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【インタビュー】オーイシマサヨシ、アニメ『多田くんは恋をしない』OP曲で「連想したのは写真です」

2018/5/22



 『月刊少女野崎くん』のスタッフとオーイシマサヨシが、4年ぶりに再び最強タッグを組んだ『多田くんは恋をしない』(以下『多田くん』)のOPテーマ「オトモダチフィルム」は、オーイシのヒット曲「ようこそジャパリパークへ」にも通じる“オーイシ理論”によって作られていた。楽曲にまつわる“初ミミ”満載のインタビューが、現在発売中の「アニメディア」6月号に掲載されている。「超!アニメディア」では、誌面では紹介しきれなかったロング版インタビューをお届けする。

──『多田くん』という作品について、どんな印象ですか?
 4年前の『月刊少女野崎くん』に携わったスタッフが、再集結してオリジナルアニメを作るというところで、気合いとモチベーションの高さをひしひし感じます。僕自身は、約1年前にKADOKAWAの音楽プロデューサーから「オーイシくんもやらない?」とお声がけをいただいたのですが、「やら」くらいのところで、食い気味に「やります!」と返答したことを鮮明に覚えています。

──『月刊少女野崎くん』は、オーイシさんの名前を広めた作品ですからね。そのスタッフによる作品ですから、ここにオーイシさんの名前がないと始まらない。
 メガネをかけてアコースティックギターを持った、カタカナの「オーイシマサヨシ」という存在を印象づけることができて、アニメファンの方の間での認知を広めるきっかけになった作品ですから。当時から僕も少しは成長できたと思うので、この『多田くん』で恩返しではないけど、作品に貢献したいと思いましたね。

──楽曲「オトモダチフィルム」はとてもポップで、90年代の渋谷系とかの都会的でオシャレな楽曲という印象でした。
 たしかにそうですね、物語の舞台となるのが銀座にある老舗喫茶店なので、都会的かつレトロな雰囲気をサウンドでも表現できたらと思いました。“オシャレアーバン”というか。自分のイメージとしては、70年代のディスコっぽいビート感とか60年代のモータウンっぽいメロディ感とか、どことなくなつかしさを漂わせながら踊れる楽曲を意識しました。ただ全体のメロディは、日本人が口ずさみやすい、いわゆるJ−POPの王道のようなものを目指して作っています。たくさんの人に歌ってほしいので、キーもあまり高くしていないし、簡単な歌詞や節回しなので、みんなが歌える“みんなの歌”になったらうれしいです。

──シナリオを読んで、こういう曲調がパッと浮かんだのですか?
 そうですね。ただ、作って一発OKではなくて。『多田くん』はオリジナルアニメなので、原作ありきのアニメのようにイメージが固まっていない。自分が感じた作品像と制作側の方の持つ作品像には、少なからずブレやズレがあるわけで、今回は可能な限りズレをなくして、作品の世界観とピッタリとマッチしたものを作るのがいいと思いました。そのぶん時間はかかりましたが、ゴルフにたとえれば、ホールインワンだろうが、ボギーだろうがバーディーだろうが、球をホールに入れる作業に変わりはないので、細かい部分ですり合わせていく作業により時間をかけました。

──パットで刻んだわけですね。歌詞に、カメラに関したワードがたくさん出てくるのは、多田くんが写真部だし、写真が物語のキーアイテムになっているからで。
 そうですね。「ファインダー」とかタイトルにもある「フィルム」とか、写真にまつわるワードは入れたいと最初から考えていました。タイトルの「オトモダチフィルム」は、“お友だちのままアルバムにしまった恋”といった意味で付けました。学生時代に好きだった子がいても、恥ずかしくて告白しないうちに卒業を迎えてしまうことって、みなさんも経験があると思います。僕もそうだったので、そういう実体験とリンクさせながら書いていきました。

──荒井由実(現・松任谷由実)さんの「卒業写真」とか、松田聖子さんの「蒼いフォトグラフ」、大塚愛さんの「恋愛写真」など、名曲には写真にまつわるものが多いですよね。
 僕が写真で連想したのは、写真を撮った瞬間にその場面が過去になっていくということ。おっしゃる通り、多くのJ−POPで消化されてきた哲学で、それだけ普遍的なモチーフなのだと思いますね。今回の曲でも、好きな気持ちが過去に焼き付いてしまう前に、友だちという色眼鏡を捨てて、君を“好きな人”というレンズで見ようと歌っています。多田くんに限らず、どのキャラクターの視点からもマッチする歌詞になっているので、それぞれでいろんな角度から楽しんでほしいです。

──オーイシさんご自身は、実際にカメラはやるんですか?
 動画の生配信をするために、最近一眼レフを買ったんですけど、ちょうど買ったばかりの時期に曲作りだったんです。それで何かの着想が得られればいいなと思って、すぐ手に取れる場所にカメラを置いて作業をしていましたね。シナリオやキャストさん情報、キービジュなど、ヒントは多いほうがいいですから。制作スタッフさんのお顔も浮かべましたよ。一緒に作品を作っている方の顔が浮かぶと、より頑張れますからね!

