『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』キーマン役・神谷浩史の変わらない思いー「『ヤマト』はSFアニメの古典」 | 超!アニメディア

『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』キーマン役・神谷浩史の変わらない思いー「『ヤマト』はSFアニメの古典」

不朽のSFアニメ『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』をリメイクし現代の技術で蘇らせた作品『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『2202』)。2017年2月に第一章が劇場で上映された本作が2019年3月上映 …

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 不朽のSFアニメ『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』をリメイクし現代の技術で蘇らせた作品『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『2202』)。2017年2月に第一章が劇場で上映された本作が2019年3月上映の第七章をもっていよいよ最終章を迎える。超!アニメディアでは『2202』から登場するガミラス地球駐在武官のクラウス・キーマンを演じる神谷浩史へインタビュー。作品の魅力、そしてアフレコ現場のお話などを中心にお話をうかがった。

神谷さんが演じるクラウス・キーマン

――『2202』から登場するキーマン。第一章から第七章にかけて彼の心情にも変化がありましたが、神谷さんはどのようにキーマンを演じていましたか?

 実はキーマンを演じるにあたって、福井(晴敏)さんも羽原監督も何も教えてくれなかったんですよ。正直、「嘘だろ、急にヤマトに乗るなんて無理だろ……」と思いましたね(笑)。だから、最初のアフレコでどういうキャラクターなのか聞きにいきました。そうしたら、福井さんが、彼がどういう立場で何を目的としてヤマトに乗るのか、また出生についても教えてくれて。そこでベースを作りましたが、正直、最初は退屈な役ではあったんです。というのも、実直な性格で途中までは気持ちのブレもなかったので、役者としては芝居を提案しにくかったから。ただ、徐々に、特に自身の父の兄弟であるデスラーと出会ったあたりから気持ちの揺れが彼にも出てきました。そうすると、芝居も僕の判断に委ねてもらえるようになるんですよ。気持ちがブレれば色々な芝居のやり方を提案できる。それは役者としては楽しい作業です。「実直にやってくれ」と言われていたものから解放されてある意味スッキリした瞬間は鮮明に覚えていますね。

――作品自体が2年以上も順次劇場上映されているだけにアフレコの期間も長かったと思います。

アフレコは約26カ月、およそ1カ月に1話のペースで行われていた事になります。これだけベテランの方々と時間を一緒にする現場ってなかなかないので毎回が本当に楽しかったですよ。

――数々の名優が出演されています。その中には2018年8月に亡くなられた土方竜役の石塚運昇さんもいらっしゃいます。

アフレコで最後にお会いしたのは(2018年)2月だった気がします。それからはお会いする機会がなくて、「忙しい人だから抜きで録るのは仕方ないのかな」と思っていたら、まさかあんなことになるなんて……全く思ってもいませんでした。最後にお会いした収録のときもロビーでベテランたちが楽しそうに喋っていて。時間になったから「もう始まりますよ」なんて声をかけに行ったら大塚芳忠さんと運昇さんが「いやー、健康の話題が尽きないね」って楽しそうにアフレコブースに入って来られたんです。まさか健康を損ねていたなんてこれっぽっちも感じませんでした。運昇さんは周りに気を遣わせない、むしろ楽しませてくれる。あの姿はとてもすてきでした。

――思い出がたくさんある。

たくさんありますね。運昇さんはもちろんですが、色々な方と。2年くらい前、収録が始まったころだったかな。麦さん(麦人)が「神谷、これほら」って携帯に保存されていた目の上が晴れ上がった麦さんの写真を見せてきたんです。「どうしたんですかこれ」って聞いたら、麦さんと芳忠さんで『ヤマト』の収録が終わってから7時、8時くらいまで飲んじゃったんだよって。昼過ぎに終わってからそんな時間まで飲んでいたのかと思いながらも話を聞いていたら、その帰り道でころんだとおっしゃられたんです。「まったくしょうがないベテランだな」と思いました(笑)。……いつまでも健康でいてほしいな。こんな先輩方といつまでも一緒に仕事していたい。そんな想いを『ヤマト』の収録では抱いていました。


――私もいつまでも皆さんの声を聴いていたいです。デスラー役の山寺宏一さんはいかがでしたか? キーマンを演じる神谷さんとは重要な掛け合いもあったかと思います。

先ほども言いましたがそれまでのキーマンは芝居の面で一つの答えしかない、それに対してどこまでストイックにできるのかというアプローチでしかなかったのですが、デスラーとの会話になった瞬間、ありとあらゆる選択が僕に委ねられていく。それだけでも役者としては楽しいのですが、山寺さんとの掛け合いとなるとその選択肢が豊かになるんですよ。すごく楽しかったです。この日の収録が終わったあと、小野くん(小野大輔)に「今日の収録すげー楽しかった」って言いました。「じゃあこれまでは退屈だったんですね」と言われましたけど(笑)。

――なるほど(笑)。そんな色々な方々とのやり取り、アフレコを経てキーマンの物語にもひとつの決着がつくと思います。第七章を終えてみて、キーマンが取った選択について神谷さんはどう感じていらっしゃいますか?

 台本を読んでしまうとどうしても納得せざる得ない選択だと思いました。その納得は約26カ月もの間この作品に関われこともプラスアルファの要素として働いた気がします。通常26本のアフレコって最短で半年ほどで終わると思うんです。ただ『ヤマト』に関しては26カ月の時間を使って結末までたどり着いているので、信頼関係が育まれているんですよね。実際のヤマトのなかで過ごしている時間はもっと短いはずです。期間で言うとおそらく数日から数カ月くらいの話。それでも出来事としては激動で、常に命の危険にさらされて最善の選択をしなければならない。その状況で彼らから生まれる感情には、半年ではなかなか至れなかったと思います。ベテランの方々、そしてヤマトクルーの小野くんや法ちゃん(桑島法子)、健一くん(鈴村健一)と一緒に過ごした時間の分だけ信頼関係も生まれて、感情も乗ったんじゃないかな。期間としては長かったですが、この結末を迎えることができて費やした時間は無駄じゃなかったと思いました。

――最後に今回作品に関わってみて、神谷さんは『ヤマト』がどんな作品だと感じましたか?

 以前から変わっていません。『ヤマト』はSFアニメの古典です。要は浦島太郎や桃太郎と同じレベルで、「宇宙戦艦ヤマト」の歌を聞けばどんな話か分かるでしょというくらい、だれもが知っているSFアニメの古典だと思います。ただ、古典という響きから「古いもの」というニュアンスだけで捉えられてしまうと困ります。むしろ色々なものに影響を与えるすべての原点、マスターピースなんです。『ヤマト』はある種それ以上は触れられない、答えのひとつではないでしょうか。その『ヤマト』に新しい解釈を加えて今の人たちに伝わりやすいよう物語を再構築して現代によみがえらせたのが福井さん。それだけで今回のヤマトは絶対に面白いものになるだろうと、まさに大船に乗った気持ちで作品に参加していましたが、その気持ちは全然ブレなかったですね。


 『宇宙戦艦ヤマト 2202 愛の戦士たち』 第七章「新星篇」<最終章>は3月1日より全国35館にて上映中。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』公式ホームページ 
yamato2202.net
公式twitter 
@new_yamato_2199

©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

《超!アニメディア編集部》
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