『新世紀エヴァンゲリオン』関連の楽曲を歌う高橋洋子、新曲「赤き月」で意識したことは「母性」【インタビュー】 | 超!アニメディア

『新世紀エヴァンゲリオン』関連の楽曲を歌う高橋洋子、新曲「赤き月」で意識したことは「母性」【インタビュー】

1995年から1996年にかけてテレビ放送され、主題歌を含み社会現象を巻き起こした『新世紀エヴァンゲリオン』。その後も劇場版をはじめさまざまな展開をし、世界中に数多くのファンがいる不朽の名作となった。そんな『新世紀エヴ …

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 1995年から1996年にかけてテレビ放送され、主題歌を含み社会現象を巻き起こした『新世紀エヴァンゲリオン』。その後も劇場版をはじめさまざまな展開をし、世界中に数多くのファンがいる不朽の名作となった。そんな『新世紀エヴァンゲリオン』がNetflixにて“月額制定額制オンラインストリーミングサービス”初の全世界独占配信が決定。6月21日(金)よりTVシリーズ全26話に加え、『EVANGELION: DEATH(TRUE)2』、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が配信される。

 今回は配信の決定を記念し、「残酷な天使のテーゼ」をはじめ、シリーズのさまざまな楽曲を歌う高橋洋子にインタビュー。これまでの活動に加えて、5月22日から発売中のミニアルバム「EVANGELION EXTREME」についてもおうかがいした。


ーー『新世紀エヴァンゲリオン』(以下、『エヴァンゲリオン』)のTVシリーズが放送されてから24年が経ちました。高橋さんにとってこの24年はどのような年月でしたか?

「残酷な天使のテーゼ」のレコーディングをしたときはまだ絵も観たことがないし、ストーリーも知らない状態でしたが、実しやかに「すごいアニメらしい」という噂だけうかがっていました。ただ、その噂を聞いた私の想像をはるかに超える勢いで全世界に広がっていったことにとてもビックリしましたし、それだけの力のある作品に参加させていただけたことを光栄に思っています。

――世界的に有名な作品になりましたが、高橋さんは『エヴァンゲリオン』がここまで多くの人に支持されるのにはどのような理由があると感じていらっしゃいますか?

 哲学的な要素があること、あとはシーンが日常的であるからだと思います。例えば主人公。普通の少年が自分の弱さをさらけ出すんです。その姿に勇気をもらえるという方も多いのではないでしょうか。また、『エヴァンゲリオン』はさまざまな捉え方のできるアニメですので、皆さんと話しているとそれぞれ意見や見解に違いがあるんですよ。みんなの中で答えが違う。あれがよくてこれはダメということを誰も決められない。だからこそ面白いんだと思います。

――年齢をよっても見え方が変わってくる気がします。

 変わりますよね! 現に私も変わりました。最初に観たときとは作品に対するイメージが違うので、やっぱり深い作品だなと思います。

――そんな『エヴァンゲリオン』が6月21日よりNetflixにて世界に配信されることが決定しました。

 全世界同時に作品を観られる、しかもあの物語を観て感じたことを共有できるのはとても革命的なことだと思っています。国境を越えて感情や感想を共有できるということが個人的にも嬉しいですし、期待もしています。


――高橋さんはそんな作品において、これまた世界的にファンの多い主題歌「残酷な天使のテーゼ」を歌唱されています。改めて、最初に歌詞や曲に触れたときの感想を教えていただけますでしょうか。

 最初の印象は正直、曲も詞も難しいなというものでした。当時、デモテープという形で仮メロディが入ったものをいただいたのですがテンポも早くて、息遣いする場所すら困惑した記憶があります。何より歌詞がどういう風につくのかが予想できなかった。だって、「残酷な」「天使の」「テーゼ」ですよ。天使なのに残酷ということに驚きを隠せませんでした。ただ、作詞を担当された及川眠子さんのすごいところで、歌詞がピッタリハマるんです。レコーディングを終えた頃には「この曲はヒットするだろうな」と思うようになっていました。

――「残酷な天使のテーゼ」は実際に世界中で認知されるアニソンになりましたが、高橋さんのなかでレコーディング当時と今で曲に対する印象は変化していますか?

