転生からの溺愛…だけじゃない!? 暗殺アクションも必見!「伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。」をピックアップ! 【「ジャンプTOON」注目作レビュー/Vol.2】 | 超!アニメディア

転生からの溺愛…だけじゃない!? 暗殺アクションも必見!「伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。」をピックアップ! 【「ジャンプTOON」注目作レビュー/Vol.2】

『伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。』は、愛を知らない暗殺者が転生し、家族を守る使命を果たす物語。独自のアクションとシンデレラ・ストーリーが共存する。

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「伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。」キービジュアル
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  • 「伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。」第1話
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集英社が2024年5月に創刊した、スマートフォン・タブレット端末向けの縦読みマンガサービス「ジャンプTOON」。コマを縦読みに組み替えフルカラー化された、メディア化で話題の人気作品の“タテカラー版”も目を引くが、本サービスならではの魅力がより光るのはここでしか読めないオリジナル作品の数々だろう。

本稿では、その「ジャンプTOON」オリジナル作品より注目作のひとつ『伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。』をピックアップ。アニメ化にも期待(妄想)を膨らませつつ、その面白さを紹介する。

■あらすじ紹介

「上玉揃いですよ。どうぞどうぞ見てってください」。奴隷商と思しき男が、ぼろ布をまとっただけの少女たちが押し込められた薄暗い牢へと、どこぞの侯爵らしい着飾った男を案内する。奴隷商が泣き喚く少女を差し出そうとしたところ、侯爵は別の、感情のなさそうな少女を指差した。自分はこういった少女を徹底的に痛めつけ、泣き喚かせるのを好む、と。

「…そう。情報通りね」。少女の手枷は外れていた。背後では奴隷商が気絶している。いつの間に。「私があなたの『死』。さようなら 侯爵閣下」。外傷なく、それと分からないよう侯爵を毒殺せしめた少女の手つきは実に手慣れていた。少女が牢の鍵を残して立ち去った後、ようやく意識を取り戻した奴隷商を、思い思いの得物を掲げた奴隷の少女たちが取り囲む。

「お前にとっちゃ楽過ぎる仕事だったな。さすが死神」。先ほど侯爵を屠った少女――知る人ぞ知る“伝説の殺し屋”トート――は、顔色ひとつ変えずに報酬を受け取ると、また次の仕事へと向かった。若い少女の見た目に騙されてはいけない。老若男女を問わず、無表情に何十人と殺している、血も涙もないバケモノ。それが、裏社会におけるトートの人物評だった。

そんなトートは雨降る道中、濡れて凍える子猫を救った拍子に不意の事故で命を落としてしまう。目を覚ました死後の世界では、天使たちがトートの地獄行きを進言する中で、彼女に救われた子猫だけが慈悲を乞うた。子猫に見せた優しさは気まぐれ。地獄行きでいい。そんな彼女を見ていた存在――神様は、天使たちに「この者に“アレ”を任せてみよう。適任だ」と呼びかける。また意識が遠のいていくトートの脳内に、「愛を知るがいい」という神様の言葉が響いた。やがて、トートが目を覚ました場所は、何やら心地よくてあたたかく……?

■「シンデレラ・ストーリー」と“「ジャンプ」らしさ”が共存する物語にワクワク!

恵まれない身の上で、置かれた場所で生きていかざるを得なかった女性主人公が、ひょんなことから拾い上げられ幸せに……という展開を見せる、いわゆる「シンデレラ・ストーリー」という物語の類型はよく知られている。“転生モノ”でも、特に女性向け作品に多く見られる筋書きだが、それを「ジャンプ」レーベルで、という試みには驚かされる。それでいてキャラクターの個性が立った、ワクワクさせるバトル展開も待ち受ける“らしさ”を共存させているのが、本作『伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。』だ。

あらすじとして触れた第1話はまるっと回想であり、第2話で“伝説の殺し屋”トートだった1歳の赤ん坊・パティことパトリシアが夢で見た前世の記憶であることが明かされる。前世では孤児だったトート=パティは、レオンことレオンハルト、ギルことギルベルトという年の離れた末妹の自分を溺愛する兄たちに囲まれた、愛あふれる家庭へと転生したのだ。ここまでだけなら、いかにも「シンデレラ・ストーリー」的な物語を期待させてくれる。

神様から告げられた「愛無き者よ。愛を知るがいい」という言葉はこれを意味しているのか。しかしほかにも、“適任”といった話があったような。悩みつつ、背後から忍び寄る暗殺者に気付いたトート=パティは1歳の赤ん坊にも関わらず、兄たちの知らぬ間にその魔の手を払ってみせる。こうして彼女がお役目を果たしたところに、神様が再び現れる。ここで満を持して、トート=パティが負った「滅亡するこの国を救う」という使命が示されていく。

