皆さん、こんにちは。中国在住のライター・李だ。今回は、中国陝西省西安市にある複合商業施設・大都薈Plaza(ダードゥイフィプラザ)で開催されている『クレヨンしんちゃん』のイベントを紹介したいと思う。
本イベントは、池奈のブランド設立7周年を記念し、池奈のカレーと大都薈Plazaの共同主催によるもの。11月より始まっており、2026年1月15日まで開催予定だ。
池奈のカレーとは、中国発祥の日本風カレーのチェーン店であり、主にカレーライスととんかつを提供している。現在では、中国の多くの都市に店舗を展開している。
大都薈Plazaは開放的な屋外スペースがあり、大型キャラクター人形の設置が可能となっている。入口には、今回のイベントで最大のインフレータブル人形、しんちゃんとシロが設置されている。また、クリスマスが近いため、しんちゃんの隣にはクリスマスツリーも並んでいる。夜になるとライトアップされ、一気にクリスマスムードが高まる。

巨大なしんちゃんの人形のそばには、パネルで組み立てられたしんちゃんの家もある。一戸建てで庭にはシロの小屋もあるなど、作品中の様子を再現。まるでしんちゃん一家がそのまま引っ越してきたようだ。ここでは絶え間なく記念写真を撮る人がたくさん。また、写真を撮る人々は子どもから大人まで、あらゆる年齢層にわたっており、『クレヨンしんちゃん』が中国でいかに高い人気を誇っているかがわかる。

屋外スペースのあちこちに、『クレヨンしんちゃん』のさまざまなものが展示されており、壁には風間くん、ネネちゃん、ボーちゃんたちのイラストが施され、いたるところに立体像やパネルも設置されている。また、しんちゃんと記念写真を撮る人の列も絶えることがない。

今回のイベントの主催者の一つである「池奈のカレー」の店頭にも、目を引く『クレヨンしんちゃん』の装飾がされている。さらに、イベント期間中、店内で食事をすれば、『クレヨンしんちゃん』のコラボカレーソースがもらえる。

また、大都薈Plaza・屋外スペースの『クレヨンしんちゃん』に関連する写真を3枚撮り、中国で最大級のソーシャルプラットフォーム「小紅書(通称:RED)」に投稿すれば、『クレヨンしんちゃん』のマグネットが無料でもらえる。マグネットは全7種、開封するまでどれが当たるかはわからない。私が当てたのは「しんちゃん&シロ」だった。あなたはどのデザインが気になるだろうか?


さらに、投稿記事の「いいね」が50を超えた場合も、マグネットが1つ無料でもらえる。もし「いいね」が500を超えたら、『クレヨンしんちゃん』のフィギュアもプレゼント。ファンにとって、魅力的なキャンペーンと言っても過言ではないだろう!

屋外スペースでしんちゃんとの記念写真を撮り終えた20代のカップルに、なぜ『クレヨンしんちゃん』が好きかを聞いてみたら、彼らはこのように答えてくれた。
「まず、『クレヨンしんちゃん』は絵柄がかわいくて、癒されるんです。それに、ストーリーも本当に面白いです。とくに、中国は学業のプレッシャーが大きいという背景があります。『クレヨンしんちゃん』を見ると気分がリラックスして、一時的に悩みを忘れられました。私はこのアニメが大好きで、高校時代からずっと見続けています」



確かに、『クレヨンしんちゃん』は絵柄は親しみやすく、多くの人を引きつけている。しかし、絵柄だけでは、これほど大量のファンを獲得することはできなかっただろう。『クレヨンしんちゃん』は日本を越え、中国をはじめとしたアジアで高い人気を博しているが、その理由とは?
そこであらためて本作を振り返ると、『クレヨンしんちゃん』は「子ども向けのアニメ」という外見をまとっているが、実は現代社会、家族関係、そして人間の温かみを描いた教育的な作品なのだ。しんちゃんの最大の特徴は、子どもの口調で大人の欲望や悩みなどを語ることだ。
野原一家は私たちと同じ地続きの世界に存在しているような、ごく普通の家庭だ。父のひろしと母のみさえは、お金の心配をし、子どもの教育問題で口論し、さまざまな日常の些細なことで悩む。このような現実的な共感が、数多くの視聴者に自分自身の家庭の姿を見せているのだ。さらに、日常的な共感のほかにも、笑いやファンタジーの要素も兼ね備えられており、常に視聴者に新たな驚きを与え続けている。これも『クレヨンしんちゃん』が多くのファンを獲得できた大きな理由の一つだといえる。
総じて言えば、現在のように日中関係が緊張している状況においても、これほど大規模な日本のアニメに関連するイベントが開催できることは、実に容易なことではない。しかし、心強く感じるのは、中国の一般市民はそれほど大きな影響を受けていないようで、自分が好きな日本のアニメに対し、大部分の人が今までと変わらぬ愛情をもって接していることだ。












