2025年5月30日に『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』が公開された。
本作は2023年7月に放送されたTVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」の5話までを総集した劇場版。のちに「最強の呪術師」と呼ばれる五条悟と、「最悪の呪詛師」と呼ばれる夏油傑がともに過ごした青春時代を描く。
本稿では、TVシリーズとは違った劇場版ならではの魅力について紹介していく。
※以下の本文にて、本テーマの特性上、作品未視聴の方にとっては“ネタバレ”に触れる記述を含みます。読み進める際はご注意下さい。
■『呪術廻戦』とは?
『呪術廻戦』は、集英社「週刊少年ジャンプ」にて2018年から2024年まで、約6年半にわたり連載された芥見下々によるダークファンタジーマンガ。コミックスの累計発行部数は1億部を超え、2020年10月からはTVアニメ第1期が放送。シリーズ初の映画作品となる『劇場版 呪術廻戦 0』は全世界興行収入が265億円を数える大ヒットを記録した。TVアニメ第2期となる「懐玉・玉折/渋谷事変」は2023年7月から12月まで放送。さらに続編となる「死滅回游」の制作も決定し、ますます盛り上がりを見せている。

■シリーズ屈指の名バトルを大画面で体験!
アニメ『呪術廻戦』といえば大迫力で繰り広げられる戦闘シーンが魅力のひとつ。本作でも五条vs伏黒甚爾、夏油vs伏黒甚爾など数々の戦いが描かれているが、劇場版ではその様子を圧巻の迫力で楽しむことができる。

スクリーンで映し出される伏黒甚爾が特級呪具・天逆鉾を振り回す大胆な動きや、覚醒した五条が放つ虚式・茈の威力など、キャラクターたちの一挙手一投足と呪術の軌道は、まるで戦いが目の前で起こっているような臨場感を感じることができる。
さらに、大画面で鑑賞するからこそ見えてくるのが戦闘シーンの世界観を作り出す背景美術。夏油と伏黒甚爾が熾烈な戦いを繰り広げる、天元の住処であり国内主要結界の基底・薨星宮の壮大かつ緻密な造りには息を飲むだろう。
■TVアニメでは見落としていたかも? こだわりが詰まった演出
また、戦闘シーン以外にも、パソコンやテレビの画面ではあまり気に留めなかった演出に気付くことができるのも劇場版の魅力。

夏油と五条の決別をを暗示するライティング、夏油が集落の人々を皆殺しにする直前に「非術師を見下す自分」、「それを否定する自分」から前者を選び取ったときにひとつになる影、天内理子が沖縄の水族館でクジラを見つめるシーンでの光の揺らめきなどなど、小さな画面では見逃していた人も多いであろう制作陣の細やかな演出が光る。
映像に加え、劇中歌や効果音なども大音量になることで没入感を感じられるようになっているため、盤星教信者たちの拍手の音は不快さも倍増して聞こえてくる。このように、TVアニメをすでに視聴した人でも、新たな発見があるはずだ。
■存在しない記憶が溢れる涙必至の「青のすみか(Acoustic ver.)」
さらに、『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』を語る上で欠かせないのが、キタニタツヤによる主題歌・「青のすみか (Acoustic ver.)」。TVアニメ第2期放送時にリリースされた「青のすみか」を劇場版総集編のために新たにアレンジした本楽曲は、ピアノやバイオリンなどの楽器の音色が際立つバラード調となっており、『懐玉・玉折』の物語をしっとりと、そして切なく盛り上げる。
劇場の重厚な音響で一度流れ始めれば、自他共に認める“最強の2人”から葛藤の末、決別するに至るまでの五条と夏油、2人がともに歩んできた道のりに思いを馳せずにはいられない。そんな「青のすみか (Acoustic ver.)」が流れるエンディングに追加された涙必至の仕掛けにも注目だ。
■五条と夏油の青春時代を“一気”に駆け抜けて―
たくさんの魅力が詰まった劇場版総集編だが、最後に挙げたいのが、TVアニメでは20分ほどで次週に持ち越されてしまう物語を、一気に100分越えの長尺で鑑賞できること。TVアニメの総集編ということで、観に行こうか迷っている人もいるかもしれないが、生活音に邪魔されず、話数の区切りもなく、五条たちとともに歩んでいくような時間感覚で集中して鑑賞できるのは間違いなく貴重な機会。
また、『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』には、『懐玉・玉折』本編に加え、新規ミニアニメ『劇場版総集編じゅじゅさんぽ』が追加。映画公開日の5月30日からは、第1弾入場特典(入場者プレゼント)として原作者・芥見下々が描き下ろした「五条&夏油 ビジュアルボード」も配布される(※数に限りあり)。
この機会に劇場に足を運び、ハイレベルな映像・音響とともに五条と夏油、最強2人の“戻れない青い春”を楽しむのはいかがだろう。
『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』
2025年5月30日(金)公開
<STAFF>
原作:「呪術廻戦」芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊)
監督:御所園翔太
シリーズ構成・脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:平松禎史・小磯沙矢香
副監督:愛敬亮太
美術監督:東 潤一
色彩設計:松島英子
CGIプロデューサー:淡輪雄介
3DCGディレクター:石川大輔(モンスターズエッグ)
撮影監督:伊藤哲平
編集:柳 圭介
音楽:照井順政
音響監督:えびなやすのり
音響制作:dugout
制作:MAPPA
<CAST>
五条 悟:中村悠一 夏油 傑:櫻井孝宏
家入硝子:遠藤 綾 天内理子:永瀬アンナ 伏黒甚爾:子安武人
<主題歌>
キタニタツヤ「青のすみか (Acoustic ver.)」(Sony Music Labels)
●続編『呪術廻戦』「死滅回游」制作中!
(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会