「キミプリ」松岡美里、“うた”を演じてきての変化は? 声優デビューまでに味わった“挫折”からの切り替え【インタビュー】 | 超!アニメディア

「キミプリ」松岡美里、“うた”を演じてきての変化は? 声優デビューまでに味わった“挫折”からの切り替え【インタビュー】

『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』が、2025年9月12日に公開。今回、主人公・咲良うた/キュアアイドル役を演じている松岡美里に本作のみどころや、これまでの声優の活動の振り返りを伺った。

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  • 『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』キャラクターポスター

現在放送中の『キミとアイドルプリキュア♪』の劇場版となる『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』が、2025年9月12日に公開。本作で主人公・咲良うた/キュアアイドル役を演じている松岡美里は、これまでも『映像研には手を出すな!』にてアニメ初出演にしてメインキャラクター・水崎ツバメ役を務め、それ以降もレギュラー出演作が続き、確実に人気声優への道を切り開いている。

アニメ!アニメ!では、そんな松岡にインタビュー。あらためて“プリキュア声優”になっての思いや映画の見どころ、さらに2020年に声優デビューして以降の活動を振り返ってもらった。

[取材・撮影=米田果織]

■『プリキュア』主役のプレッシャーを消してくれた咲良うた

――本作は、アイアイ島で行われるアイドルフェスに招待されたものの、そこで過去に飛ばされてしまうという衝撃のストーリーが展開します。最初に脚本を読んだ際の印象をお聞かせください。

とても特別感のある物語だと思いました。そもそも『キミプリ』で扱っている“アイドルのライブ”というものを特別だと思っているのですが、映画で描かれる「スーパーミラクルアイドルフェスティバル」は“宇宙1”のアイドルフェスティバル”。うただけではなくて、ほかにもたくさんのアイドルが登場するので、ぜひ細かいところまで注目してお気に入りのアイドルを見つけてほしいです。

また、キラキラした物語の中に深いメッセージ性も含まれているので、大人の方が見てもきっと楽しめる作品になっていると思いました。

――『キミプリ』が始まって約半年。ちょうど折り返し地点にかかりましたが、作品やアフレコに対する気持ちに何か変化はありましたか?

最初はやはり緊張していて、主演の重責も感じて「大丈夫なのかな、私……」と不安になることが度々ありました。しかし、咲良うたというキャラクターは、そんな気持ちだと演じられない子だったんです。とにかく明るくて、誰かをキラッキランランにしてあげられるパワーを持っているので、演じているうちに不安や責任感は消えていきました。少しずつですが、自信を持ってうたちゃんを演じられるようになっています。

それ以前に、不安が吹っ飛ぶくらいアフレコが楽しいというのもあります。一緒に演じているキャストさんたちをはじめ、スタッフさんも楽しめる環境を作ってくださっていて。本当に感謝の気持ちでいっぱいですね。

――その気持ちの変化が演技に出ているようには感じますか?

そうですね。最初の頃も、マイク前に立つとうたちゃんのポジティブパワーを受けて不安を忘れられたのですが、終わったあとに「あそこ大丈夫だったかな!?」「こうすればよかったかな!?」とドッと不安が押し寄せ来ることがあって……。オンエアを見て反省することも多かったのですが、今はそれも少なくなっている実感があります。

――紫雨こころ/キュアキュンキュン役の高森奈津美さんは、プリキュア作品のとしても先輩です(※高森さんは過去『ヒーリングっど(ハート)プリキュア』『デリシャスパーティ(ハート)プリキュア』などにも出演)。何かアドバイスを求めたことは?