──今はデジタルが主流ですけど、歌に出てくるのはフィルムカメラですね。
 物語に出てくるのも実際にはデジタルですけど、フィルムのほうがノスタルジックだし、“思い出を焼き付ける”という言い方もありますしね。それにカメラのフィルムって引っ張り出すと1本に繋がっていて、コマが時系列に並んでいたり、どんどん巻き取られて過去になっていく感覚が、歌詞の意味合いとも合うと思ったし。それに写真まわりの歌詞フレーズが音として耳に入った時に、フィルムカメラのほうが受け取ってもらいやすいんです。たとえば歌詞に“思い出をSDカードにしまって”とか出てきたら、ちょっと興冷めするじゃない(笑)。

──確かに趣きがないですね。
 情緒がないんです。そういう音に乗って真価を発揮する言葉と、文字として真価を発揮する言葉があって。実際はSDカードでもあえてフィルムと置き換えるのは、作詞スキルの一つでもありますね。

──サウンドでこだわったのは?
 生のストリングスを使っていて、僕が基本の譜面を書きました。ただプレーヤーさんに譜面を見てもらったら「こんなの弾けない」って言われましたけど(笑)。ストリングスをやっている方でないと分からない部分も多くて。最終的には、なるべく僕が書いた譜面に近い形で再現していただきました。そのかいがあって、とても気持ちのいいダブカル(弦楽器の8人編成)サウンドが録れました。

──サウンドについては、視聴者の反響もすごくいいですよね。
 放送前にSNSで検索してみたら、先行上映会や曲が使われた『多田くん』のPV映像の感想があって。「イントロだけでオーイシだとわかった」という方がたくさんいらっしゃったんです。僕も自分の曲のことながら、イントロができた段階で、「これは勝ったな!」と思ったし(笑)。アニメソングは、頭の8小節まで勝負が決まると言うか。「今週も『多田くん』が始まる!」とか「イントロを聴くとワクワクする」とか、感じてもらうことが重要なんです。

──イントロが、すでにどういうアニメかを物語っているわけですね。
 はい。僕が書いた他の曲で、『けものフレンズ』の「ようこそジャパリパークへ」も、頭のホルンの音だけで何となくサバンナ感が出ているし、同時に物語へのワクワク感も表現できていた。89秒のアニメテーマソングにおいて、頭の5秒間で何を示唆するかがもっとも重要で、今回もその理論にのっとってできたかなと思います。

─この曲が、どういう人により伝わったらうれしいですか?
 『月刊少女野崎くん』の時は、曲から入って、あとからアニメ作品のことを知っていただくことが多かったんです。つまり楽曲自体がJ−POPとしてみなさんに消化していただけて、そのうえでアニメ作品に逆流する現象があった。今回も、変にアニソン然としていないのにしっかり89秒のアニメソングというフォーマットに収まっています。仮に『多田くん』の放送期間が終了しても、J−POPの良曲として残っていけたらいいなと、淡い期待を寄せています。自分で言うのはおかしいけど、それだけ音楽偏差値の高い楽曲ではないかなと。ちょっとしたオシャレ感とか、気の利いた部分がしっかりある楽曲を作ることができました。誰かがカラオケで歌って、友だちが「誰の曲?」「え〜アニソンなんだ!」とか、逆輸入じゃないけど、そういう反応がいただけるものになったらいいなと思っています!

<プロフィール>
【オーイシマサヨシ】2001年にロックバンド=Sound Scheduleのボーカル&ギターとしてデビュー。2008年に大石昌良としてソロデビューし、並行してオーイシマサヨシ名義とTom-H@ckとのユニット“OxT”としても活動し、『月刊少女野崎くん』『ダイヤのA』やテーマソングを手がける。楽曲提供もおこない、『けものフレンズ』OPテーマ「ようこそジャパリパークへ」がヒット。TRUEの最新アルバム『Lonely Queen’s Liberation Party』では、バラード楽曲「酸素」を提供している。

<CD RELEASE INFORMATION>
「オトモダチフィルム」オーイシマサヨシ
5月23日発売
KADOKAWA
1,296円(税込)



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