10月25日の東京ドームで開催された「Oasis Live '25」。世界中が待っていたOasisの復活。その日本のステージにオープニングアクトとして登場したASIAN KUNG-FU GENERATIONは、海外から訪れたオーディエンスからも東京ドームを震わせるほどの大合唱で迎えられていた。その曲こそが「遥か彼方」だった。会場のそこかしこから「NARUTO――!」の絶叫がしたと、会場にいた知人たちから聞かされた。その興奮具合は凄まじかった、と。アニメ『NARUTO-ナルト-』という日本のアニメがどれほど世界で愛されているのかを思い知った、と。
この日のライブではほかにも海外で人気の高いアニメ『鋼の錬金術師』のOP「リライト」も演奏され、やはりサビでは日本人のみならず海外の観客も歌声を重ねていたという。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONがアニメ作品に向けた楽曲は、主人公たちに寄り添い、前に進む力を与える楽曲だ。グイグイと引っ張っていくのではなく、背中を押すのでもなく、寄り添い、共に走る楽曲である印象が強い。Oasisのライブで彼らを歓迎した海外のオーディエンス。その声に震えたという日本のオーディエンス。その熱を繋いだ日本のアニメーションに寄り添ってきた彼らの歌から改めてまたそれぞれの作品に触れてみたら、新たな感情が湧くかもしれない。
そんなASIAN KUNG-FU GENERATIONがタッグを組んだアニメタイアップ曲の中から代表的なものを紹介したい。
「遥か彼方」(『崩壊アンプリファー』収録)/『NARUTO-ナルト-』OP(2003年)
ASIAN KUNG-FU GENERATIONにとって初のアニメタイアップとなった『NARUTO-ナルト-』のOP曲。まだあどけない少年のナルトや木の葉の若き忍者たちの勢いが、サビの絶唱にも表れ、躍動する疾風ビートが聴く者のハートビートを強く意識させる強烈なロックンロールは、当時の少年たちのロックの初期衝動体験に繋がっている。また『NARUTO-ナルト-疾風伝』ではOP「ブラッドサーキュレーター」のメロディックな疾風ロックによって奈良シカマルたち第十班の戦いを鮮烈に印象付けた。
「リライト」/『鋼の錬金術師』第4期OP(2004年)
ジャキジャキとエッジの効いた硬質なギターと疾走するリフが印象的な一曲は、過酷になっていくエドとアルのエルリック兄弟の旅路の背中を押すような力強さに溢れている。サビの伸びやかな歌声と怒涛のビート、そして駆ける2本のギターの旋律がいつまでも物語の残像を視聴者に残し、今もライブでは大合唱を生む珠玉の名曲。
「アフターダーク」/『BLEACH』第7期OP(2007年)
軽快なドラムの音から始まり、躍動感に溢れるギターがスピード感たっぷりにリフレインするメロディックなロックンロール。アランカル篇での黒崎一護たちの戦いを、影ではなく明るい未来を感じさせるポジティブな音に乗せて迎えた。軽やかなビートは彼らのライブが見えてくるようなライブ感にも満ちている。
「迷子犬と雨のビート」/『四畳半神話体系』OP(2010年)
日本独特の世界観と独自のアニメーション表現が秀逸だったアニメ『四畳半神話体系』のOP曲。グルーブ感たっぷりに響くギターはイントロのマイクチェックの音も相俟って、まさしく彼らのライブを感じさせる。ホーンの音も入り、層の厚いロックンロールが物語と見事にマッチしている。『四畳半神話大系』と上田誠の戯曲『サマータイムマシン・ブルース』とのコラボで生まれたアニメ映画『四畳半タイムマシンブルース』の主題歌「出町柳パラレルユニバース」もASIAN KUNG-FU GENERATIONが担当した。
「荒野を歩け」/『夜は短し歩けよ乙女』OP(2017年)

「四畳半神話大系」に同じ森見登美彦原作でアニメ映画となった『夜は短し歩けよ乙女』の主題歌。メロウなギターと後藤のボーカルから始まる一曲はオーセンティックなロックンロールで響かせる朴訥としたドラマを感じさせるナンバー。伸びやかなギターソロがソウルフルに鳴る様が印象的だ。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの“体温”を感じさせ、作品とクローズな存在となっている一曲。
「エンパシー」/映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールドヒーローズ ミッション』主題歌(2021年)

困難に立ち向かうヒーローたちに“寄り添う”言葉を紡ぐボーカルが印象的な一曲は、踏み出す強さを、鼓動や脈動を感じさせるサウンドで綴っていく。ヒーローたちの「諦めない強さ」に共感し、物語と観客とを繋いだ。緑谷出久と映画の登場人物・ロディとの心の交流に寄り添う挿入歌「フラワーズ」も担当した。
「宿縁」/『BORUTOボルト-NARUTO NEXT GENERATIONS-』第12期OP(2023年)
少年のナルトを支えてきた彼らが、ナルトの息子・ボルトの成長に沿えたのはやはり前に進む強さだった。どこか焦燥感あるメロウなサウンドに若々しさと青い思いが宿り、ボルトやカワキたち若き忍者の息遣いまでも感じさせるドラマティックなギターロックだ。物語が新たな世代へと移った様もその音楽の在り様で示している。
「ライフイズビューティフル」/『FARMAGIA(ファーマギア)』OP(2025年)
『FAIRY TAIL』の真島ヒロがキャラクター&モンスター原案を担当したコンシューマーゲーム『FARMAGIA(ファーマギア)』のアニメ版。ファンタジックな世界観を層の厚みのあるギターの音で紡ぐイントロから感じさせるミディアムロックナンバーが壮大な世界をタイトル通り美しく謳いあげ、色彩感豊かな物語を音で届ける。
ダンスビートにエレクトロなど機械的なビートと硬質な音色でアニメを加速させる昨今のサウンドとは違い、後藤正文のボーカルと、ツインギターにベースにドラムで掻き鳴らす生々しいまでに人間味あふれるASIAN KUNG-FU GENERATIONのロックンロールは、アニメ作品の“人間ドラマ”を色濃く印象付けるからこそ、世界中で愛されるのかもしれない。
なお彼らは2026年4月18日にインドネシア・ジャカルタで「30th Anniversary Special Concert "Live in Jakarta"」を開催する。スペシャルゲストには、[Alexandros]の出演が決定している。

<日程>
2026.4.18(sat.)
<出演>
ASIAN KUNG-FU GENERATION (JP)
[Alexandros] (JP)
Additional Local Act
<会場>
Basket Hall GBK Senayan | JAKARTA, INDONESIA
<チケット>
2025.12.10(水) 11:00AM (Jakarta Local Time) より発売開始
<券種>
REVOLUTIONS EXPERIENCE PACKAGE(VIPパッケージ):IDR 2,500,000-
-FESTIVAL (FREE STANDING):IDR 1,600,000-
-TRIBUNE (NUMBERED SEATING):IDR 1,200,000-
※チケット購入・詳細はジャカルタ公演official siteまで
From the Northern Land ’26 "Friendship"
<日程>
2026年3月13日(金) 18:00 開場 / 19:00 開演
<会場>
札幌PENNY LANE24
<チケット>
スタンディング7,700円 (税込・D代別)
※未就学児童の入場不可/小学生以上要チケット
※詳細はオフィシャルサイトまで