長く続く作品の現場にはルールがあることもあるので、それを教えていただいたことがありました。例えば『プリキュア』の変身シーンは、基本的にアドリブは入れないらしいんです。私はそれを知らなくて、最初の収録で入れてしまって(笑)。あまりにもかわいくキュアアイドルが笑っているシーンだったので、テストで挑戦してみようと。
そのときに奈津美さんから「変身シーンでアドリブは入れないイメージだったけど、(松岡さんのアドリブを見て)入れてもいいと思った!」と言われて、挑戦を肯定してもらえてうれしくなりました。今も伸び伸びと自由にお芝居できているのは、奈津美さんをはじめとした皆さんのおかげです。

――先輩といえば、映画には物語の鍵を握るキーパーソン役として内田真礼さん(アイドル嫌いの少女・テラ役)、佐倉綾音さん(アイアイ島を厄災から守ったといわれる伝説の女神・アマス役)が参加されています。掛け合ってみていかがでしたか?

生き生きとした演技がすばらしくて、圧倒されました。お2人は、キャラクターが本当にその場に生きているような表現をされるんです。台本を読んで想像していた以上に生き生きしているテラちゃんとアマスさんになっていて、それにできるだけ食らいついていきたいと思いながらお芝居しました。

■「上には上がいる」のは当たり前― 声優を目指す人へのアドバイスは「諦めないこと」

――『プリキュア』といえば、少女たちの憧れの存在。松岡さんは声優という職業にはいつ頃から憧れ、志し始めたのでしょうか。

憧れを持ったのは、小学校4年生くらいのときです。友達に勧められてアニメを見るようになり、「声優さんってすごいな」「私もこんなふうになりたいな」と思いました。

――意識したきっかけのアニメは何だったのですか?

『FAIRY TAIL』です。登場人物たちが魔法を使っていて、「私も魔法を使って見たい!」と思ったのがきっかけでした。
それまでもアニメ作品には触れていたのですが、学校から帰ってテレビをつけてやっていたアニメをなんとなく見ていただけで。アニメのキャラクターに声をあてる声優さんがいるなんて、意識すらしていなかったんです。友達のおかげで初めて意識して、憧れの職業になりました。

――2020年『映像研には手を出すな!』にてデビュー。初出演作にしてメインキャラクターを演じられましたが、その時を振り返り、声優という仕事に憧れとの乖離などはありませんでしたか?

『映像研』に出演したのは18歳の頃だったのですが、実は、それまでバイト経験もほとんどなくて……。「仕事」というものに触れたのもほぼ初めてでした。なので、イメージと違うという驚きより、「仕事ってこうなんだ!」という驚きのほうが大きかったです(笑)。

また、最初に関わったアニメが、アニメ制作を題材とした『映像研』であったことも幸運だったと思います。プロデューサーやアニメーター、構成を考える方、設定を考える方など、アニメ制作にはいろいろな役割を持った方がいて、それぞれ事情を抱え、譲歩しながら作品を作っていることが理解できるようになったので。この現場で声優として成長するだけでなく、アニメ制作について学ばなければいけないと思いながらアフレコしていました。今でもそのアフレコを振り返り、背筋を伸ばす瞬間があります。

――以降も『可愛いだけじゃない式守さん』や『天国大魔境』など、話題作への出演が続いています。松岡さんにとって、転機となった作品だと思うのは?

まだ声優デビューして5年目なので「全部」と言いたいところですが(笑)……やはり『プリキュア』は、私の生活というか、生きていく道をキラッキランランと明るく照らしてくれた作品だと感じます。
ですが、先ほども話にでた『映像研には手を出すな!』も私の人生を変えてくれましたし、歌にキャラクターを宿して歌うという経験をさせてくれた『SHOW BY ROCK!!』や『ウマ娘 プリティーダービー』もこれまで見たことのない景色を見せてくれました。もう……本当に全部です! これまで演じたキャラクターすべてのおかげで、今の私がいます。

――声優という職業に就いてみて、一番うれしかったこと、また一番の挫折を教えてください。

ディレクションを受けて、思ったように返せなかったときは、やっぱり悲しいし悔しいです。それに対応できない自分は、まだまだ未熟だなと。そして、それに上手く応えることができたときが、一番うれしい瞬間かもしれないです。

――これまで受けたディレクション、または先輩から受けた言葉・アドバイスの中で、一番印象に残っていること/大事にしている言葉は?

