■3人の推しモルカーはどの子?
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――細かくクスッと笑える仕掛けもたくさんある作品ですが、皆さんがぜひ映画館で注目してほしいシーンや、お気に入りのシーンはどこでしょうか。
まんきゅう 冒頭のカーチェイスですかね。映画作りにおいて、冒頭の20分って大事で。全戦力の3分の1を投入しようって言われるくらい、観客の心を掴むのに重要なんです。モルカーもその気持ちで頑張っていたのですが、どうしてもモノづくりには予算というものがあって……。
そこを予算内に収めるのもディレクターの仕事ではあるんですが、見里さんからも「もっとアクションをやりたい!」とオーダーをいただいていたので(笑)、プロデューサーの力を借りて予算を増やしていただいて、冒頭のシーンをパワーアップしたんです。
相葉 へぇ~、そういう裏話があったんですね。
まんきゅう そうなんです。見里さんをはじめ、僕ら現場の思いやたくさんの人の思いがあって、後半のアクションシーンもすごくかっこいいものになって。劇場作品だと胸を張って言えるものになったので、そこは注目してもらいたいですし、いろいろな人に感謝をしています。
見里 僕も冒頭のカーアクションですかね。普段のモルカーとは違う雰囲気が冒頭にあることで、観客の皆さんも作品に引き込まれるんじゃないかなと。そこから始まり、いろんな伏線を回収してからのクライマックス! 小鷲さん(音楽の小鷲翔太さん)の音楽と、キャストの演技とがいい感じに組み合わさって、すごく熱い展開になっているところも見どころだと思います。
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――相葉さんから見た注目ポイントはどこでしょう?
相葉 ドッジのドライバーの気持ちになって見たときの、ハラハラドキドキ感ですかね。不穏な雰囲気からストーリーが始まる「何が起きたの!?」という感じも好きです。あと、爆発がとにかく長い! あんなカラフルな爆発見たことがないです(笑)。
一同 (笑)
相葉 そういった作品に散りばめられているシュールさや制作陣による遊び心が、本編とは関係ないところに入っているというのも好きですね。本編のストーリーを追うだけでは回収しきれないと思うので、何回でも楽しんでいただけたらうれしいです。
――モルカーの今後の展望についてお伺いします。今作を作ったうえで見えたモルカーの新たな可能性についてお聞かせください。
見里 今回、TVシリーズ以上にモルカーたちがアクションをして、かっこよく暴れまわって、さらに重低音の効いたかっこいい音楽が流れて。こういうものが意外にもしっくりくるんだなということに気付きました。
モルカーって見た目が十分かわいいので、かわいいことをしても見る人が予想できてしまう。それは退屈する要因になってしまうと思うので、“かわいい×怖い”とか“かわいい×かっこいい”といったギャップのあることを、もっとやっていけたらいいなと思いました。
まんきゅう ストップモーションアニメ、そして今回がCGアニメときたので、次は実写かなと(笑)。モルカーって表現手法に囚われない確立した世界観がある作品なので、いろいろなモルカーをこれからも見てみたいなと思います。実写化の際は、ぜひ相葉さんに出てもらいたいですね(笑)。
相葉 ありがとうございます(笑)。実写かぁ、モルカーをどう表現するのか気になりますね。でも、実写化まできたら、次は3Dじゃないですか? スクリーンの目の前に飛び出てくる、そんなモルカーも見てみたいですね。
――夢が広がりますね! ちなみに皆さんのお気に入りのモルカーはどの子でしょうか。
相葉 (しばし悩んでから)うーん、やっぱりドッジですかね。あとは、今回あまり出てくるわけじゃないんですが、寿司モルカーも好きです。寿司が乗っている姿がかわいいし、「寿司乗ってるよ」っていう不思議な感じもクスクスしちゃいます。
見里 思い入れがあるので、やっぱりポテトかな。モルモット声優のツムギと、その前に飼っていたミルキーというモルモットと、ポテトは柄が似ているんですよね。似せて作った部分もあるので、何かと旅行や外出にポテトを連れて行って、いわゆる“ぬい活”をしていたこともありました。
ポテト以外だと、最近はチョコもいいなと思っていて。かわいいけどかっこいいキャラクターなので、まだまだ可能性を秘めたモルカーだなと思っています。
まんきゅう 劇場版ゲストキャラクターのカノンですかね。ゲストキャラは、どうしても既存キャラと比べて作り込みが薄くなりがちになってしまうところが難しいんです。「この世界のキャラクターじゃない」と思われてしまうと、観客も冷めてしまうので、ポテトたちと並んでもちゃんとその世界の住人に見えるように、かなりトライ・アンド・エラーを繰り返しながら設定を作り込んでいきました。
お気に入りというより、モルカー世界の住人として受け入れてほしいなという気持ちを込めて、推しモルカーとさせてください。
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――では、カノンのキャラクター作りはかなり苦労された?