 変化しています。1995年の放送当時は社会現象にもなって、作家でもない一人のアーティストの私がコメントを求められるくらい反響がありました。だからこそ責任を持たないといけない立場なんだと気づかされたという気持ちが当時は強かったんです。その後、さまざまな展開を経て、現段階ではワールドツアー(エヴァンゲリオンワールドツアー)中なんですけども、世界中の方が『エヴァンゲリオン』の曲を日本語で歌います。世界中が大合唱になる。これは本当に感動します。アニソンは国境を超える最強のパスポートだなと改めて痛感しました。そして、『エヴァンゲリオン』はその力を持っている作品だとも感じています。今ではその時々に感じたことを受けて、私自身も日々進化しながら歌っています。

――歌う時々で想いも変わっている?

 そうですね。行く国々にもよりますし、状況によっても変わります。「皆さんどれくらい知ってくださっているかな」と思いながらやっていた過去と大合唱してくれる今では、自分のなかでも「残酷な天使のテーゼ」に対する印象が違っていますね。

――「残酷な天使のテーゼ」以外に高橋さんはこれまでさまざまな『エヴァンゲリオン』の楽曲を歌われてきました。そのなかでも遊技機の曲に加えて新曲「赤き月」を収録したミニアルバムが5月22日にリリースされました。

 昨年(2018年)の6月に「残酷な天使のテーゼ」と「魂のルフラン」が収録されたマキシシングルをリリースしました。これはこれまでこの2曲が収録されたCDがなかったこと、また世界中の方がこの2曲を日本語で歌ってくださいますので、ローマ字表記、歌詞の英語翻訳を付けたものを出そうという意図からリリースしたものです。ジャケットもエヴァのイラストにしていただき、皆さんにも非常に喜んでいただけました。この一枚が高橋洋子の名刺代わりになった気がします。ただ、これ以外にも実はエヴァに関連したイメージ楽曲などが存在します。それをひとつのCDに収録して多くの方に聞いていただきたいと思ったのが今回のアルバムを出すきっかけとなりました。また、新曲についてはやっぱり『エヴァンゲリオン』の名前をアルバムタイトルにつけている以上、尖った作品にしたいと思い、既存曲にプラスアルファの一曲も加えることにしたという経緯がございます。

――なるほど。新曲「赤き月」はどのような楽曲に仕上がっていますか?

 今の私が『エヴァンゲリオン』と聞いて思い浮かぶイメージ、そして皆さんとも共有できるのではないかと思っていることが「母性」。私自身も1児の母、しかも14歳の少年・少女のお母さんくらいの年齢でもあります。だからこそ、シンジくんやアスカ、レイに対して私はどういう気持ちで彼らに何を伝えられるのか、また彼らのお母さんはどういう想いを抱いていたのかを詞にして歌いたいと思ったんですよね。当然、『エヴァンゲリオン』という名の中でやらせていただくわけなので、逸れたものは作れませんし、私自身、監督をはじめとする制作スタッフの皆さんをリスペクトしていますので、イメージに逸脱しない範疇で曲を制作しました。

楽曲の面でいえば私自身まだまだ新しいことにチャレンジしたいと思っているので、今回はヒューマンビートボックス、いわゆる人間が楽器となりリズムを刻むということに挑戦しています。もうひとつ意識したのはライブ。いま私と一緒にライブを回ってくれているメインダンサーが二人いるのですが、彼らがダンスバトルできるようなサウンドを取り入れたり、みんなで合唱ができるパートを取り入れたりしています。そういう意味ではCDだけの音源では完成形ではございません。ライブでお客様も入っていただくことで初めて完成するのが「赤き月」です。事前に聞いて、覚えてライブやコンサートに参加していただきたいなと強く思う一曲ですね。

――具体的にどのように予習していけば楽しめますか?