神様いわく、トート=パティが転生した家庭は、前世から200年以上前の時代、トートの存命時には既に滅んでいる国の王家である。しかし、その運命を変える必要が出てきたが、神様の自分は手が出せないためトート=パティに白羽の矢を立てた。大罪人でも、気まぐれの愛を見せたあたり更生の余地がある。暗殺者だった前世から残しておいた、年齢にそぐわない思考力と人殺しの力をもって、王家=家族を守り国が滅びるのを阻止してほしい――。

かくして、「自死やそれにつながる行動を取ってはならない」「自身の過去を他者に話してはならない」「自身の使命を他者に知られてはならない」という制約のもと、トート=パティは11年後の未来……自分の12歳の誕生日に滅ぶさだめにある国を守る使命を帯びるのだ。

神様の「家族が死んでもいいの?」という問いには「愛情なんてわからないし」とそっぽを向きつつも(この可愛らしい“ツンデレ”が今後どうなっていくのかという点は、「シンデレラ・ストーリー」的目線においては大きな注目ポイントだろう)、使命を果たした先にある自由、そして使命を課した神様への復讐のために“仕事”を受けるという展開はダークヒーロー的な、いかにも「ジャンプ」らしいアツさが漂う。

「シンデレラ・ストーリー」的に過酷な環境で愛を知らなかった主人公が愛を知っていきつつ、並行して「ジャンプ」らしい戦いの使命を背負った本筋も進む、という両輪が本作のキモなのだ。“王家の愛され末娘”としての彼女と“伝説の暗殺者”としての主人公が共存する物語は、アニメ化されるとすれば、その演じ分けも見どころとなりそうな……という妄想を誘ってくれる。

■赤ちゃんなのに“伝説の暗殺者”!アニメでも見てみたいキレキレアクション

そんな両輪の面白さが物語をけん引する本作だが、冒頭の展開で特に目を惹くのは前世で見せていた姿そのまま、赤ん坊になっても見事な手際の“伝説の暗殺者”らしいトート=パティのアクションだろう。赤ん坊が暗殺者として、ここまでキレのある戦闘を繰り広げる作品はそうないはずだ。

第2話で兄たちを救ったピンを投げる手さばき、第3話で自ら対処した悪漢への立ち回り(作中でも触れられるが、トート=パティ自身も暗殺対象なのだ)などは、怪しく鋭い暗殺者らしい目つきなども含めて、いかにも映像化映えもしそうなものだ。今後のエピソードで描かれていく幼女、そして少女としての姿も含め、このあたりの本作ならではのアクション描写は、ぜひアニメとしても動くところを見てみたいものである。

■「縦読みマンガ」だからこそ引き立つ「場面転換」!“目線”の妙は男性キャラにも…

このほか“ならでは”の点として、「縦読みマンガ」らしい「場面転換」の引き立て方の上手さにもぜひ触れておきたい。第1話でトート=パティの前世が描かれ、第2話~第3話ではそれに回想として触れつつ、現実世界から離れて神様との対話も入り……と、本作は冒頭、そのストーリー設定もあいまって場面転換多めに進んでいく。そういった回想や神様との対話シーンはもちろん、現在は赤ん坊であるトート=パティからの目線なども画面をスクロールすることでようやく視界に飛び込んでくるという体験は、恐らく横読みマンガでは成し得なかった没入感をもたらしてくれる。

第2話~第3話で1話に1度ずつ、さっそく計2度も発生する暗殺者の不意の襲来の恐ろしさとトート=パティの対処能力の高さは、スクロールするまで先が読めない縦読みだからこそより強く感じられるものとなるはずだ。また、赤ん坊のトート=パティから見上げる目線でも描かれた美形の兄たちや神様が、スクロールすることで作中の彼女目線のように視界に飛び込んでくる、というのも、彼らをより魅力的に写してくれる。この辺りの“目線”の妙も、もしアニメ化されるとすればぜひ活かしてほしいところだろう。

転生によって、家族というただそれだけの理由で自分のことを無条件に愛してくれる存在を得た伝説の暗殺者は、愛を知り、そして守れるのだろうか。

そんな『伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。』は、現在「ジャンプTOON」にて配信中だ。3話分が無料で、最新話は毎週土曜日に更新される。
一定時間待つと無料で作品を読める「待てば無料」を利用しても楽しめる本作を、ぜひこの機会に追いかけてみてほしい。

>>次のページ:試し読み<第1話>を全公開

【 「ジャンプTOON」概要 】
[サービス名]ジャンプTOON(ジャンプトゥーン)
[サービス開始日]2024年5月29日(水)
『伝説の暗殺者、転生したら王家の愛され末娘になってしまいまして。』

(C)ストレートエッジ/集英社


《仲瀬 コウタロウ》
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