まんきゅう そうですね。0から作っていったので、見里さんともかなりキャッチボールをしました。
見里 そうですよね。最初のカノンはもっとゴツかったですよね。
まんきゅう そうそう。「ガンダムシリーズ」に出てくるザクみたいな感じだったんです(笑)。
でもCEOのデザインの方向性が決まったことで、カノンも初期iMacみたいなデザインを一度出したんです。でもそれがかわいくなくて(苦笑)、最終的にはモンスターズエッグ所属の若いデザイナーさんが出してくれた、ゲームボーイとiMacを足して割ったような今のデザインに決まりました。
相葉 ゲームボーイなんですね。言われると確かにそうかも。
まんきゅう プロトタイプ感を出したかったんです。なので、お子さんの親世代、ようは僕らの世代がちょっとレトロだと感じる落とし所がよくて、あのデザインになりました。
――見里さんの目には、オリジナルキャラクターのドッジ、カノンはどう映りましたか?
見里 カノンはデザイナーさんが出してくださったものがすごくいいなと思って、それをブラッシュアップしていった感じです。
ドッジは実は、私が大好きな某カーアクション映画に登場する車を文字った名前で、デザインもそこをヒントに黒いモルカーがいいなと。モルカーの世界にはあまり黒いモルカーがいないので、黒いモルモットでモチーフになりそうなものを探しながら、私がデザインさせていただきました。
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――貴重なお話をありがとうございました。では最後に、映画公開を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
見里 今回モルカーがCGアニメーションになりますが、まんきゅう監督をはじめ、モンスターズエッグさんやキャストの皆さんのモルカーへの愛情が感じられる作品になっています。だからこそ、世界観はそのままに、よりパワーアップした作品になったんじゃないかなと。
シュールさもあり、アクションもあり、さらに1回観ただけでは拾いきれないほどの小ネタも仕込まれていますので、イースターエッグを探すような感じで、何度も見て楽しんでもらえるとうれしく思います。
まんきゅう 原作者が映像作家さんというのは初めての経験だったのですが、見里さんからそう言っていただけるのが何よりうれしいですね。きっとファンの皆さんも楽しめるような作品になっていると思います。
あと、入場者特典のプレゼント(8種類のモルカーソフビマスコットMAX)が豪華なんですよ。すごくクオリティが高いので、ぜひ何周もモルカーの旅を楽しんでいただいて、ソフビマスコットもたくさん集めてもらえたらうれしいなと思います。
相葉 この世界観と作品の持つ力ってすごいと思うので、もう劇場にさえ来ていただければ、すごくハラハラドキドキ、ワクワクできると思います! ぜひ見ていただけたらうれしいです。
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『PUI PUIモルカーザ・ムービーMOLMAX』
全国公開中
原案・総監修:見里朝希
監督:まんきゅう
脚本:柿原優子
副監督:小林丸
コンテ:まんきゅう・志賀健太郎
サブキャラクターデザイン:岸田優
モデリングディレクター:木村優
美術設定:綱頭瑛子(草薙)
美術監督:田辺浩子(草薙)
撮影監督:野村達哉
編集:まんきゅう
音響監督:小沼則義
音楽:小鷲翔太
制作:モンスターズエッグ
製作:「PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX」製作委員会
声の出演:つむぎ・糸(モルモット)、相葉雅紀、大塚明夫
配給:TOHO NEXT
(C)見里朝希/PUI PUIモルカー製作委員会