこにどれだけのダメージがあるのかは絵から情報を得られるんです。
でも今までのTVシリーズだと全然何をやっているのかわからないなっていうことが何回かあって(笑)。
具体的に言うと、神原駿河とのバトルと千石撫子の蛇ですかね。
蛇に関してはオンエアを見たらわかったと思いますけど、全く絵が間に合っていなかったので(笑)
それは完全版みたいな形でDVDに入れますよね。もうこれも最早ネタみたいになっていますけれど。
あそこは、もうどんなことになっているのか全然わかんなくて闇雲にやっていましたね。結果、足を折られているのに音がない。うわぁ、ここ絶対必要だったじゃんというのが何箇所かあって。それも全部後で足させていただいて完成には至っているので大丈夫なんですけど。

でも今回はそういうことはなく。上を向いているのか下を向いているのか、階段を下りるリズムで息の弾ませ方を変えたりとか、走るスピードで呼吸の速さが変わってきたりもするので。今回はそういったところにまでこだわっています。そこまでこだわってやれるっていうのは、僕自身好きなんですよね。
だからできる限りそれを再現しようという意気込みで、アフレコには参加していました。

──7年間携わってきた『〈物語〉シリーズ』は神谷さんにとって、声優人生でどのような位置づけですか?

神谷:まだ渦中にいるのでこれがこうだったというのを正確にお伝えするのは難しいのですが、本当にありがたい作品に巡り会えたなと思っています。

今は新しい物に対して価値を見出すことがトレンドのような感じがしていて、次から次へと新しい物が生み出されていて、OAが終わってしまうと過去の作品として扱われてしまうという現状の中で、声優としてこの作品に出ていますと言える代表作というのがなかなか生まれにくい世の中にあると思うんです。

そのなかで僕は〈物語〉シリーズ阿良々木暦という役を頂いていて、それを表現出来る場があるというのは本当に幸せな状況ですよね。
でも、もちろんそれが枷でもあったりするんです。「何をやっても阿良々木暦だなお前は」と言われる原因にもなってはいるので。
でもそれは今後の自分の課題として持っておかなくてはいけないことだと思うし、それだけの人にアプローチできていると考えると、その役が自分の声で喋っているんだと思うと誇らしい部分では当然あるので。
西尾先生が〈物語〉シリーズを書き続けてその中に存在している阿良々木暦のセリフがあったとしたらそれは完結するその時まで全ての阿良々木暦のセリフが僕の声でみんなの頭のなかで響いていれば最高だし、それをアニメーションという形で表現するにあたっては僕の声で喋ってくれたらいいなと思います。

──アニメーション『化物語』の魅力の1つとしてBD/DVD特典のキャラクターコメンタリーがあります。『傷物語』でもキャラコメンタリーが収録されるされるそうですが。

神谷:もうオーディオコメンタリーは出たくないとずっと言っているんです。しんどいのがわかっているので。
キャラクターコメンタリー、キャラコメと言われるものですけど、〈物語〉シリーズで作ったのは西尾維新なんですよ。キャラコメはちょっと流行ったけど継続してやっている作品って、なかなか無いじゃないですか。
だから、いかに西尾維新という作家がすごいのかという証明なんです。
ただ、あまりにもすごすぎるので、役者に対する負担がハンパじゃないんですよ。だからみんなやりたくないんです。ホントは(笑)

セリフ量も半端じゃないですし、このキャラクターとこのキャラクターを組み合わせて一体どんな物語が生まれるのか、絶対本編では関わりないようなキャラクターたちで攻めていきますから。
でもそこにちゃんと整合性を持たせて、このキャラクターたちはこういうトークになるだろうな、この2人のトークを見たいなというものを攻めて作ってきますから、これは恐ろしい才能だなとおもいます。

でもそこに阿良々木暦というキャラクターが絡んできてしまうと阿良々木暦と誰かというのは想像しやすいんですよね。
そういった意味ではキャラコメンタリーに関しては想像の出来ないようなチャレンジの場というふうに多分、変わってきているので、暦と誰かと言うのは想像しやすいんですけど、このキャラとこのキャラが!?というところでの意外性というのを提示できる場としては、こんなものが出来るのは世の中で西尾先生だけでしょうねという印象ですね。

まあ…でもやりたくないです!
黎明期から知っている僕としては本当に女性声優陣が相当苦労してやっているのを目の当たりにしてきましたから。
で、僕も一回だけやらせてもらって相当苦労した結果として、割とやりやすい形にある程度整ったところで僕はやらせてもらっているんですけど、これをずっとやってきたんだ、堀江由衣さんは…と思うと本当に頭が下がりましたね。

—─少し気が早いですが3作目〈Ⅲ冷血篇〉に期待していること、意気込みをお願い致します。

神谷:今回の『傷物語』は3本に渡って1人の作家によって書かれているものなので、最後まで統一された何かというものが一本芯が通っているんです。見せたいものがあるから、そこにたどり着くまでに紡がれている物語なので、本当に見せたいものはこの後にあるし、『傷物語』はBADENDの物語なので、どんなBADENDが待ち受けているのかというのは期待していただければと思います。

──最後に本作〈Ⅱ熱血篇〉に期待しているみなさんへのメッセージをお願いします。

神谷:とにかく見てもらいたいですよね。前作をご覧になった方は当然続きが気になっていると思いますが、その続きとして見たかったものが間違いなく全部見られると思います。
また、全く知らない人でも、今回の作品は映像作品としてとにかく優れたものになっているので、アニメーションとしての本質である絵が動くというところ。今回はバトルシーンやアクションシーンに力点が置かれているんですが、そこが動の部分だとしたら静の部分である羽川との青春のシーンはとても美しものとして描かれていますし、そこのメリハリが何回か重なってくるんですけど、そこを見ているだけでも気持ち良いんですよ。
次どうなっちゃうんだろうって、興味をそそる話になっていると思います。
それはもちろん原作通りなんですが、その原作を日本のアニメーションの真ん中で活躍しているシャフトという制作会社、そして映像監督として尾石達也さん。その監督が、本来だったら2012年に公開しなきゃいけなかったものを、2016年まで引っ張ってまで見せたかった何かというのが、もの凄い詰まっているので、ご覧になる方々の期待を絶対裏切らないものになっているはずです。ぜひ劇場に足を運んでその目で確かめて貰えたらと思います。

楽しんでもらえたらもう一本〈Ⅲ冷血篇〉が控えているのでこの物語がどういうふうに落ち着くのか。
そのあとには『猫物語(黒)』そして『化物語』。さらに多くの「物語」シリーズの映像作品に繋がっていると考えると、ここでこの映像の楽しさに気づいて貰えれば、こちらはそれだけの楽しみを提供できるというところにもつながってきますので、ぜひ劇場に足を運んでくれたら本当に嬉しいです。

『傷物語〈Ⅱ熱血編〉』公式サイト
http://www.kizumonogatari-movie.com/



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