 CDを聞いていただければすぐに全員で歌うパートは分かると思います。「ナナナナ」と歌いますので、歌詞も心配ございません(笑)。あとは皆さんそれぞれに『エヴァンゲリオン』に対する想いがあるはずなので、歌いたいところを歌って、踊りたいところを踊っていただければと思います。

――高橋さんは『エヴァンゲリオン』以外にも『灼眼のシャナ』などさまざまなアニメで主題歌を歌われていますが、アニソンを歌ううえで特別意識されることはありますか?

 それはないですね。いただいた楽曲・詞・作品に対してできる限りのことをする、自分のなかにあるスキルを出し惜しみなく全部出すという形でどの曲も歌わせていただいているので、アニソンだからどうこうというのはないですね。

――なるほど。ちなみに、最近はどんなアニメをご覧になられましたか?

『BACK STREET GIRLS-ゴクドルズ-』とか好きですけど何か(笑)?あの作品はそれこそNetflixさんで観てハマりましたね。あとは主題歌を歌わせていただいた『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』なんかもよく出来ているなと感心しながら観ていました。その他『NARUTO -ナルト-』、『ハイキュー!!』、『僕のヒーローアカデミア』『ジョジョの奇妙な冒険』や『弱虫ペダル』なんかも追いかけています。

――色々とご覧になられているんですね。

 なんでも観ます。『PSYCHO-PASS サイコパス』も早く続きが観たくて仕方ないです。どんどん出てきちゃうのでそろそろ止めたほうがいいですよ(笑)。

――かしこまりました(笑)。高橋さんもたくさんの作品をご覧になっているアニメですが、魅力はどういった点にあると感じていますか?

 想像以上のことが表現できるところじゃないですかね。アニメってどこにもないような惑星を表現することだってできるじゃないですか。それが面白い。

――ファンタジーなんかでいえば全く違う世界という場合もありますもんね。

 そうですよね。可能性がたくさんあるので観ていて楽しいです。

――本日は色々とお話いただきありがとうございました。最後に高橋さんがプロとして歌ううえで意識されていることについて教えていただければと思います。

 自分のなかで矛盾がないようにしないといけないと思っています。書道家が書道下手だったら成り立たないのと同じで、プロなんだから歌が上手というのは当たり前だと思うんですよね。その当たり前の技術があったうえで、基礎や自分の苦手なことを克服していく練習は欠かさず、どんな時でも出し惜しみせず精一杯歌うことがプロとして大切なことなんじゃないかな。また、私は生き方が歌に表れると思っています。歌手を引退した時期があったのは、人としてまずはどうであるかということを見つめ直すためでした。だから、プロとしてどう生きていくのか、ということも大切にしています。


プロフィール
高橋洋子
【たかはし・ようこ】8月28日生まれ。東京都出身。ポッシブル所属。1991年「P.S. I miss you」で、ソロ歌手としてメジャーデビュー、 レコード大賞新人賞、有線大賞新人賞を受賞。これまでに、シングルCD27枚、アルバム13枚、ベストアルバム8枚をリリース。2018年~2019年にかけて、フランス、北京、香港、広州、上海、台湾、ロシアなど海外でのライブ活動も行っている。

 「EVANGELION EXTREME」概要
発売日:発売中
定価:2,000円+税
収録楽曲:
M1:赤き月
M2:暫し空に祈りて(パチスロ『EVANGELION』テーマソング)
M3:慟哭へのモノローグ(新パチスロ“新世紀エヴァンゲリオン~魂の軌跡~”テーマソング)
M4:残酷な天使のテーゼ 2009VERSION(CR新世紀エヴァンゲリオン ~最後のシ者~ イメージソング)
M5:赤き月 off vocal ver.


(C)カラー/Project Eva. (C)カラー/EVA 製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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