一番うれしかったことに繋がるのですが、マネージャーさんに「(演技が)よくなったね!」と褒めてもらえた瞬間が、毎回私の中に宝物となって積み重なっています。私の演技の変化を一番近くで見て・感じてくれている方ですから。「自分は成長できているんだ」と実感できます。

また、オンエアを見てアドリブが採用されているのを見たときもうれしいです。うれしいことだらけですね(笑)。これからも、うれしいことを積み重ねて成長していきたいです。

――ちなみに、マネージャーさんや声優仲間と演技について話すことはあるのでしょうか?

そんなに頻度が多いわけではないのですが、アフレコ後に一緒にご飯を食べに行ったときに「あのシーンよかったよ!」と言ってもらえたり、私から「このシーンは先輩だったらどう演じますか?」と疑問を投げかけることもあります。そうやってお互いに高め合える現場・人たちと一緒にお仕事できているので、私は本当に幸せ者だと思います。

――きっと本作を見て、プリキュアやアイドル、そして声優になりたいと思う子どもたちもいると思います。そんな方たちにもメッセージをお願いします。

大きなことを語れる人間ではないのですが、今の私だから言えるのは「諦めないことが大事」ということ。先ほど挫折の話をしましたが、デビュー前のほうが挫折を感じる瞬間が多かったように思います。私は中学1年生のときに声優養成所に通い始めて、デビューまでに4年かかりました。養成所に通ってすぐ声がかかる人もいれば、養成所に通わずデビューできる人もいる中で、です。デビューまでの間「私には無理だ」と思った瞬間が何度もありました。でも、「上には上がいる」なんて当たり前なんですよ。声優業界に限らず、生きていれば何度だってそんな瞬間にぶつかります。そう考えるようになってから、気持ちが楽になりました。

今でもよく自分に言い聞かせているのですが、「人と比べるよりも、過去の自分と比べろ」と。過去と比べて自分はどうなっているかを客観視できるようになれば、自分はもっと成長できると思うんです。実際はあまりできていないかもしれませんが(笑)。ですが、そうやって成長を諦めずにいたら、憧れのプリキュア声優にだってなることができました。もちろん周りの皆さんのお力添えあってのことなので、感謝も忘れずにいられたらいいですね。

――諦めない気持ちというのは、今作『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』からも感じることができます。あらためて、見どころをお聞かせください。

私が声優を志したのは、「声優やアニメが大好き」だと思ったからです。その「好き」という気持ちは“きっかけ”にもなるし、“原動力”にもなります。好きで居続けるのが難しい瞬間もありますが、最初に「好き」だと思った瞬間に立ち返ると、まだ好きで居続けられると思います。その最初の「好き」を大事にしたいと、今回映画を見て感じました。皆さんにも、そんなメッセージを受け取ってほしいです。

【作品情報】
『映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!』
■声の出演:
松岡美里 高橋ミナミ(高は「はしごだか」) 高森奈津美 南條愛乃 花井美春
長縄まりあ 種崎敦美(崎は「たつさき」) 松田颯水 上田麗奈
関根明良 加隈亜衣 村瀬歩 七瀬彩夏 古賀葵
諏訪部順一 佐久間大介
内田真礼 佐倉綾音
津田篤宏(ダイアン) 
■映画主題歌:「♪HiBiKi Au Uta♪」作詞:青木久美子 作曲・編曲:馬瀬みさき
■原作:東堂いづみ ■監督:小川孝治 ■脚本:吉野弘幸 ■音楽:深澤恵梨香/馬瀬みさき
■キャラクターデザイン・総作画監督:板岡錦 ■美術監督:谷岡善王 ■色彩設計:竹澤聡
■撮影監督:大島由貴 ■CGディレクター:近藤まり ■製作担当:直田宏隆
■公開日:9月12日(金)公開
(C)2025 映画キミとアイドルプリキュア♪製作委員会(C)ABC-A・東映アニメーション


キミとアイドルプリキュア♪

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《米田果織》
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