◆原作が完結したいまこそ見られる新たな『レイアース』

――熱いお話、ありがとうございました。そんな『レイアース』をアニメ化するにあたり、平成の『レイアース』をどこまで意識しましたか?
岸田:リスペクトの気持ちはありますが、制作するうえでは基本的に意識していないですね。というのも、平成のアニメ『レイアース』が放送されているタイミングは原作がまだ連載中で、アニメオリジナルの内容がかなり多くなっていたんです。でも、いまは原作が完結していますし、アニメ制作のやり方も年を経て違う形になっている。当時とは前提条件がまったく違うということを考えたときに、平成の『レイアース』を意識するよりも、いまだからこそできる『レイアース』を作ったほうがいいと思い、フラットな気持ちで原作と向き合うことを優先しました。これも、『レイアース』をいまアニメ化しようと思ったきっかけのひとつです。
――いまのお話を聞く限り、今回は原作準拠のストーリーになっている。
岸田:はい。原作を大切にしたストーリーが大前提ですね。ただ、原作は『魔法騎士レイアース』『魔法騎士レイアース2』あわせて全6巻と、TVシリーズ2クールでアニメにするには少々尺が足りない部分もありまして。それもあって、少し話数が変則的になっているところがあったり、物語のなかでもう少しキャラクターの心情などを広げられそうなポイントは、原作を逸脱しないレベルで踏み込ませていただいたりしています。原作から広げている部分はとくにメインスタッフ・原作サイドの方々と「どうやったらお客さんに届くか・伝わるか」を議論して進めていました。
――マンガだと読者が想像の余地、余白を巡らせる部分があると思うのですが、それをそのままアニメ化したら、映像として流れがおかしくなる場合もあるのかなと。アニメだと、その余白の部分を補完しないといけないこともあるかと思います。
岸田:おっしゃる通り、マンガのいいところは、想像の余地があるところだと思います。一方、アニメだと決められた尺のフォーマットのなかでどう楽しんでもらうのか、絵作りを想像しながら作らなきゃいけない部分があります。それも踏まえながら、シリーズ構成を担当する村越繁さんをはじめ、シナリオライターの方々と「もう少しここは補足したほうがいいだろう」「ここの伝えたい想いは強調させよう」など、相談しながら作っていきました。

――アニメの制作を進めるなかで、原作サイドから何かリクエストはありましたか?
岸田:最初に「メカの部分、楽しみにしています」というお話を講談社のご担当の方を通じていただいた記憶がありますが、それ以降はアニメ制作を担当するE&H productionさんをすごく信頼いただいていたこともあって、大きなリクエストはなかった気がします。原作サイドの皆さんが丁寧に我々とコミュニケーションを取ってくださり、とても助かりました。
――デザイン面で意識されたことは?
岸田:キャラクターデザイン・総作画監督の渡部里美さんがCLAMP先生の大ファンということもあり、原作が大切にしていることや私たちの意図もすごく理解してデザインしてくださいました。CLAMP先生の作品はキャラクターの目が特徴的だと思っているので、そういう細かいディテールは何度かやりとりして調整した気がします。あと、体型のフォルムについても、やり取りした記憶がありますね。
――魔神のデザインについてはいかがでしょうか?
岸田:魔神については原作サイドの方々も含めて何度も打ち合わせをして議論しました。結果としては、魔神デザイン・魔神メカニックディレクターを担当した牟田口裕基さんにご提案いただいた豪華な装飾や、フォルムを踏襲して、ディテールが映えるデザインになっていると思います。原作のよさもしっかりと引き出されている、素晴らしいデザインに仕上がりました。
◆アニメ制作で大事なのは…発信する側が持つ “テーマ性”

――ここまでいろいろとお話をお聞きしてきましたが、岸田さんがアニメを制作するうえで大切にしていること、大事にしていることを教えてください。
岸田:映像を見ていただく方を想像して企画を作ったり施策を組んだりすることが必要だと思っています。どれだけ頑張って映像を作っても、見ていただいて語り継いでもらわないと、映像コンテンツは残っていきません。とはいえ、それはお客さんに媚びようということではなくて。映像を作るときに、この映像をどういう想いで作るのか、どういうところを見てほしいのかを提供する側、作る側が想像しながら、映像に詰め込んでいくのが大事だと思っています。
――もちろん、見ている方は自由に受け止めればいいけれど、作る側としてはそういう想いを込めて制作したい。
岸田:お客さんがどう受け止めるかは自由なので、自分たちの想いを押し付けることはすべきではないと思います。それでも、これだけさまざまなアニメ作品が制作されるいまの時代だからこそ、発信する側がテーマ性をちゃんと考えて、お客さんの姿を思い描いて映像を作ることが、個人的には大事だと思っています。
――本日は貴重なお話ありがとうございました。アニメの放送がより待ち遠しくなりました。最後に、本作を楽しみにしている皆さんに、プロデューサーからメッセージをお願いします。
岸田:『レイアース』は、キャラクターたちが紡いでいく言葉が、立場や心情の在り方とともに変化していきます。冒険のなかで変わる心情、成長していく様子をぜひ感じてください。また、映像美やスケールの大きな魔神のアクションも見どころです。原作が本当に魅力的で、そのよさを今の技術だからこそ見られる映像として制作しました。まずは、今の時代の『レイアース』を感じていただけるとうれしいですね。制作現場の皆さんがすごく頑張っているので、一人でも多くの方に届くといいなと思っています。

TVアニメ『魔法騎士レイアース』作品概要
【イントロダクション】
社会見学にやってきた東京タワーで突然、異世界「セフィーロ」に招喚された獅堂光・龍咲海・鳳凰寺風。
そこで三人は、「セフィーロ」の平和と秩序を祈りの力で守ってきた姫・エメロードが、捕われの身となり世界に危機
が訪れていることを知る。
「セフィーロ」を救うべく、エメロードによって招喚された三人の少女は、 果たして伝説の「魔法騎士(マジックナイ
ト)」となり、姫と世界を救うことが出来るのか!?
【CAST】
獅堂光:佐倉綾音 龍咲海:大久保瑠美 鳳凰寺風:高橋李依
エメロード:早見沙織 ザガート:小野友樹 モコナ:菊地美香
クレフ:梶裕貴 プレセア:加藤英美里 フェリオ:松岡禎丞
【STAFF】
原作:CLAMP「魔法騎士レイアース」(講談社「なかよし」刊)
監督:三浦唯
副監督:佐野誉幸 シリーズ構成:村越繁 キャラクターデザイン・総作画監督:渡部里美
魔神デザイン・魔神メカニックディレクター:牟田口裕基
美術監督:安藤和丸(草薙) 色彩設計:中村千穂
3D 統括:菅友彦 撮影監督:田村仁 編集:柳圭介, ACE 音響監督:阿部秀平
音楽:梶浦由記・尾澤拓実・寺田志保
音楽制作:トムス・ミュージック
クリエィティブプロデューサー:朴性厚
企画プロデュース:UNLIMITED PRODUCE by TMS
アニメーション制作:E&H production
製作:トムス・エンタテインメント、講談社、テレビ朝日
(C)CLAMP・ST/講談社・TMS・テレビ朝日












